22-6-8(水)

 黒島結菜主演『ちむどんどん』の評判が相変わらず悪い。私は読んでいないが、先日は「文芸春秋」の中で、作家の林真理子氏が、前作の『カムカムエブリバデイ』を絶賛し、『ちむどんどん』と黒島結菜を酷評したそうである。林真理子氏(私は名前くらいは何となく知っているが、どんな人で、どういう小説を書いているか全く存じ上げない)は今何かと話題が多く、スキャンダルで揺れている日本大学に今度総長として就任するらしい。林真理子氏と日本大学とどういう関係にあるのか全く知らなかったが、ちょっと調べたらすぐに解った。彼女は日本大学の芸術学部を卒業している。林氏は黒島結菜も実は日本大学芸術学部に在学していたことがある(芸能界の仕事が忙しくなったので中退したらしいが)のをご存じなのだろうか?言うなれば後輩叩き、底意地の悪いお姑さんが若い可愛いお嫁さんを虐めているようなものである。私のブログは大学論に人気があるが、今日は日本大学について思うところを書いてみよう。

 日本大学は日本一学生数の多い超マンモス大学である。(ちなみに次に定員の多いのは早稲田大学、その後明治大学、法政大学が続く)。ただ、この大学は果たして一つのまとまった総合大学とは言えるかと言う疑問がある。というのは日本中あちこちに単科大学のキャンパスがあり、それぞれの単科大学の上に「日本大学」という組織がある。今はやりの言い方をすれば持ち株会社「日大ホールデイングス」があって、その下に日本中あちこちにある単科大学がぶら下がっているというような運営形態をとっている(らしい)。同じく女性(田中優子氏)の方が総長の法政大学は理科系と多摩キャンパス以外は市ヶ谷にまとまっている。これは法政大学の強みである。ここの第一教養部に私の学籍は未だあるのだが、実は私は一年だけここの第一教養部に在籍していたことがある。「法政には東大ではかかえこめない一流の学者が集まっている」という噂にたがわず、非常に知的好奇心をそそられる講義が多数そろっていた。特に人文地理学と計量経済学の講義が面白かったが、いずれにしても文系の学問の場合、学際領域の研究が多いので、一つのキャンパスにまとめておいた方がいい。田中優子氏はこれを上手く利用しているようで、学際領域の学部を次々に創設し、それぞれがとても人気がある。(高畑充希もここの「キャリアデザイン学部」の出身であるらしい)。林真理子氏が日大を立て直すのには苦労をするかもしれない。ただ、女性の総長が増えるのはそれはそれで面白いし、林氏のこれからの手腕には注目したい。

 上述のように日本大学は単科大学の連合体なので、理系の学部(藤沢にも確か獣医学部と何か生物学関係の学部があるらしい)などどうなっているのか解らないので書かないが、芸術学部に関してはいろいろ良い噂を聞いている。林真理子氏がここの卒業生とは知らなかったが、南沙織さんの夫、篠山紀信さんもここの出身であるなど多数のサブ・カルチャーにかかわる卒業生がいるらしい。黒島結菜も写真に関心があり、そういう勉強をするためにここに入ったなど、将来芸術家(?)を志し、そういう仲間を作りたいのならいい大学ではないであろうか(ただし、就職に関してあてにならないが)。

 日本大学で学べない学問は、キリスト教神学など特別な学問を除いてはないであろう。心理学科は文理学部の中にある。意外と知られていないが、日本大学心理学科は名門であり、私の知り合いでも知っている人も多いので敢えて実名は出さないが、優秀な卒業生が多い。私が学習院大学にいた頃には大山正先生、末永俊郎先生など東大の定年退官組の大物をスタッフに抱えていた。ロールシャッハ・テストの細木先生もいらしたはずである。ここの大学院を出て各地で大学の教員になる人も多い。大学院卒業後の臨床の就職も結構いいらしい。

 あと私が注目しているのは法学部で、ここは明治時代に創設され、神田5大学(ここと専修大学、明治大学、法政大学、中央大学。中央大学はもうすぐ神田に戻ってくるらしいので楽しみである)と呼ばれていた時代があったそうである。明治時代に法律を学んで、日本の将来のために働くという書生さんたちがここで切磋琢磨したと思うと何か国木田独歩の小説を連想してしまうようなロマンがある。(このように似たような校風の大学をまとめるのは嫌いではない。日東駒専とかいうと私には違和感があり、「社会科学系の日大、専修。人文科学系の東洋、駒沢」と私の中では瞬時にグループ分けしてしまうのがほとんど“第二の天性”になっている。)実は日本大学法学部は結構司法試験には強く、伝統は伝統だけのことはあるなと感心してしまう。他の学部のことは良く知らないのでこれ以上書かない。何にしても大学選びはその大学の歴史や設立理念、校風で選らぶのが基本である。

 最後に『ちむどんどん』の不人気についてであるが、今週に入って見ていないのでコメントは出来ないが、脚本や演出が酷いらしい。私は読者の皆様にお願いしたいが、『ちむどんどん』は嫌いになっても、黒島結菜のことは嫌いにならないで欲しい。このままでいくと『ちむどんどん』は『まれ』や『半分、青い』の2の舞を踏むことになりかねないが、黒島結菜は可愛いしいい子であり、日本大学の芸術学部に在籍していたことがあるなどじつは賢い女の子なのである。