【先生に聞く 腸イイ話 乳酸菌と免疫力】
(2)発がんの確率左右するNK活性
2012.1.24 07:54
NK(ナチュラルキラー)細胞は年を取ると働きにくくなりますが、若くてもNK細胞の働き(NK活性)が弱い人がいます。NK活性が弱いとがんになりやすいことを、私はマウスを使った実験で確認しました。同じように、ヒトの実験でもはっきりした結果が出ています。
埼玉県立がんセンターが、一般住民3500人の協力を得て、NK細胞の活性度が「高い・中程度・低い」に分けて11年間追跡したところ、活性度が低い人たちだけが、他に比べて約2倍、がんの発生率が高くなっていました。
前回、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株400億個を含む乳酸菌飲料を毎日飲むことで、NK活性が高くなるお話をしました。同じ実験で、乳酸菌飲料を飲む前にNK活性が低かった人ほど、飲用による効果が大きいという結果が出ました。一方、もともとNK活性が高かった人は、その活性が長く維持する免疫調節作用が認められています。
生きたまま腸に届く乳酸菌を取ると、腸粘膜をほどよく刺激し、体の免疫力を活性化させます。乳酸菌は食物繊維と似た働きもあり、いわゆる“悪玉菌”を掃除して体外に排泄(はいせつ)してくれます。ただし、この乳酸菌は腸にずっととどまることはできないので、毎日とることが必要です。(順天堂大学医学部免疫学 特任教授 奥村康)