23-7-28(金)

 学習院女子大学が近日中に学習院大学に吸収合併されることを昨日ネットで知った。

前にも書いたが、学習院女子短期大学には斎藤文嗣先生がいらして、週に一回、学習院本校の心理学科の演習を担当していらした関係で、私は随分とお世話になった。斎藤文嗣先生は京都大学教育学部の大学院で(一応)臨床心理学を専攻されて(ということになっていたが、実際斎藤先生がその学者生活を通して何を専攻されたのか良くは解らない。)河合隼雄などとも交流があったらしい。前も書いたが、当時多くの短大でも教職課程の関係で、「教育心理学」と「青年心理学」それに一般教養の心理学を週に2コマくらい担当する先生が必要とされていて、そういった関係で京都大学の大学院から学習院女子短期大学に就職された(ようである)。短大唯一の心理学の教員とのことで、心理学関係の仕事は何でも押し付けられたらしく、短大の学生相談室のカウンセラーも兼任されていた。そういった関係で、かなり広い研究室を短大からあてがわれて、私が訪ねていくと「は~い、どうぞ」と奥の方から招きいれてくださって、学生相談室でいろいろ雑談や私の卒業論文の指導などしていただいた。先生の研究室には日本文学全集、アダム・スミス、ヘーゲル、マルクス、それに吉本隆明とかそんな本ばかり置いてあって、いずれにしても心理学の本は見当たらなかった。当時女子短期大学と学習院女子部(中等科・高等科)は戸山の同じキャンパスに同居していて、私のような若い男性がキャンパスに入ろうとすると、守衛の人に呼び止められた。そこで私も「短大の斎藤文嗣先生に用事があります」と言うと印籠の如く効果があり、簡単にキャンパスに招きいれられた。その斎藤文嗣先生が口癖のように言っておられたのは「短大の時代は終わった。地方の短大から潰れていく」であったが、学習院女子短期大学は4年制に改編され、この度さらに本校の学習院大学に吸収合併されることで、一通りの決着を見た。今斎藤先生はどんなお気持ちであろうか?

 当時(現天皇陛下が学習院大学に在学されていた前後)、学習院大学の偏差値は不当に高かった。今ではGMARCHとかいう言葉があるらしいが、MARCHよりちょっと上だったんじゃないかな。いずれにしても上智大学の心理学科とたいして偏差値は変わらなかった。この理由の一つに、上述のように宮様が文学部史学科にいらしたので、女子学生は縁談などで何かと有利であったことで意味もなく史学科の偏差値が高かったこと、(心理学科には私と入れ違いで川嶋紀子様が入学され、政治学科には秋篠宮様が入学された。)が挙げられる。もう一つは学習院高等科及び女子部(中等科・高等科)の学生と全国からくる推薦入学の学生を受け容れなければならなかったので、実際私のように入学試験の一発勝負で入学してくる学生の枠は著しく「狭き門」をくぐらなければならなかったため偏差値が高めに出たことが挙げられる。要は学習院大学は昔からかなり「青田狩り」をやっていたのである。

学習院大学は当時「教授1流、校舎は2流、生徒は3流」と揶揄されていた。これはある程度事実であった。学習院大学の1流の先生方の中では女子部の学生の評判はものすごく悪かった。当時、学習院の心理学科の偏差値は上述のようにMARCHより若干高めであったが、学生はバカばかりであった。学期末試験の前には語学(英語、ドイツ語、フランス語)の試験があって、その対策としてテキスト全文の完訳のコピーがまわってくるのであるが、学習院女子部出身の子の翻訳は読めたものではなかった。一例を挙げると「彼は彼女を笑うのを助けることが出来なかった」(そもそも日本語になっていない。原文はHe cannot help laughing at herに相違ないのだが、この女子学生、cannot help~ingという構文を知らないらしい。私は彼女を笑うのを助けることが出来なかった、笑)というような文章が延々と続くのだから、学習院大学の付属校の学力がいかに低いかお解りになるであろう。大体世間の人は有名大学の学生の能力を高く評価しすぎている。MARCHは勿論、早慶の学生であっても一応名刺を渡されてご挨拶をするときに「慶応の経済学部ですか。優秀ですね」とか何とか言っておくのはいいが、それはあくまで社交辞令にとどめておくべきである。

そういう女子部出身のバカ学生も就職はものすごく強かった。学習院女子部に入学するような女の子は良家の子女が多く、したがってコネでほとんど有名企業に決まってしまうのである。そして当時は3年くらい(女子短大の場合5年くらい)一部上場企業(今のプライム企業)で働けば、それなりの良い縁談がまわってくる。この時に「学習院女子大学」(あるいは学習院大学)というブランドはその絶大な効果を発揮する。(特に地方の高校から推薦入学で入ってきたような女子学生。)

私は中学生・高校生の時に男子校、女子校で学ぶことには実は賛成である。特に女子の場合、男に媚びへつらうことなく学力を伸ばすためには女子中高は良い環境である。しかし大学(や短大、あるいは各種専門学校)は男女共学の方がいいのではなかろうか?学習院女子短期大学、そしてその後進学習院女子大学は一応穏便に統廃合され、潰れることはなかったが、今後学習院大学は女子部からの水増し学生が増えていくためますますぬるま湯と化していくであろう。ただ、そういう学校もある程度必要なのかもしれない。

最後に、GMARCHと言う言葉についてであるが、偏差値でくくるとそうなるらしいが、私はあまり好きではない。学習院大学(及び大学院)は良家の子女が出身大学として在籍するお嬢様ぬるま湯学校であり、明治大学や法政大学と同列に論じられるべきではない。ただ、一部の学問を真に極めたい高校生にとっては居心地のいい場所かもしれない。