渡邉理佐 × 小林由依
由依side
20:30
今日も私と理佐の戦いが始まる
絶対に一緒にお風呂に入りたい理佐と、
一緒に入りたくない私。
もう同棲してだいぶ経つけど
理佐の体なんて何回見ても見慣れないし
恥ずかしいものは恥ずかしいし。
最近は負けてばっかりだから、今日こそは、、
由「そろそろお風呂沸かすね」
夕飯が終わってのんびりし始めたところで
理佐に声をかければ
理「ありがとー」
ニコニコしながらお礼を言ってくれた
それ以上の言葉はない
順調、順調。
20:50
軽やかなメロディーに続いて
お風呂が湧きました、という音声が聞こえた
ソファに寝っ転がって
スマホを見ている理佐を横目で見る
きっと音は聞こえたはずなのに
動く気配が全くない
できれば先に入っちゃって欲しいんだけどな、、
できればというか、絶対に。
21:30
理佐はまだ動かない
時々楽しそうな声を漏らすから
きっとゲームでもやってるんだろう
それなら、と
忍び足でキッチンに向かう
理「あ、私やるよー?」
理佐を先にお風呂に入れるために
洗い物を済ませちゃおうとしたのに
いつの間にかスマホを置いた理佐が
袖を捲りながらこっちに歩いてくる
由「いや、いつもやってもらってるし」
理「んーん、由依はゆっくりしてて」
理「私がやりたくてやってるんだからいいの」
言い返そうとしても上手く丸め込まれて
後ろから抱きしめられると
そのままソファに運ばれる
理「えいっ」
由「わっ…」
ソファにたどり着くと
優しく投げられて
座面で2、3回バウンドする
突然の出来事にぽかんとしていると
理佐の顔が近づいてきて
ほっぺにそっとキスをされる
理「ほんとに可愛いんだから、」
甘い言葉に今の状況を忘れそうになる
だめだめ、このままじゃ今日も流されちゃう
屈するもんか、と理佐を軽く睨むと
理「どうしたの?口が良かった?」
なんて的外れなことを言ってまた近づいてくる
由「違…っ……!」
今度は口に軽くキスを落とされて
離れがけに唇を少し舐められる
理「かわい、すぐ洗ってくるからちょっと待っててね」
顔が火照り始めた私を見て
理佐はちょっとニヤニヤすると
私の頭を撫でてから
キッチンへと消えていった
理佐の手の上で転がされてるみたいで悔しい。
でも決めたんだから
今日は絶対に、
お風呂に一人でゆっくり入る
このまま理佐のペースになんてさせないもん
21:45
理「由依ー、終わったよー」
由「ありがと」
満面の笑みを浮かべた理佐が戻ってきて
そのままソファに座る私にもたれてスマホを見始める
これはしばらく動かないパターンだ
じゃあ、
由「お風呂先入るね」
そっと理佐の体を背もたれの方へ預けて
急いでリビングから立ち去る
理「10分くらいしたら向かうねー」
ドアを閉める直前に飛んできた声
由「そういうことじゃなくて、」
理「あ、もう今から一緒に入る?」
理「いいよいいよ!
任せて!洗ってあげるから!」
由「ちがう、」
由「一人で入るから」
理「えー、、なんでよー」
理「由依と一緒に入りたいんだけど、、」
しょぼくれた顔でこっちを見てくるけど
そんなのには流されない
由「やだ」
理「なんで!」
由「恥ずかしいし、理佐すぐそういうことするし、、
とにかく、1人で入りたいの!」
理「でも私は可愛い可愛い由依ちゃ」
理佐は何か言ってるけど
ドアを閉めてシャットアウトする
後を追って来る前に、と
脱衣所へ向かって鍵を閉めた
21:50
脱衣所の外からゴソゴソと音が聞こえる
すごく嫌な予感がする
こういう時の勘はよく当たるから
急いで浴室に入って浴室にも鍵をかけた
21:52
理「じゃーん、来ちゃいましたー!」
理「ってあれ、由依、、?」
脱衣所から陽気な声がする
どうやら理佐がピッキングに成功したらしい
あと少し遅かったらと思うと、、
今日は理佐の1歩先を進めている自分に
変な高揚感が湧いて
思わずニヤニヤしてしまう
理「由依ー、入れてよー」
外から聞こえる情けない声
由「いやです」
理「おーねーがーいー」
由「やーだ」
今日は私の勝ち。
22:00
シャワーをしていたら後ろに気配を感じた
さすがに怖くて恐る恐る振り向くと
由「わっ…!」
由「……なにしてんの?」
理「あ、バレた?」
理佐が磨りガラスのドアに張り付いていた
幸いぼんやりとした輪郭しか見えないけれど
ドアにぴったりとつけている手と鼻は
やけにくっきり見えて気味が悪い
由「バレバレです」
ドア越しの理佐に狙いを定めて
シャワーを思いっきり当てる
理「わっ、、やめてよー」
やめてよはこっちのセリフ。
ほんとにびっくりしたんだから
あんたは何の被害もないんだから
まだ良かったでしょ、なんて
心の中でほくそ笑んで
攻撃を続ければ
理「もう、それじゃ見えないじゃん、、」
しおらしい声が聞こえてしばらくすると
理佐は脱衣所からいなくなった
まったく、油断ならないんだから。
22:20
あれから理佐の邪魔は入らず、
何かしている気配もなかった
あ、1回だけ忘れ物を取りに脱衣所に入ってきたけど
特にごねたり拗ねたりもなく去っていった
理佐の気が変わってまた入って来る前に
こっそり浴室から出て脱衣所に鍵をかける
もう完全に私の勝ち
……パジャマが無い
嘘、絶対ちゃんと用意したのに
きっと理佐が忘れ物を取りに来たときに
一緒に持ってっちゃったんだ
なんなら忘れ物なんて嘘で
最初っからそのために、、
理「由依、あがったー?」
ワクワクが抑えられてない理佐の声がする
その手には乗るもんか
こんなこともあろうかと
予備のTシャツと短パンを棚に隠しておいた
……ない
それも理佐にバレてたんだ
こういうときだけ抜かりないんだから
どうしよう
もうできることはない
理「由依ー?」
由「……っくしゅ」
意図せずくしゃみを返してしまい
理「寒いの?大丈夫ー?」
なんてご機嫌な声が近づいてくる
もうダメだ
由「理佐、パジャマ忘れちゃった」
由「持ってきて」
パジャマを盗んだ当本人に言えば
理「はーい」
元気な返事が聞こえて
理「…持ってきたよー!」
ほんの数秒後にはドアの前に理佐の気配がある
由「ありがと、」
最後の抵抗で小さくドアを開ければ
破顔した理佐が手ぶらで入ってきて
そのまま私を抱きしめる
由「ねぇパジャマ、」
理「見つかんなかった」
ケロッとした顔でそう言うと
私の首筋に顔を埋めてきて
すんすんと匂いをかいでくる
理「由依のいい匂いする」
由「だってお風呂上がりだもん」
理「ほんと可愛い」
由「んっ…」
そのまま頬を擦り付けてくるから
くすぐったくて思わず身を捩る
理「かわいい、」
理佐の目の光が強まって、
抱きしめる腕にも力がこもって、
もう逃げられないことを悟る
それならいっそ、
由「理佐…」
私から理佐にキスをした
触れるだけの、優しいやつ
直後、理佐からキスが返ってきて
だんだん深く、長くなっていく
腔内を丁寧に舌でかき乱されて
頭がぼーっとしてくる
苦しくなって、理佐の肩を叩けば
名残惜しそうに離れていって
理「風邪ひいちゃうから、続きはベッドでしよっか」
返事をする間もなく
ふわっと持ち上げられて
そのまま寝室まで運ばれる
もう理佐でいっぱいの頭の片隅で
結局今日も私の負けか、なんて考えてみる
ちょっぴり悔しいけど
でも意外と満更でもなかったり…するかも…ね。
fin