いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 

突然ですが、この写真の顔、好みですか? 日本人好みではない気もするのですが…

 

 

写真の人はアラブ人。パレスチナの現役のジャーナリストです。なぜか彼の写真を使った詐欺師アカウントがフェースブックで沢山あり、そして実害も発生していました。(お金を盗られるだけじゃなく、金銭被害なしでも心を奪われたなど。)

 

設定は、アメリカのロイターの報道写真家。妻を亡くし、子供をアメリカにおいてシリアに取材に来ている。このバイティングをしている時点で、アサド政権が化学兵器を使用し、それに対してアメリカはトランプ大統領の命令でアサド政権側を攻撃。シリアのニュースが毎日のように流れる中、恋愛には興味なくても「シリアにいるジャーナリスト」とくれば、彼からコンタクト受けた方は何か情報教えてもらえるのではと期待するかもしれません。

 

被害者も様々な立場の方々がおられました。国際ロマンス詐欺の定番というべきか、代表選手と思われがちなのは未亡人・シングルマザー。それだけじゃなく、身体や精神に疾患・障害をお持ちの方、生まれた性別と自認する性別にギャップのあった性同一性障害の方、そして普通の男性も。男性をターゲットにする男の方の場合、戦地からの荷物を受け取ってと言う話が単刀直入に出て来るのが多いですが、まだ金銭要求まで行っていなかった男性でこどもの話を聞かされたと言う方もおられました。

 

女性を喜ばせる話をするのが上手な奴がいて、心を奪われてしまったと言う方々がおられました。この記事を書いている時点で、同じ写真使った詐欺師に騙された方の被害額160万円。

 

そんなにモテ顔でもなさそうな写真使いながら、心をとらえて洗脳してマインドコントロールし、そしてお金をだまし取ると言う凄腕。つまりこいつらの手腕では、写真がスーパーハンサム白馬の王子じゃなくていいわけです。

 

複数の名前で複数のフェースブックが存在してました。Anthony L Domenick, Richard Gustav Ganzer Bernd (4つの名前の2つ以上の組み合わせで複数)、Andrew Debeikes, Robert Antwiなどなど。

 

同じ写真使っていても同じ詐欺団という断定はできないものですが、こいつらに限ってはみんな日本人女性狙い。そして女性をうっとりさせる言葉を使っていたと言う情報あり。不思議ですね。日本人好みじゃなさそうな写真使って、一貫して日本人狙う。同じ犯行組織である可能性もあるなと思いました。また、後ほど言及しますが複数の別の名前で同じライン使っているとの情報もあり、同じ人物もしくは詐欺団とほぼ断定しています。

 

手口は一貫して、

(1)アメリカに残していった子供が病気。しかしシリアにいるのでお金が払えない。代わりに送金して子供を助けてほしいと泣いて頼んでくる。10万円台の少額から。

(2)次にジャーナリストが負傷し、ガーナに逃れる。そこでまた医療費が必要となる。

総額160万円、この段階までで支払っていた方がおられました。本当にお気の毒です。

 

Ammed A. Al-No'imiを名乗る詐欺師の情報はRomancescam.comに掲載済み。こいつのフェースブックは既になりすましと認定されて消去済み。今は同じ写真で別の名前でやはり日本人を狙っています。フェースブックが消えたので、ログが残っていません。対話はすべてメールに移行してからのもの。

 

さて、私の偽キャラ、珠子さんはバツイチ、自称「DV原因で離婚」、高校生の息子が実家から通学している。離婚したシングルマザーの心理とか詳しくは知りませんのであくまでも演技です。らしくない演技もあるかと思いますがご容赦ください。

 

詐欺師の言葉は英語のままで、珠子は日本語にしてお送りします。詐欺師のメッセージを英語の原文にしておくことで、彼らの英語がどんなものかを示すことができ、検索をかけたときに同じメッセージを被害者の方が見つけやすくできます。但し重要な内容は、時々註をいれるようにします。

 

fish eyefish eyefish eyefish eyefish eye

 

珠子: こんにちは、フェースブックでお会いした珠子です。

 

Ammed: 

Thank You Dear,

am happy to read from you.
hope all is well with you over there?

please always write me here and keep praying for me.
I really will be grateful to read from you again.

Thanks.
Yours Faithfully,
Ammed.


珠子: どうやって祈るのか知らないわ。何故祈らなきゃならないの?

 

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いつもお読みくださりありがとうございます。ブログで何度か取り上げた瀕死の未亡人(または富豪)詐欺。これは余命幾ばくもない大金持ちの男性か女性が、身寄りもないため莫大な遺産を孤児院や教会、あるいは被災地などの困っている人々のために役立てたい、そのための手助けをしてほしいと頼んでくるというものです。そして、その大金の銀行からの受け取りを委ねると、登場人物は病床の人物から銀行員や弁護士などに入れ替わる。本番の詐欺行為は、この登場人物が入れ替わった後のストーリーです。大金を送金するために、手数料や税金などの費用が発生。その都度、被害者はお金を請求されます。しかし本当にその大金が被害者の銀行口座に入ることはありません。

 

  今までのBaiting記事とは趣向を変えて、もう少し読み物的に脚色してみました。従いまして内容的には「本当にBaitingで相手からゲットした内容」を残しながらも創作・脚色も加えています。その点ご注意ください。しかしながら手口の紹介としての役割を壊さないようにはしています。尚、この詐欺師の情報はScamwarnersに掲載されています。
 

登場人物

雅美 :本人女性。

ベルナデット:瀕死の未亡人

アブドゥル:マレーシアのメイバンクの役員

マリアム:銀行のスタッフ

アマンダ:雅美のマレーシア人の友人。

アマンダの叔父と従兄

 

略語説明

KL クアラルンプール (マレーシアの首都)

JB ジョホールバル (シンガポール国境近くにある都市。)

KLIA クアラルンプール国際空港

これまでのお話

 

 雅美はフェースブックで受け取ったメッセージのベルナデットという女性にメールをすると、その女性は余幾ばくも無い富豪の未亡人で、身寄りがないので自分が死ぬ前に信頼できる誰かに巨額の財産を託して、それを困っている人々を助けるのに寄付をする手助けをしてほしいと頼まれる。そして銀行の連絡先を伝えられ、銀行の役員からマレーシアのクアラルンプールにお金を取りに来るように指示される。クアラルンプールにエアアジアで到着した雅美だったが、友達のアマンダから借りる予定だったレンタカーに問題が発生し、ポートディクソンの叔父の店ではなく、何と従兄のジョホールバルの店にまで連れてこられてしまった。おかげでアブドゥルとの約束の時間には間に合わず、雅美はアブドゥルの部下にジョホールバルに来るように伝えるが、アブドゥルは断固として拒否したのだった。

 

 

第六話 終章~とんでもクアラルンプール

 

 ジョホールバルに到着して、アマンダの従兄の店で車の修理を待っていたが、しかしなかなか車はなおらない。何しろ特別な友だち割引なので、貸せる車は限られているというのがアマンダの従兄のジェームズの言い分だった。しかも、その車は父親のポートディクソンの店にあるはずが、ジョホールバルのジェームズの店にあったのだ。

 

 しかし、なかなか修理のめどが立たない中、ジェームズと妻のシンディはアマンダと雅美にシンガポールで遊んでゆかないかと提案する。

 「それもいいわね」と雅美。シンガポールで仕事をして時々ジョホールバルにも来ていた雅美には、嬉しいことだった。

 「だったら、お金もたくさん持ってきたのでラッフルズに泊まりませんか? 私が払います」と雅美。

 「じゃあ今夜は俺が美味しい中華料理店でごちそうするよ」とジェームズが言った。それからアマンダと雅美はジョホールバル市内のホテルにチェックインした。

 

 さて、雅美からスタッフをジョホールバルに来させろと要求されたが、アブドゥルは断固として拒否し、代わりに銀行口座を伝えてきた。しかも、マレーシア国立銀行の役員がタイの銀行口座を…である。

アブドゥルのメール:
Noted our bank don't work by Tomorrow and our advice as you can't come on Monday We are going to give you an lawyer information in Thai to enable you send him the needed fee for the signed of all the document's and she will be there on the meeting day by Monday transfer the Money to her account now , 

kindly send the funds directly to our attorney in Thailand.,you has to send the Money for including the Power of Attorney to our bank, pay the charges 
and he will get the needed document's and Sign the release order and other necessary document on your behalf. You will receive the your fund's after you make the payment for this document's to our Attorney in Thailand. 

Money transfer Advice is below please. .Transfer Service 

Name. Mis (削除しました) 
Account No. (削除しました) 
Address. (削除しました) 
Khet Prawat, Bangkok,10250 Thailand. 
bank name. KASIKORN BANK 
Swift code. KASITHBK 
Important:After paying the fee, send me the payment slip confirmation of the transaction for record keeping. 
We awaiting your immediate response with your information to enable this bank proceeds with the transfer of your approved fund and serve you better as we were directed by the Malaysia Government.


 しかし雅美も一筋縄ではゆかないのだ。
雅美のメール:
何故タイに送金しなければならないのか理解できません。お願いします、あなたのスタッフをJBによこしてください。今、ATMでおろした大金を持っています。このまま動くことはできません。それとも明日シンガポールにってすべて使いつくしましょうかね。もし、JBに来られるのだったら、そのためにかかった費用は私が出しましょう。


アブドゥルと雅美の交渉は全くかみ合わず。

アブドゥルのメール:
Please we are busying with work as you can't come here for the meeting on Monday you have to send the Money to the lawyer in Thai to enable her help you and signed all the document's be informed we are busying with Work , after you have transferred get back to us with the payment slip copy,


雅美のメール:
土曜は仕事じゃないのでしょう。明日にお金を受け取りにJBまで来られるはず。私はここからKLには一人で行けません。大金を持ってますから。もし来ないのであれば、タイには送金しません。代わりに週末をラッフルズホテルで過ごすことにします。お願いです、JBに来てくださらないのなら、タイにはお金は送りませんから。


アブドゥルのメール:
that's your business

雅美のメール:
そう、結構よ。じゃあ明日はシンガポールに行って、アマンダと従兄と一緒にラッフルズで過ごすわ。
でもまだ私から5000ドルを受け取りたいのなら、私は日曜の夜までシンガポールにいますから。来れば手渡しするわ。明日の朝JBのホテルをチェックアウトして、アマンダの車でラッフルズに向かいます。来るのか来ないのか、あなた次第。今日は美味しいノンハラルの中華料理を食べましたよ。20年前にシンガポールで仕事をしていた時のことを思い出しました。広東風のローストポークが美味しいんですよ。


 この後、アブドゥルからの返事はなかった。雅美はアマンダと彼女の従兄とともにラッフルズホテルで優雅な週末を過ごし、そして帰国したのであった。



(終)
 

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 いつもお読みくださりありがとうございます。ブログで何度か取り上げた瀕死の未亡人(または富豪)詐欺。これは余命幾ばくもない大金持ちの男性か女性が、身寄りもないため莫大な遺産を孤児院や教会、あるいは被災地などの困っている人々のために役立てたい、そのための手助けをしてほしいと頼んでくるというものです。そして、その大金の銀行からの受け取りを委ねると、登場人物は病床の人物から銀行員や弁護士などに入れ替わる。本番の詐欺行為は、この登場人物が入れ替わった後のストーリーです。大金を送金するために、手数料や税金などの費用が発生。その都度、被害者はお金を請求されます。しかし本当にその大金が被害者の銀行口座に入ることはありません。

 

  今までのBaiting記事とは趣向を変えて、もう少し読み物的に脚色してみました。従いまして内容的には「本当にBaitingで相手からゲットした内容」を残しながらも創作・脚色も加えています。その点ご注意ください。しかしながら手口の紹介としての役割を壊さないようにはしています。尚、この詐欺師の情報はScamwarnersに掲載されています。
 

登場人物

雅美 :本人女性。

ベルナデット:瀕死の未亡人

アブドゥル:マレーシアのメイバンクの役員

マリアム:銀行のスタッフ

アマンダ:雅美のマレーシア人の友人。

アマンダの叔父と従兄

 

略語説明

KL クアラルンプール (マレーシアの首都)

JB ジョホールバル (シンガポール国境近くにある都市。)

KLIA クアラルンプール国際空港

 

これまでのお話

 

 雅美はフェースブックで受け取ったメッセージのベルナデットという女性にメールをすると、その女性は余幾ばくも無い富豪の未亡人で、身寄りがないので自分が死ぬ前に信頼できる誰かに巨額の財産を託して、それを困っている人々を助けるのに寄付をする手助けをしてほしいと頼まれる。そして銀行の連絡先を伝えられ、クアラルンプールにお金を盗りに来るよう指示される。そしてクアラルンプールに到着した雅美だったが、当初予定していた通りに事が運ばないのであった。ポートディクソンにある友達のアマンダの叔父の店で車を借りて、そのままクアラルンプールのアブドゥルのオフィスに行くはずだったが、借りる予定の車に不都合があり、従兄の店まで車を取りに行くことになったのだ。そして何度か電話でやり取りをするが、マリアムから電話がかかってきた時は昼食前で忙しく、その後モハマッド博士からの電話は聞き取れず会話にならなかった。

 

 

第五話 とんだクアラルンプール

 

 ムアルで美味しいシーフードを食べた後、雅美はアマンダの車に乗せられて従兄の店に向かっていた。

 「従兄って、ジェームズだったっけ」と雅美が聞くと、アマンダは

 「そう。お嫁さんがシンディってシンガポール人なの。姪っ子のアリシアが可愛いんだよ」

 二人はジョホールバルの市街地でHSBC銀行に立ち寄った。外資の銀行で雅美は5000ドル分を米ドルで引き下ろした。雅美が何ドルを現金で持っているのかアマンダは知らない。

 

 ジョホールバルはマレー半島最南端の都市。橋を渡ればシンガポールだ。そのジョホールバル郊外にジェームズの経営する自動車修理工場があった。三階建て一軒家のジェームズの屋敷に隣接して、車の修理場とレンタル用の車を並べた駐車スペースがあった。レンタカーは大小ともにトヨタと日産の日本車でそろえている懲りようだ。アマンダの一族は日本が好きなのだ。

 

 

 

 6月16日、午後3時(マレーシア時間)。電話が通じず、フラストレーションのたまったアブドゥルが雅美にメールをしてきた。

アブドゥルのメール:
This is to bring to your Understanding that our worker's don't understand you any more where are you now so that our office work's will come and pick you there i will be waiting to hear from you now,


 しかし雅美にも言い分がある。

雅美のメール:
彼らの電話がおかしいのです。私が電話したら、全然電話に出ない。彼らが電話してくると、声が聞こえない。2回マリアムさんから電話があったけれど、その時は食事する場所を探していたのでそれどころじゃなかった。
今はJBにいて、アマンダの従兄のところで車が修理されるのを待ってるところです。今はKLまではいけないわ。彼らに明日の朝までにJBに来るように言って。
私はJBのホテルに泊まりますか
ら。

 アブドゥルも腹を立ててしまっていた。すぐにマレーシアの電話番号をよこせと言ってくるのだった。(この怒りを引き出すのも一つの目的)
Are You Joking with our Bank or What ?? We Need You To Send Your Malaysia Number Now ,

雅美の返事:
アマンダの従兄のところで車を受け取るはずだったのが、車がまだ修理中だったのです。車の修理が終わるのを待つために、わざわざJBに来たのです。だからもう疲れてしまっています。JBを出ることはできません。あなたのスタッフをJBによこしてください。帰りのフライトはKLじゃなくてシンガポールからの便に変えています。
マレーシアの電話番号は持っていません。私はアジアはどこへ行くにも香港番号の国際SIMを使っています。アマンダに詳細を話していいのかしら? そうしたらアマンダに電話を使わせてもらうように頼めるのだけれど。でもあなたは秘密だって言ってたから。
お金はもう手元にあるんです。車屋さんで待ってる間にATMで卸してきましたから。

もし、彼らが来るのなら、ホテルの名前と住所をお知らせします。すでにJBのホテルをとっていますので。


 クアラルンプールからジョホールバルまで、高速道路を使って直行なら約4時間半。しかしアブドゥルの一味は車を使ってジョホールバルに来るという発想はなかった。そして、雅美がアブドゥルの言う通りに空港で彼らの迎えを待つことにしなかったことをとがめるのだった。

アブドゥルの返事:
Noted be informed that you have to come to the address given to you by Our bank on Monday Our Bank can't come to meet you in JB because we told you before you are coming to wait at the airport that we will come to pick you and you said no so you have to follow our advice and come to the address given to you by Monday 10: am Our Bank are too busy to come to JB do you understand and we don't work that way ,


 しかし雅美も全く悪いとは思ていないのだ。
雅美の返事:
来週月曜にはもうマレーシアにはいません。フライトはシンガポール発で日曜の深夜です。あなたのスタッフをJBによこしてください。車が修理されないとKLには行けません。明日JBに来るようにしてください。少し余計のお金をおろしてあります。もし彼らが必要ならその分支払ってもいいです。


 アブドゥルの言う通りにならない雅美であった。

(続く)
 

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 いつもお読みくださりありがとうございます。ブログで何度か取り上げた瀕死の未亡人(または富豪)詐欺。これは余命幾ばくもない大金持ちの男性か女性が、身寄りもないため莫大な遺産を孤児院や教会、あるいは被災地などの困っている人々のために役立てたい、そのための手助けをしてほしいと頼んでくるというものです。そして、その大金の銀行からの受け取りを委ねると、登場人物は病床の人物から銀行員や弁護士などに入れ替わる。本番の詐欺行為は、この登場人物が入れ替わった後のストーリーです。大金を送金するために、手数料や税金などの費用が発生。その都度、被害者はお金を請求されます。しかし本当にその大金が被害者の銀行口座に入ることはありません。

 

  今までのBaiting記事とは趣向を変えて、もう少し読み物的に脚色してみました。従いまして内容的には「本当にBaitingで相手からゲットした内容」を残しながらも創作・脚色も加えています。その点ご注意ください。しかしながら手口の紹介としての役割を壊さないようにはしています。尚、この詐欺師の情報はScamwarnersに掲載されています。
 

登場人物

雅美 :本人女性。

ベルナデット:瀕死の未亡人

アブドゥル:マレーシアのメイバンクの役員

マリアム:銀行のスタッフ

アマンダ:雅美のマレーシア人の友人。

アマンダの叔父と従兄

 

略語説明

KL クアラルンプール (マレーシアの首都)

JB ジョホールバル (シンガポール国境近くにある都市。)

KLIA クアラルンプール国際空港

 

これまでのお話

 

 雅美はフェースブックで受け取ったメッセージのベルナデットという女性にメールをすると、その女性は余幾ばくも無い富豪の未亡人で、身寄りがないので自分が死ぬ前に信頼できる誰かに巨額の財産を託して、それを困っている人々を助けるのに寄付をする手助けをしてほしいと頼まれる。そして銀行の連絡先を伝えられ、銀行役員のアブドゥルから指示されて、お金の受け取りのためにクアラルンプールに行くことになる。

 

第四話 飛んでクアラルンプール

6月16日

 早朝、雅美は羽田発エアアジアの深夜の便で早朝にクアラルンプールに到着した。

 

 朝早い便だが、それでも友人のアマンダは雅美を迎えにやってきた。

 「マサミ、マレーシアにようこそ。旦那も一緒に来る予定だったのだけれど急なお客さん入っちゃって。よろしくって言ってた。あと父と母もね。」

 「アマンダ、本当に久しぶり、そしてありがとう」

 雅美はアマンダと一緒に仕事をしていた時代、そして人も気温も熱い南国の雰囲気を懐かしく思った。

 「ご両親はどこにいるの?」と雅美。

 「今はKLに。兄が両親のためにコンドミニアムを買ったの」

 二人は懐かしい話をしながら、駐車場に向かった。アマンダの白いトヨタ・プリウスに乗り込むと、雅美はアブドゥルにメールを送った。

 

アブドゥル宛の雅美のメール:

今朝早く、KLIAに到着しました。今、友人のアマンダの車に乗って、彼女の叔父さんの店にレンタカーを借りに行くところです。

 

 「ねえ、雅美、今回は何の仕事なの?」

 「あ、ちょっとね…」

 アブドゥルやベルナデットに「秘密にして」と言われたことを守って、アマンダには詳細を伝えない雅美であった。

 

 KLIAからポートディクソンに向かう高速道路上で、アマンダの携帯電話が鳴った。

「ちょっと待ってて」と言って、アマンダは途中サービスエリアに車を停めた。そしてかかってきた電話に自分からかけなおす。マレーシア人なら運転中に平気で電話をとる人もいるが、日本に留学したり駐在して車を運転した経験のあるアマンダは車をきちんと止めて電話をするのだった。

 

 アマンダは困った表情をして、福建語で何やら話をしている。

 

「雅美、ごめんなさい、叔父さんからの電話なの。レンタカーに問題があったみたいで、それで従兄の店に行ってくれって。いいかしら。10時には間に合わないわね」

 

 クアラルンプールに飛行機が着陸してから約2時間。マレーシア時間で午前9時前くらいである。

 

 

アブドゥル宛の雅美のメール

レンタカーに問題があるそうです。午前10時には間に合いません。友人のアマンダが従兄の店に連れて行ってくれるそうです。あなたのスタッフにはSMSを送りました。

 

 なかなかアブドゥルかその部下の男女とは連絡がとれなかったが、やっとアブドゥルからメールが届いた。(おそらく専業で詐欺をしているので、彼らは朝はゆっくり過ごしているのだろう。)

 

アブドゥルのメール:

You have to send us your Malaysia Number so that we will be in contact with you Okay am waiting for the number now,

 

 雅美は何度かアブドゥルの部下たちの電話番号に何度も電話をしたが、なかなか通じなかった。

 

雅美のメール:

何度も電話しましたが、全然通じません。なぜですか?

今アマンダの従兄の店に向かっています。

 

 アブドゥルは執拗に雅美の電話番号を要求してくる。

 

アブドゥルのメール:

Send Your Phone Number we need to call you and pick you up

 

 雅美はマレーシアの電話番号を持っていない。国際SIMカードで香港番号なのだった。

 

雅美のメール:

私は国際SIMカードを使っています。この電話番号に電話してください。

+852 (Hong Kong Phone)

 

 

 正午前、昼食をとるのに、途中ムアルというところで高速を降りた。なんでも、アマンダのお勧めのシーフード店があるというのだ。しかし、そこに行くときはいつも夫の運転だった。道がよくわからず、迷いながら海側に車を向けた。雅美が話しかけても、顔をこわばらせてなかなか応えてくれない。アマンダは自信家だ。自分がわからないことは認めたくない。しかしこのシーフード店に限っては、自分の運転で行ったことがなかったため、道がよくわからなかった。運転中にスマホのカーナビアプリを立ち上げることもできず、運転を続けていた。

 アマンダは途中で車を停めると、再び福建語でどこかに電話をしていた。どうやらお手上げの状態で夫に電話をしているらしい。しかしアマンダは何としても自分の日本から来た親友に美味しいシーフードを食べてもらいたいのだった。

 

 

 

 

 すると、銀行のスタッフだというマリアムという女から雅美の携帯電話に電話がかかってきた。

「いったいどこにいるの!!」とマリアム。

「わからないわ。アマンダに聞きたいのだけれど今は運転に集中してるから。」

 すると、別の電話から音楽が流れた。

「雅美、その着メロ、旦那の電話なの。とってくれる?」とアマンダ。

「…えっつ?」 と雅美。

「はやく!! 雅美が出るって言ってあるから」とアマンダ。

「えっと…」と言いながら雅美はマリアムの電話を切ってアマンダの電話をとった。

「はい、雅美です。アマンダは今ドライブ中なの」と雅美が言うと、アマンダの夫は道順を詳しく説明してくれた。

 すると、もう一度、マリアムから電話がかかってきた。この時はまだアマンダの夫との電話に出ているので、雅美はマリアムの電話を無視した。

 アマンダの夫との話を終えると、もう一度マリアムから電話がかかってきた。この時は雅美はアマンダの夫から説明された道順を忘れないようにするため、話をすることを断った。

「今、食べるところ探してるところです。後で電話ください」

 

 そしてしばらくすると、今度はモハマッド博士という男から電話がかかってきた。

「もしもし、… もしもし… 聞こえないのですけれど…」

 雅美は電話に出たが、電話の声が聞こえなかったのだった。モハメッド博士は何度も「ハロー、Yes I can hear you」と言ってきたが、雅美には聞こえていなかったのだった。

 男から2,3回電話がかかってきたが、同じ状況で終わった。

 

 ここまでくると、アブドゥルとその部下たちは苛立ってきているはずだった。

 

(続く)

 

 いつもお読みくださりありがとうございます。ブログで何度か取り上げた瀕死の未亡人(または富豪)詐欺。これは余命幾ばくもない大金持ちの男性か女性が、身寄りもないため莫大な遺産を孤児院や教会、あるいは被災地などの困っている人々のために役立てたい、そのための手助けをしてほしいと頼んでくるというものです。そして、その大金の銀行からの受け取りを委ねると、登場人物は病床の人物から銀行員や弁護士などに入れ替わる。本番の詐欺行為は、この登場人物が入れ替わった後のストーリーです。大金を送金するために、手数料や税金などの費用が発生。その都度、被害者はお金を請求されます。しかし本当にその大金が被害者の銀行口座に入ることはありません。

 

  今までのBaiting記事とは趣向を変えて、もう少し読み物的に脚色してみました。従いまして内容的には「本当にBaitingで相手からゲットした内容」を残しながらも創作・脚色も加えています。その点ご注意ください。しかしながら手口の紹介としての役割を壊さないようにはしています。尚、この詐欺師の情報はScamwarnersに掲載されています。
 

登場人物

雅美 :本人女性。

ベルナデット:瀕死の未亡人

アブドゥル:マレーシアのメイバンクの役員

マリアム:銀行のスタッフ

アマンダ:雅美のマレーシア人の友人。

アマンダの叔父と従兄

 

略語説明

KL クアラルンプール (マレーシアの首都)

JB ジョホールバル (シンガポール国境近くにある都市。)

KLIA クアラルンプール国際空港

 

これまでのお話

 雅美はフェースブックで受け取ったメッセージのベルナデットという女性にメールをすると、その女性は余幾ばくも無い富豪の未亡人で、身寄りがないので自分が死ぬ前に信頼できる誰かに巨額の財産を託して、それを困っている人々を助けるのに寄付をする手助けをしてほしいと頼まれる。そして銀行の連絡先を伝えられ、銀行の役員、アブドゥルとのやり取りがはじまる。ベナデットの巨額の遺産を受け取るために、クアラルンプール行きの航空券を購入してしまった。慌てたアブドゥルは、日本に届けるオプションについて説明するのだが。

 

略語:

KL クアラルンプール

KLIA クアラルンプール国際空港

第三話 だからクアラルンプール

 

 アブドゥルがアサドという外交官が荷物を届けてくれるとの話をはしてくれたが、雅美は既にクアラルンプール行きを心に決めていた。

 

 雅美はエアアジアの航空券予約サイトで航空券を即に予約した。6月16日クアラルンプール着、18日発。そして、古くからの友人であるクアラルンプール在住のアマンダという中国系マレーシア人に電話をした。

 「アマンダ、実は用事があって16日からクアラルンプール行くの。会えるかな」

 すると、アマンダは大喜びで答えた。

 「当然よ。二年前に一緒に北海道行って以来ね。あの時は楽しかった。空港に迎えに行くよ。」

 「ありがとう。でも自分で行かなきゃならないところあるから、空港でレンタカー借りようと思ってるの。

 「レンタカー? だったらうちの叔父の店で借りるといいわ。前は修理工場だけ経営してたんだけど、私が日本駐在中に車を車検に出した時に代車出してもらったことをヒントにレンタカーも始めたの。もちろん、友だち割引するよ。ダニエル叔父さん、覚えてる?」

 「ええ、シンガポールに駐在してた時、あなたの家によく来てたね。冗談ばっかり言ってたけど、真面目な話になると結構まともな話してくれてたよね。今もJBにいるの?」

 「お店はPD(ポートディクソン)よ。従兄夫婦がJBの店を継いでるの。」

 アマンダは何としても親族企業の利益になることをしたい様だった。そして雅美にはそれを断る理由もなかった。アマンダ自身も、今は雅美と一緒に仕事をしていた会社のシンガポール法人を辞めて、夫が設立した会社の共同経営者としてクアラルンプール在住の外国人向けの不動産紹介をしているのだった。日本留学と駐在経験を活かして、日本人向けの物件の扱いをアマンダは得意としていた。

 

アブドゥル宛の雅美のメール:

私はもうKL行きの航空券を買いました。6月16日の早朝にクアラルンプールに到着します。4750ドルは持参しません。KLについてからKLの日系銀行のATMでお金をおろします。あなたの銀行の所在地を教えてください。

エアアジアの特別割引なので、キャンセルが出来ません。明日の夜遅くにエアアジアで出発して、翌朝6月16日早朝にKLに着きます。私の友人が迎えに来てくれます。

 

それからあなたのオフィスに直接行きますので、住所を教えてください。

 

それから、私はKLの日系銀行に行ってお金を私の口座に送金してもらうので、大きな箱を日本に持ってゆく必要はないのです。

 

何処でお会いできるのか、場所を指定してください。

 

 雅美が予想に反してクアラルンプールに来るということで、計算違いに計画し直しをするアブドゥルであった。そして、マリアムとモハメッド博士という銀行スタッフの電話番号を知らせてきた。しかしメールの宛名が異なる。

 

アブドゥルのメール:(宛名が異なる)

I received your mail with thanks,Kindly confirm your flight schedule because is very important that you arrived on the date 6/16/2017 in Kuala Lumpur as you schedule in your email so that we will be attending to you when you arrive Malaysia.

 

I will meet with you when you arrive Malaysia for a brief meeting and for signing of release documents and payment of ($4,750.00 USD) dollars being the Administrative/Government Stamp Duty,then after the meeting,I will proceed for clearances,after I have completed the whole process I will use my connections after you must have confirmed your funds in cash we now move the funds into the bank with you for final process.

Call the worker's in Our Office ,

Mrs Mariam (削除)

Dr. Mohammed (削除)

You will provide to me with your international passport copy for identification , also to enable all the documents presented to you after the clearance for signing.

 

I will equally use my good office to assist you in making sure that the funds are been moved successfully into your account in Your Country or any bank of your choice without any obstacle.

 

I will arrange a direct bank to bank transfer to your bank account in Your Country after the inspection, and transfer copies will be given to you.

 

I will be expecting to receive your confirmatory email in no distant time.

 

Thanks for your Understanding and Co-operation.

 

Sincerely yours,

 

Yours in Service,

Mr. Abdul

Tel:

 この後、慌てて雅美宛に書き直してくるアブドゥルだった。(メールの内容は同じ出るため省略) 思わず突っ込みを入れてみたくなった雅美。

 

雅美のメール:

( )ってどなたですか?

あなたのオフィスの住所を教えてください。私はダマンサラからドライブしてゆくのにプリントアウトしなければなりません。

この住所で良いですか? (本物のマレーシア国立銀行の住所)

Address: Bank Negara Malaysia,

Jalan Dato' Onn

50480 Kuala Lumpur

 

 雅美の突込みに、アブドゥルは銀行のスタッフの名前だと言い訳をした。そして、サイバージャヤにある別の住所(マレーシア国立銀行の場所ではない)を指定してきたのだった。

 

アブドゥルの返事:

Noted , the Name is for one of our worker in office , and this is where you have to come Branch: Cyberjaya, Address : Glomac, 63000 Cyberjaya , Selangor , Malaysia, Once you there call those to Number ,

 

6月15日。

 雅美はアブドゥルから伝えられた住所をGoogleで検索した。実在する場所だ。商業施設やオフィスなどが入っている一角らしい。

 

雅美のメール:

Glomac Cyberjayaを地図で見つけました。何時までに行けばよいですか?

 

 

アブドゥルの返事:

This is to bring to your understanding that you have to come by 10: am , and be informed before Coming Call our Number's before Coming so that our worker's will be there for the meeting,

 

 アブドゥルは雅美に朝10時までに来るように指示する。しかし雅美のフライトは夜遅く羽田発のエアアジアだったため、この後は返事をしていないのだった。

 

(続く)