僕が心臓のネジを巻く時 -21ページ目

僕が心臓のネジを巻く時

出来れば僕が動かなくなった後でも、この世界が平和であって欲しい。大切な人達が幸せであってほしい。

彼らはその壊れかけのテレビの中で
一生懸命、誰かに向って
訴えていた





「命の尊さ」とか「平和」とかいう言葉を使って
一生懸命、語りかけていた






それを見ていた僕の仲間が言った
「こいつらは、ここでも同じことが言えるだろうか」
別の仲間が言った
「そんなことをしたら、一瞬で蜂の巣にされるさ」
それを聞いて皆は笑っていた






僕らは許されるだろうか
こんな世界にいる僕らは許されるだろうか
同じ地球に生まれ
同じ人間として育ったのに
彼らは許されて
僕らは許されない





僕は今日、少年を撃った
まだ、あどけない少年だった
どうしようもなかった
彼を撃たなければ
自分が撃たれていた
だから仕方がなかった
しかしそれが許される世界




ここには正義もない
理想もない
たった1発の銃弾がすべてを決める




「俺もテレビの向こう側の人間が良かったよ」
彼はそう言うと立ち上がり
身支度を始めた




何も知らず
何も見ず
誰かの命を奪ったりもせず
ただ、平和だけを唱えて生きていたかった
ただ、きれいな世界だけで生きていたかった





僕らが亡くなった後
新聞の片隅に書かれる
死者の数が1つ増えるだけだ
それでも僕らは許されるだろうか




名前も載らず
戦っていることすら
誰も知らず
それでも僕らが死んだ時
泣いてくれる人はいるだろうか




誰かが言った
「彼らの言っていることは正しい
 いつか世界を変え、多くの人を救うだろう
 しかし、俺達を救いはしない」







僕はその壊れかけのテレビに向かって
石を投げた
その石はテレビの画面に当たり
簡単に割れてしまった





そうして僕らはまた等間隔に広がって歩いた
銃を持って火薬のにおいのする
荒れ果てた市街地に向かって









いつか僕達に教えてくれ
平和の本当の意味を
きれい事や建前なんかではなくて
その言葉の届かない所で
誰かが銃を握っている
そういう平和じゃない
本当の平和を
僕達に教えてくれ
この愚かな僕達に


Libera 「You were there」
今、格好つけようとしたでしょ?




自分が悪いものを全部引き受けて
私の荷物まで背負って
そうやって自分を犠牲にすることで
私を守ろうとしたでしょ?




そういうの、ただの自己満足だよ
私は全然嬉しくない




もっと格好悪く生きれば?
誰かの分まで背負わなくてもいいんだよ
自分の余裕がある時だけでいいんだよ
それで皆から格好悪いと言われても
私はそんなあなたを好きでいてあげる





だから、もっと格好悪く生きなさい





彼女は僕にそう言いました
だから僕も言いました
「でも、本当に格好悪くなったら捨てられるよ」
笑いながらそう言いました





すると彼女は言いました
「私はとっくに捨てたけど」
笑いながらそう言いました




「格好いいあなたしか受け入れられない私を
 そんなあなたしか愛せない
 格好悪い私を
 とっくの昔に捨てたけど」
笑いながらそう言いました


だから僕も捨てました
格好良く見せようとすることも
格好悪く生きようとすることも




pigstar「青空」

ねーねー、
せーので一緒に笑おうよ
特に理由はないけれど
一緒に笑おうよ



なぜ急にそんなことを
言い出したのか分かりませんが
「ねーねー」で始まる彼女の提案は
いつも予想できない、突拍子なもの
でも、いつも一緒にする相手は
僕を選んでくれたので
僕もまあ、いいかと思い
それに付き合いました





そんな彼女が突然
僕に電話をかけてきて
いつもの様に言いました




「ねーねー
 虹のふもとに宝物が埋まってるって話
 知ってる?」



僕が「うんうん。それで?」と聞くと
彼女は話を続けました


「でね、今、ここから虹が出てるのが見えるの
 だからね、一緒に探しに行こうよ
 宝物探しに行こうよ
 早くしないと虹が消えちゃうよ」


誰がそんなことを教えたのか
分かりませんが
彼女は僕の「今、ちょっと忙しい」
という言葉も聞かず
電話を切って、自転車で
僕を迎えに来ました



ちょっと忙しいということは
残りの大半は忙しくないということでしょ?



そんな無茶苦茶な彼女の解釈と共に
僕らは宝探しに出かけました
当然、自転車をこぐのは僕
言うまでもありません
聞くまでもなし



でも、案の上、虹はすぐに消えてしまいました
「だから言ったじゃん」と僕が言うと
彼女は僕の方を見て笑顔で言いました


「じゃあ、プラン変更で
 デート行かない?」


「最初からそれが目的だったのか」と笑って言うと
彼女は笑って言いました
「どうせ誘っても忙しいというだけでしょ?
 だから作戦を練ったの
 でも、まさかこんな単純な作戦に
 引っかかるとは、まだまだ子供だよね」


素直にデートに誘わない彼女と
子供のような僕
だから僕もムキになって
彼女の挑戦に乗りました
そう、それは僕に対する挑戦です


「子供じゃない、宝は埋まってる
 もしも俺が宝を見つけても
 お前にはやらん」



そうして2人で
宝探しに行きました
虹のふもとに埋まっているという
宝を探しに行きました
彼女がそう言うので
一緒に探しに行きました