またまた、久保さんの話だ。

いつものように薬局に入り、処方箋を出して、一通り事務員さんに「薬をああしてこうして…グズグズ…」と言ってから、ソファに座った途端、「おぉ!」という声を上げた。

えっ!意外!

久保さんは、野鳥の壁図鑑に感動していた。そっと壁の鳥を触っていた。

まさかの展開。

感動するんだと驚いた。

そして、久保さんはもう一度ソファに座って事務員さんに言った。

「飛んでるように見えるなぁ」

ついつい、事務員さんは返事をしてしまった。

「は~  そうですねぇ~」

久保さんは何度も何度も言った。

「あっちから飛んでるように見える。浮いとるように見える」

その度に事務員さんは

「は~そうですねぇ~」

そんな会話を延々と繰り返した。何度も何度も繰り返した。

あげく、ついに、久保さんは言った。

「あんた!さっきからそうですねぇばっかり言うて!!ホンマに思ってんのか!!アホが!」

私は急いで薬をチャック袋に入れて名前を呼んだ。

久保さんは、ちゃんと出来てる事を確認してから小さな声で「ありがとう」と言って帰って行った。