その日、僕達は先生から
1つずつ種をもらい
それを鉢植えに植えました
そして、数日後
僕達の鉢植えから芽が出ました
僕達が喜んでいると
先生は言いました
「植物を枯らす方法を知っている?」
僕達はそれを聞いて
育てる方法の間違いじゃないかと思いました
でも先生は
枯らす方法を知っていて
それをしなければ
植物は自分の力で育つと言いました
だから僕達はその方法を考えました
「水をあげないこと」
「肥料をあげないこと」
「踏みつける」
「引っこ抜く」
「葉っぱをちぎる」
「虫が葉っぱを食べる」
「水をあげ過ぎてもだめ」
「肥料をあげ過ぎてもだめ」
そうやってたくさん意見を出すと
先生は「他にもあるわよ」と言いました
「太陽の光を遮ること」
「近くに大きな木を植えること」
「鉢が小さすぎること」
僕達はそれを考えて
毎日交代で
皆の鉢植えを観察しました
誰かの芽が大きくなりすぎると
それによって影ができる為
配置を変えたり
太陽の動きによって
置く場所を変えたり
僕がよく育つように
水の代わりに
栄養ドリンクを入れようとすると
先生は
「そうやってプレッシャーを与えずぎるのもだめ」
と笑いながら言いました
そうして僕達は大きな花を咲かせました
Cocco 甘い香り
ねーねー、
子供の頃、2階から傘を持って飛んだら
どうなるかっていう疑問を持たなかった?
あれを大人になった今、試してみようよ
10本くらいあれば大丈夫かな
なぜ急にそんなことを
言い出したのか分かりませんが
「ねーねー」で始まる彼女の提案は
いつも予想できない、無鉄砲なもの
でも、いつも話す相手は
僕を選んでくれたので
僕もまあ、いいかと思い
実現できそうな方法を一緒に考えました
そんな彼女が朝方
僕がまだ寝てる時に
電話をかけてきて
いつもの様に言いました
「ねーねー、近くまで来たから
ちょっと付き合ってよ」
僕が「何を?」と聞くと
彼女は「いいから、ちょっと付き合ってよ」
と言いました
時間は朝の5時半
こんな時間にどこに付き合えというのか
分かりませんが
彼女は僕の「眠い」
という言葉も聞かず
電話を切って
僕を迎えに来ました
死んだら永遠に眠れるでしょ?
そんな無茶苦茶な彼女の解釈と共に
僕らは出かけました
辺りはまだ薄暗く
通りには僕達以外
誰もいませんでした
彼女は近くの踏切まで行くと
急に足を止めて
何かを待ちました
そして始発電車が来て
警報音と共に
踏切が下りると
彼女は何を思ったのか
その場にしゃがみこんで
クラウチングスタートのポーズをとりました
「何してるの?」と僕が聞くと
彼女は一言
「競争ね」と言いました
「よーい、どんっ!」
踏切が上がった瞬間
彼女は一気に踏切の向こうに向かって
走り出しました
しかし僕の走りださない様子を見て
すぐに引き返してきました
「走れよー」
彼女は不満そうにそう言いました
「いやいや、無理だろう
意味も分からない
ルールも分からないのに
急に走りだせるか」
僕がそう言うと彼女は
「それでも走るんだよ
ゲートが開いたら走る
よーい、どんっ!って言われたら
走るんだよ
理由とかルールとかは
走りながら考えるんだよ
馬でもゲートが開いたら走るけど」
昨日の夜、僕は彼女に
自分の進路について話しました
悩んでいたわけでもなく
迷っていたわけでもなく
ただ、彼女に話をしただけでした
普通の話の様に
でもそれが彼女なりの
答えだった様です
「俺が昨日、進路の話をしたからか?」
と真面目な顔で言うと
彼女は笑って言いました
「頑張れって言ってもどうせ
ウダウダ言うだけでしょ?
頑張れって何を?とか
頑張るという言葉の定義を
教えてくれ、とか
だから教えてあげるの
私なりの走り出し方を」
素直に頑張れと言わない彼女と
それを素直に受け入れられない僕
僕の中に迷いがあるのを
彼女は完全に見抜いていました
だから僕も笑って言いました
「俺と競争しようって言うのか?
俺に勝てると思ってるのか?
勝負してもいいけど
負けたら昼飯おごれよ」
すると彼女も笑って言いました
「いいけど私、昔、
乗馬クラブ入ってたから
走りには自信あるよ?」
そうして僕らは次の電車が
来るのを待ちました
電車が来て
警報音が鳴り
踏切が下がると
僕らは並んで
クラウチングスタートのポーズをとりました
「絶対、負けないから!」
「俺に勝てると思ってるのか?」
僕が集中して前だけを見つめ
踏切が上がる瞬間を待ちました
そして、電車が通り過ぎた、その時
彼女が大きな声で言いました
「あ!後ろから車!危ない!」
僕が振り返ると車はなく
代わりに聞こえたのは
「どんっ!」という彼女の声
彼女はその瞬間、走り出していました
しかも彼女は上がる前の踏切を
ハードルを飛び越えるようにして
越えて行きました
僕が昼飯を奢った時に
あれは卑怯だと言うと
「ルールなんてあったっけ?」
と笑って言いながら
おいしそうに御飯を食べていました
「それに一度、走ると決めたら
何があっても振り返ったら
だめなんだよ
絶対に!」
そう言って彼女は
デザートを追加注文しました
BUMPOF CHICKEN / Sailing Day
子供の頃、2階から傘を持って飛んだら
どうなるかっていう疑問を持たなかった?
あれを大人になった今、試してみようよ
10本くらいあれば大丈夫かな
なぜ急にそんなことを
言い出したのか分かりませんが
「ねーねー」で始まる彼女の提案は
いつも予想できない、無鉄砲なもの
でも、いつも話す相手は
僕を選んでくれたので
僕もまあ、いいかと思い
実現できそうな方法を一緒に考えました
そんな彼女が朝方
僕がまだ寝てる時に
電話をかけてきて
いつもの様に言いました
「ねーねー、近くまで来たから
ちょっと付き合ってよ」
僕が「何を?」と聞くと
彼女は「いいから、ちょっと付き合ってよ」
と言いました
時間は朝の5時半
こんな時間にどこに付き合えというのか
分かりませんが
彼女は僕の「眠い」
という言葉も聞かず
電話を切って
僕を迎えに来ました
死んだら永遠に眠れるでしょ?
そんな無茶苦茶な彼女の解釈と共に
僕らは出かけました
辺りはまだ薄暗く
通りには僕達以外
誰もいませんでした
彼女は近くの踏切まで行くと
急に足を止めて
何かを待ちました
そして始発電車が来て
警報音と共に
踏切が下りると
彼女は何を思ったのか
その場にしゃがみこんで
クラウチングスタートのポーズをとりました
「何してるの?」と僕が聞くと
彼女は一言
「競争ね」と言いました
「よーい、どんっ!」
踏切が上がった瞬間
彼女は一気に踏切の向こうに向かって
走り出しました
しかし僕の走りださない様子を見て
すぐに引き返してきました
「走れよー」
彼女は不満そうにそう言いました
「いやいや、無理だろう
意味も分からない
ルールも分からないのに
急に走りだせるか」
僕がそう言うと彼女は
「それでも走るんだよ
ゲートが開いたら走る
よーい、どんっ!って言われたら
走るんだよ
理由とかルールとかは
走りながら考えるんだよ
馬でもゲートが開いたら走るけど」
昨日の夜、僕は彼女に
自分の進路について話しました
悩んでいたわけでもなく
迷っていたわけでもなく
ただ、彼女に話をしただけでした
普通の話の様に
でもそれが彼女なりの
答えだった様です
「俺が昨日、進路の話をしたからか?」
と真面目な顔で言うと
彼女は笑って言いました
「頑張れって言ってもどうせ
ウダウダ言うだけでしょ?
頑張れって何を?とか
頑張るという言葉の定義を
教えてくれ、とか
だから教えてあげるの
私なりの走り出し方を」
素直に頑張れと言わない彼女と
それを素直に受け入れられない僕
僕の中に迷いがあるのを
彼女は完全に見抜いていました
だから僕も笑って言いました
「俺と競争しようって言うのか?
俺に勝てると思ってるのか?
勝負してもいいけど
負けたら昼飯おごれよ」
すると彼女も笑って言いました
「いいけど私、昔、
乗馬クラブ入ってたから
走りには自信あるよ?」
そうして僕らは次の電車が
来るのを待ちました
電車が来て
警報音が鳴り
踏切が下がると
僕らは並んで
クラウチングスタートのポーズをとりました
「絶対、負けないから!」
「俺に勝てると思ってるのか?」
僕が集中して前だけを見つめ
踏切が上がる瞬間を待ちました
そして、電車が通り過ぎた、その時
彼女が大きな声で言いました
「あ!後ろから車!危ない!」
僕が振り返ると車はなく
代わりに聞こえたのは
「どんっ!」という彼女の声
彼女はその瞬間、走り出していました
しかも彼女は上がる前の踏切を
ハードルを飛び越えるようにして
越えて行きました
僕が昼飯を奢った時に
あれは卑怯だと言うと
「ルールなんてあったっけ?」
と笑って言いながら
おいしそうに御飯を食べていました
「それに一度、走ると決めたら
何があっても振り返ったら
だめなんだよ
絶対に!」
そう言って彼女は
デザートを追加注文しました
BUMPOF CHICKEN / Sailing Day
僕がまだ幼かった頃
僕は母に頼まれて
近くのスーパーに
牛乳を買いに行きました
僕がレジに並ぶと
前に並んでいた車椅子の女性が
「私のカバンから財布を
取り出してくれませんか?」
と僕に頼みました
車椅子でしかも
体を自由に動かせない彼女は
自分のカバンから
財布を取り出すのも困難だったのです
僕は彼女の言う通り財布を取り出し
彼女が支払いを終えた後
またカバンの中にしまいました
彼女は体を自由に動かせないので
僕のその様子を見ることはできませんでした
それでも彼女は僕に
「ありがとう」と言いました
その時、僕は思ったのです
もしも、僕が悪人で
財布をカバンに戻したふりをして
彼女の財布を盗んだらどうするんだよ、と
この世界には良い人ばかりじゃないんだよ
悪い人達もいっぱいいるんだよ
僕はその悪い人達かもしれないんだよ?
それを知っているの?
それを知っていて、僕にそれを頼んだの?
それを知っていて、僕にお礼を言ったの?
信頼してたわけじゃないかもしれない
信頼せざるを得なかったのかもしれない
見ず知らずの、
良い人か悪い人かも分からない僕を
信頼せざるを得なかったのかもしれない
だから僕は嫌いなんだ
自由に体を動かせなくなって
それでも悪魔かも知れない人に
頼らないといけない
その弱さが嫌いなんだ
その信頼が嫌いなんだ
僕が助けたのはただ気まぐれだよ
僕は多分、あなたを助けるのは
これが最初で最後だよ
僕にはあなたの体を治してあげる力もないし
一生付き添ってあげられる人でもないんだ
僕は財布を盗んだかもしれないよ
だからそんな僕に
「ありがとう」はいらないよ
僕は嫌いなんだ
彼女に試練を与え続ける人が嫌いなんだ
それでいて
「乗り越えられる人だけに試練を与える」という
慰めが嫌いなんだ
僕が彼女ならきっと
欲しいのは慰めより
一緒に歩いてくれることなんだ
転んでも倒れても
助けなくていいから
見守ってくれることなんだ
そばにいてくれることなんだ
試練を乗り越えたら
強く優しくなれるなら
初めから強くしてくれればいいのに
初めからそういう人にしてくれればいいのに
僕は嫌いなんだ
あなたのその弱さと
あなたのその信頼が
なぜならば僕はきっと
あなたを守ってあげられないから
その信頼に応えられないかもしれないから
だから、あなたの弱さと信頼が
そんな弱い自分を映しだすんだ
だから嫌いなんだ
ずっと助けられないのに
それなのに、ついつい助けてしまう
その場限りの優しさが嫌いなんだ
その優しさは次に僕が
助けられなかった時
憎しみか怒りに変わるだろう
だから嫌いなんだ
僕はあなたのことを憐れまないよ
自由に体が動かせなくなっても
悪魔かもしれない人に頼みごとをした
あなたは誰よりも強く優しいだろう
だから僕はせめて見守るよ
あなたが横断歩道を安全に渡って
あなたの姿が見えなくなるまで見守るよ
そして彼女の姿が見えなくなると
僕は心の中で願いました
これ以上、意地悪な人が
彼女に試練を与えませんように
僕は彼女の姿が見えなくなると
自分の家に向かって歩き出しました
僕が家に帰ってその事を母に話すと
母はしばらく考えた後
こう言いました
「3日だけ書いた日記
それでもその日を記したものは残る
買った時だけ勉強した参考書
それでも勉強しないよりは賢くなった
何かをすることを恐れて
結局、何もしないのは
何も考えてないのと同じ
車が来てないのに赤信号だから
横断歩道を渡れないというのは
本末転倒
新しい服が汚れるのを恐れて
外で遊ばなくなるのも
本末転倒
弱くても悪い人達でも
誰かを助けることはできる
強くても良い人達でも
助けない人達もいる
悪魔でも天使でも
嘘つきでも詐欺師でも
悪党でも虫けらでも
2本の手があれば
その手を差し伸べられる
1本しかなくても
それだけの事は出来る
悪い事をしたと思ったら
「ごめんなさい」
何かをしてもらったら
「ありがとう」
それだけじゃない?」
母はそう言いました
だから僕はきっと
また助けてしまうんだろうな
そして僕はまた
帰り道で泣くんだろうな
Radwimps - Setsuna Rensa 「セツナレンサ」
僕は母に頼まれて
近くのスーパーに
牛乳を買いに行きました
僕がレジに並ぶと
前に並んでいた車椅子の女性が
「私のカバンから財布を
取り出してくれませんか?」
と僕に頼みました
車椅子でしかも
体を自由に動かせない彼女は
自分のカバンから
財布を取り出すのも困難だったのです
僕は彼女の言う通り財布を取り出し
彼女が支払いを終えた後
またカバンの中にしまいました
彼女は体を自由に動かせないので
僕のその様子を見ることはできませんでした
それでも彼女は僕に
「ありがとう」と言いました
その時、僕は思ったのです
もしも、僕が悪人で
財布をカバンに戻したふりをして
彼女の財布を盗んだらどうするんだよ、と
この世界には良い人ばかりじゃないんだよ
悪い人達もいっぱいいるんだよ
僕はその悪い人達かもしれないんだよ?
それを知っているの?
それを知っていて、僕にそれを頼んだの?
それを知っていて、僕にお礼を言ったの?
信頼してたわけじゃないかもしれない
信頼せざるを得なかったのかもしれない
見ず知らずの、
良い人か悪い人かも分からない僕を
信頼せざるを得なかったのかもしれない
だから僕は嫌いなんだ
自由に体を動かせなくなって
それでも悪魔かも知れない人に
頼らないといけない
その弱さが嫌いなんだ
その信頼が嫌いなんだ
僕が助けたのはただ気まぐれだよ
僕は多分、あなたを助けるのは
これが最初で最後だよ
僕にはあなたの体を治してあげる力もないし
一生付き添ってあげられる人でもないんだ
僕は財布を盗んだかもしれないよ
だからそんな僕に
「ありがとう」はいらないよ
僕は嫌いなんだ
彼女に試練を与え続ける人が嫌いなんだ
それでいて
「乗り越えられる人だけに試練を与える」という
慰めが嫌いなんだ
僕が彼女ならきっと
欲しいのは慰めより
一緒に歩いてくれることなんだ
転んでも倒れても
助けなくていいから
見守ってくれることなんだ
そばにいてくれることなんだ
試練を乗り越えたら
強く優しくなれるなら
初めから強くしてくれればいいのに
初めからそういう人にしてくれればいいのに
僕は嫌いなんだ
あなたのその弱さと
あなたのその信頼が
なぜならば僕はきっと
あなたを守ってあげられないから
その信頼に応えられないかもしれないから
だから、あなたの弱さと信頼が
そんな弱い自分を映しだすんだ
だから嫌いなんだ
ずっと助けられないのに
それなのに、ついつい助けてしまう
その場限りの優しさが嫌いなんだ
その優しさは次に僕が
助けられなかった時
憎しみか怒りに変わるだろう
だから嫌いなんだ
僕はあなたのことを憐れまないよ
自由に体が動かせなくなっても
悪魔かもしれない人に頼みごとをした
あなたは誰よりも強く優しいだろう
だから僕はせめて見守るよ
あなたが横断歩道を安全に渡って
あなたの姿が見えなくなるまで見守るよ
そして彼女の姿が見えなくなると
僕は心の中で願いました
これ以上、意地悪な人が
彼女に試練を与えませんように
僕は彼女の姿が見えなくなると
自分の家に向かって歩き出しました
僕が家に帰ってその事を母に話すと
母はしばらく考えた後
こう言いました
「3日だけ書いた日記
それでもその日を記したものは残る
買った時だけ勉強した参考書
それでも勉強しないよりは賢くなった
何かをすることを恐れて
結局、何もしないのは
何も考えてないのと同じ
車が来てないのに赤信号だから
横断歩道を渡れないというのは
本末転倒
新しい服が汚れるのを恐れて
外で遊ばなくなるのも
本末転倒
弱くても悪い人達でも
誰かを助けることはできる
強くても良い人達でも
助けない人達もいる
悪魔でも天使でも
嘘つきでも詐欺師でも
悪党でも虫けらでも
2本の手があれば
その手を差し伸べられる
1本しかなくても
それだけの事は出来る
悪い事をしたと思ったら
「ごめんなさい」
何かをしてもらったら
「ありがとう」
それだけじゃない?」
母はそう言いました
だから僕はきっと
また助けてしまうんだろうな
そして僕はまた
帰り道で泣くんだろうな
Radwimps - Setsuna Rensa 「セツナレンサ」