「人工肛門造設」

「病状・手術説明書」のそう書かれた部分を指差して私は言った。
bionda:「これは決定ですか」
仕事のmeetingで、上司のアホな説明に突っ込みを入れるような冷静な声で言い放った。

T先生:「炎症起こしてるところ同士を縫えないでしょ!
数分前に会ったばかりの若い外科医の先生の声は、心無しかひっくり返っていたような気がする。死にかけの患者にそんなふうに逆らわれたことなどなかったのかもしれない。

今、その日の「病状・手術説明書」や他のIC(インフォームドコンセント)を見返してみると、T先生の署名も相当乱れている。(この日以外の書類はみんな字がきれい)私の署名なんて(元が下手だけど)もうミミズのダンスである。

T先生は、頭にほわほわした美容院のカバーのようなのを着けていた。つまりは他の手術準備中だったのか、手術直後だったのか。なんにせよ、内科の外来に来た患者が「S状結腸穿孔」しているということで、急に呼び出されたのは間違いないだろう。この病院の内科に最後に来たのは7年ぐらい前で、もうカルテも残っていなかったはず。私は、いわばどこの誰なのかすらよくわからない患者だったに違いない。致死率30%とも言われる病状のそんな患者の「命を救おう!」という意気込みで来ているのに、いきなり冷静に逆らわれては、声も裏返るだろう。

と、今なら思える。

そして、私の「ストマとの80日間」がスタートした。

実際の事の起こりは2015年の6月。本当は外来が終了してから書き始めようと思っていたのだが、最後になって創感染を起こしたりなんだかんだで今だに外来通院中。あまり時間が経過しても忘れてしまうので、とりあえず書き始める。

人工肛門(ストマ)の認知度が低すぎるのだ。あまりにも低すぎる。なんとかしないといけない、その思いからブログにすることにした。

緊急手術(2) 白血球が20,000につづく)

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