その翌日、指定の時刻に両親はお詫びの品を抱えて先方の自宅を訪ねた。
昨日の電話とは違い、先方は落ち着いた様子で母の謝罪を受け入れてくれた。
保険会社からの連絡もすでに入っていたことや、相手が車に乗っていない状態の事故なので母に１０割の責任があり、それを伝えていたこともあってそれ以上母のことを責めてくることはなかったのではと父が話していた。
あとは保険会社に任せればいいので、ひとまず母の当て逃げ騒動は落ち着いた。
自動車保険の等級が下がり、３万円ほど保険料が上がるらしいが、その掛け金のおかげで早くスムーズに解決したのだからやはり保険は大事だと感じた。
残る問題は、母の運転を今後どうするかだ。
まだ高齢者講習を受ける年齢までは随分あるのだが、運転技術や認知能力は個人によって異なる。
もう運転するな！
と父は簡単に言うが、母が運転できなくなったからといって代わりに父が動くわけではない。
私が大変になるだけな気がするのだ。
しかし母に何かあってから、誰かに何かしてからでは遅い。
母は
実は最近バックがうまくできなくなってる気がするの。
家のガレージにも真っ直ぐ入れられないことが出てきて。
と言った。
今母の車には踏み間違い防止や緊急停止のブレーキ、バックモニターはあるが、対物センサーは付いていない。
そしてそこそこ大きめの車種に乗っている。
もう少し小さめのセンサー付いてる車に乗り換えるのはどうかな？
と聞くが
そんな今さら新車なんか乗れないよ。
あと何年乗れるかわからないのにもったいない。
と言う母。
もったいないとかいう問題じゃないと思うんだけど。
と言いつつ、今簡単に車が入手できない状況なこともあって
とりあえず、もう狭いところには車停めないで。
お母さん障がい者マーク付けてるんだから、広いところに停めて。
とあまり解決にもならないことしか言えなかった。
すると話を聞いた妹が
わたしの乗ってる車と取り替えよう。
と言ってきた。
妹の車はセンサー付きで母の車よりも小さい。
そんなのいいわよ。
と断る母を姉妹で説得する年末年始になりそうなのだった。
まだ先の話かなと思っていた免許証返納問題が急に出てきてあわあわしています。
車は本当に便利ですが、凶器ですからね。使う人次第なのでちゃんと説得します。
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