バスで小学校の頃の同級生、カズと会った。


カズとは結構仲良しで、

クラスは違うかったけど、私のクラスが終わるまで待ってくれて

よく一緒に帰ったりした。



私が知らなすぎるだけなんだろうけど、

カズは物知りだったし

ちょっとクールだったから

いつも「こいつ、すげえな~」と思っていたし

尊敬していた。



小学校5年生の時、「お前好きな奴いんの」と訊かれた。

私は、1年生の時に婚約した優太が好きで。


「俺もいるから、ヒント出し合っていこうぜ」

と言われて

何年生、何組、去年は何組だった、など

ヒントを出し合う。


カズは最後の2人に絞られた。

私か、私の親友のはるかだった。


はるかか~!と思った。

私は結構図々しいタイプで、積極的に話しかけてくる

ソフトバンクのお兄さんを見て

「こいつ私に惚れてるんじゃねえの」と思うような女だけど、


カズが私のこと好きだなんて欠片も思わなかった。


私は、優太が好きだということをカズに言った。

そして、

「カズは、はるか?」と訊くと

カズは「外れ」と言って走って逃げた。




え?



外れ?待って、外れってことは?

私っすか!?




カズを追いかけた。

同時に、頭の中でカズってやっぱりすげえな~と思った。

私の好きな人は、カズじゃない。

それを知っても、私が好きだって言えたんだ。







そんなカズにバスで会った中学3年の夏。

カズは彼女がいるらしい。

いそ~、モテそうだもんね~と冷静に思った。



なぜか小学校の頃の話になって、

5年生の時の話になった。そう、あの時の。なぜか。

するとカズが、「つきあってみよっか」と言った。



え?ええ!?


「あんた彼女は!?」と訊くと

「自然消滅しかけてるし」と言われた。


私は頭がパニックになった。


実は、まだ優太のことが好きだったこともある。

年に1回地元で開かれる夏祭りで、優太に会えることを楽しみにしてた

そんな中学3年間。乙女ですから。


でも、年に1回しか会えない優太を想うよりも

目の前で好きだと言ってくれるカズ、

しかもカズとは、小学校卒業して以来初めて会ったから

もしかしたらずっと私のこと好きでいてくれたのかもしれない。


違うかもしれないけど。



そして、中学3年生、思春期まっさいちゅう。


つきあう、ことに興味あるに決まってる。



YESと答えてしまうのだった。

私は、私立の中学に通っていた。

だから小学校の同級生達とは、別の中学に通っていた。


本当は地元の皆と同じ中学へ行って、

一緒に高校受験の勉強がしたかった。

それに、好きな人がいた。小学校1年生の頃からずっと。

彼は覚えてるかわからないけど、

1年生のとき、「結婚しようね」って言ったんだよね。

私は乙女だから、その言葉が気になってしかたなかったのだった。



最初は親も「受験しなくてもいいから、とりあえず塾に行こう」と

言っていた。

当時、私はピアノを習っていて

毎日の練習が嫌になっていたところだったので

ピアノをやめられるなら塾に入る、と軽い気持ちで入塾した。



塾は楽しかった。

というか、塾の理科の先生に私はホの字。

初めての授業で、先生は

「いいか、お前ら!努力は絶対にお前らを裏切らないんだぜ!」

と、ものすごいデカイ声で叫んだ。


ホットなもの大好きな私だから

「この先生、かっけえ~!」となるのです…。


その先生に、

「お前は良い奴だ。なかなか理解されにくいかもしれないが、

お前を分かってくれる奴は必ずいるから。 自信を持て。」


と言われたことがあって、

この言葉は私の励みになってる。



先生が好きで塾もやめられず、

周りも受験受験で頑張っていて、先生にも応援され

引くに引けないところまできてしまった。


なぜか、こんなところでバカ正直な私は

真面目に試験の問題を解き、受かってしまった。




そして、遼や美歌と出会う中学に入学した。


最初は、好きじゃなかった。

地元が少々田舎だったため、小学校の同級生は

のんびりした平和主義の人の良い奴ばかり。


でも、この中学は入学して早々

髪の毛が茶色い子はいるわ

毎日イジメは起きてるわ、で私は参ってしまった。



今思うと

思春期だし、どこもそうなのかなあ?


ちなみに、女子校です。


私は感情的なので、すぐ美歌とケンカになった。


「リストカットするなって言ってんじゃん!」

「ほっといて!夏にあたしの気持ちわからないよ。」

「お前がリストカットするなら、あたしも今からハサミで切ってやる」

と送って、メールを切ってやった。



すると、すぐに電話がかかってきて

「…やめて…。やってないよね…?」って

さっきまで感情的でキレていた美歌は

とても心配そうな声を出した。



リストカットする気なんか全くなかったし、

美歌が電話かけてくると私にはわかっていた。



「何で?」

「危ないから…」

「じゃあ、お前もやるなよ…」

「夏が傷つくの、嫌だ。」

「あたしだって、美歌が傷つくのは嫌だよ」

「…そうだね。うん。ごめん。あたしがバカだった。」




実は一度だけ、リストカットをする人の気持ちを知ろうと思って

軽くハサミで自傷したことがある。


遼には話してない。

きっとボコられるじゃすまないからね。


もう二度とやらないけど。




試験中、美歌が何かあったみたいで凹んでいた。

私と遼は美歌を呼んで話をした。



遼に

「余計なこと言ったら、お前の足蹴るから、そしたら黙れよ」

と釘をさされた。

そう、私は感情的なのですぐに口をすべらしてしまうのだった。


遼が

「何かあったなら、何で夏に電話しねーんだよ」と言う。

え?自分の名前は出さねーのかよと

私は心の中でつっこんだ。


「だって、試験中だし、迷惑だと思った」と答える美歌に

「こいつがそんなこと気にすると思うか!?なあ?」と

今だ言え、という顔で私に話を振ったので

「おおよ。あたぼーよ」と返す。

「心配なんだよ。私も、遼も。美歌のことが好きだから。

 そんなこと気にするわけないっしょ?テストなんか今更だしね(笑)」


本当に。



「何かあったら、すぐ夏に電話しろ。わかったな?」

「うん…ありがとう」


遼は、「じゃ!見たいテレビあっから帰るわ。はっはっは、頑張れよ」

と言って帰ってしまった。


私と美歌は、何時間が散歩した。

「家に帰りたくない」と言った美歌に、つきあって。