昨日は長いゴールデン・ウイークの最終日であった。父の誕生日とのことで、親戚一同で集まった。親戚一同が集まるのは5年ぶりくらいかもしれない、私には子供がいないので、甥や姪と久々に会えるのを楽しみにしていた。甥の一人で、クリエーター(?)になろうとその関係の大学に入った子がいる。

 話は変わるが、今年の3月くらいから、夜の時間―風呂から出てから寝るまでの1時間くらいーネットで昔の日本のテレビ番組を見ている。どうしてこんなことを始めたのか良く覚えていないが、公認心理師の試験勉強を始めたので、それなりに気晴らしをする必要を感じていたのであろう。(現在ではこの時間も試験勉強に充てている)。その中で偶然見た『ウルトラQ』のクヲリテイの高さは衝撃的であった。多分最初はウルトラシリーズの中の最高傑作であるとされている『ウルトラセブン』から見始めて、やがて『ウルトラマン』、そして『ウルトラQ』に出会ったのであろう。これは単なる子供騙しの怪獣映画ではない。大体最後に怪獣を倒す正義(?)のヒーローが登場しない。男性のパイロットとその助手、そして架空の新聞社の女性カメラマンの3人が一応レギュラーであるが、その3人が毎回いろいろな怪事件や怪奇現象に出会い、それを解決していく(解決しない場合も多い)というのが大体のあらすじである。怪獣も登場しない回も多い。ウルトラマン、ウルトラセブンの場合には、いかに怪獣や宇宙人が強くて暴れて、警備隊の戦闘機が出動しても手に負えない事態になっても、最後にウルトラマンやウルトラセブンが登場して怪獣をやっつけてくれることが解っているので、子供には面白いのかもしれないが、私には退屈である。『ウルトラQ』の場合にはそれがなく、人類が負ける話しも結構あるので、最後まで目が離せない。さらにこの番組は白黒で製作されていて、1966年当時の風俗などが描かれていて、私には懐かしい気持ちを起こさせる。(これは今の人には解らないだろうが、それはそれで仕方がない)。

 話しを戻すと、甥に出会ったら「クリエーターになりたいのなら、『ウルトラQ』くらいは見ておいたほうがいい」と助言しようと思っていた。ところが驚くべきことに、甥は『ウルトラQ』を知っていて、さらにそれを大学の授業で何話か視聴したらしい。あとから聞いたところでは、その大学では単にインターネットやプログラミングの知識を教えるだけではなく、そうした文化(サブ・カルチャーというらしい)の歴史も教えているとのことである。確かに日本のサブ・カルチャーはレベルが高く、大人が見ても楽しめるものが多い。かつて平成仮面ライダーを見ていた時期があり、私は『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダーブレイド』を見たが、そういう話しを看護学校の講義などですると大いに受けた。若い男性だけではなく、女性たちもそういう文化にとっぷりつかっている。(平成仮面ライダーの場合は、もはや小さな男の子ではなく、若い女性をターゲットとして制作されている)。

 話しがあちこち飛ぶが、図書館で『ウルトラQの誕生』(白石雅彦著、双葉社)という本を借りてきて読んだが、それも面白かった。1964年に東京オリンピックが開催され、その頃を境にテレビが急速に普及し、エンタテイメント(大衆の娯楽、サブカルチャー)というものも映画からテレビに移行していった。そうした中で、映画『ゴジラ』をヒットさせた円谷英二と円谷プロが、大人も子供も楽しめる作品ということで総力を挙げて制作したのがこの『ウルトラQ』であった。結果、ほとんどの回で30%以上という驚異的な視聴率を取る人気番組となった。制作過程ではいろいろな偶然やスポンサーの意向などがあるなど多少方向性が変わったところもあるが、いずれにしても円谷英二という人は偉大なクリエーターである。私は甥にもそういう人間になってほしい。

 こういうサブ・カルチャーの歴史というものは、一般には社会学に分類されるのであろうが、普通の大学ではほとんど教えることがないのではないか?何にしても日本のアニメやテレビ番組のレベルは世界のトップレベルにあり、諸外国から羨望のまなざしで見られている以上、私たちももっとこうした文化に目を向けるべきなのだと思う。

 

(1966年に放送された『ウルトラQ』の大ヒットが映画の斜陽とテレビの隆盛を象徴しているように、これからはテレビ産業はすたれ、インターネットに変わられる時が来るであろう。いや、すでに来ているのかもしれない。2009年の衆議院総選挙の時に、テレビと新聞が自民党に対する徹底的なネガテイブ・キャンペーンを行い、結果として民主党が政権をとった。その後、民主党のあまりに酷い政治、そして2011年にテレビが地デジ化されたあたりでテレビや新聞とインターネットの影響力は逆転したのではないか。今、審議に応じようとしないガキのような野党が総選挙に持ち込んでも、恐らく自民党は大勝、そして立憲民主党など野党は大敗するであろう。もうテレビの時代は終わったのである。NHKとフジテレビの諸君はこのことを肝に銘じるように。)