日本も寝言ばかり言わずに、オイルピーク後の社会の在り方を議論し
備えないといけませんがね。
http://mainichi.jp/select/opinion/ushioda/
水説:グリーン化進める米軍=潮田道夫
<sui-setsu>
米統合軍が3月に出した2010年環境報告は驚くべき率直さで
「ピークオイル」の到来を語っている。
それによれば、2年以内に石油の需要が供給能力を上回り
(つまり、それが「ピークオイル」である)2015年には最大で
日量1000万バレルの深刻な石油不足がおきるおそれがある。
世界各国とも成長が鈍化せざるをえないが、とりわけ中国と
インドへの影響が深刻だろう。
マティス司令官は「これは米国政府の公式見解ではないし、性格上
どうしても推測がまじっている」と断っているが、しかし、米軍はこの
ピークオイル・シナリオに基づいて、再編されていくことになるとしている。
「へー」と言うほかない。米エネルギー省はピークオイルは20年ぐらい
先だと示唆していたと思うし、国際エネルギー機関も似たような見通し
だったと思う。それに比べて、米軍の切迫感がはるかに強いことに驚く。
そうした折、先月22日の地球の日(アースデー)にあわせて、米海軍
が主力戦闘機スーパーホーネットをバイオ燃料50%混合で飛ばす
デモ飛行を実施した。日本航空だって昨年、ジャンボ機をバイオ燃料
で飛ばしているから、戦闘機がバイオで飛んでもそう驚かない。ただ、
「米軍のグリーン化」は想像以上に進んでいて、彼らが「本気」だという
ことが分かる。
ピュー慈善基金の調査によれば、米陸軍は今後3年で4000台の
電気自動車を装備する。米空軍は2025年までに使用エネルギー
の25%を再生可能エネルギーに切り替える。そして、2016年
までに航空機燃料の半分をバイオ混合燃料にするそうである。
今回のスーパーホーネットの燃料同様に、食糧生産と競合しない
カメリナというアブラナ科の植物からとる油が主力となるとみられる。
米海軍は原子力船、バイオ燃料によるハイブリッドモーター船、
バイオ燃料だけで飛ぶ航空機による「石油ゼロ」の攻撃グループ
を2016年までに編成するという。
米軍というのはものすごい燃料多消費集団で、石油価格が1ドル
上昇すると120億円も経費が上昇するそうだ。ピークオイルによる価格
上昇を想定すれば再生可能エネルギーへの切り替えは急務だ。
国防総省のドーリー次官補代理は英ガーディアン紙に、「軍隊という
のは100%確実になるまで待つわけにいかない。不確実性への対処は
お手のものだし」と言っている。さすが、世界最強の軍隊だね。今回は
つべこべ言わずに感心しておく。(専門編集委員)
毎日新聞 2010年5月5日 東京朝刊