「漫画職人松村努の魂のブログ❗」 -9ページ目

今も思う「あの時に比べたら」なこと。

3日間意識を失って


気がついたら家から2時間近くかかる大学病院にいて


背中に激痛


声が出なくて


首から下は手の指がピクピク動くくらい


それでも透析無しでは3日と持たない身体


ひとりで起きれず寝返りも打てず


トイレにも行けず


変なドロドロミキサーされたものしか食べられず


全く知らない人に生殺与奪の権利を委ね


毎日来てくれる奥方様に意志疎通がうまく出来ず


要介護認定Aをいただいてしまった


怖くて不安で申し訳なくて


なんで俺なんだ?とメソメソ泣いて


それでも意識だけはやたらとハッキリしていて


耳だけはかなりクリアで看護師たちの悪態は聞こえて


死んだ方がましだとしか考えられなくなり





2週間でブチ切れた

嘆くばかりの自分にブチ切れた


それまでも辛く大変なことはたくさんあったけど

確かにこれはその中でも最大級だ


だからといって嘆いてばかりの無様な自分に

無性に腹が立った



2週間も無駄に使ってしまった


それから1ヶ月で退院してやった



今はまた漫画も描けてソフビも造れている

鉛筆も持てず自分の名前も書けなかったのに



死なない限り頑張ったら

なんとかなるもんだ


と、時々思い出しては

今も頑張っている





「わがまま怪獣ダスティ」そのじうよん。

「ダスティ」「ラグー」「アグーアグー」「ウビビー」「ピーチピーチ」などなど、

僕が考えた怪獣たちは名前からして既存の怪獣っぽくないです。



「おこりんぼ怪獣ウビビー」


「くだものののろい怪獣ピーチピーチ」

アメリカのアニメを意識してデザインした際に
やはり名前もアメリカのシュールアニメの名前の雰囲気を取り入れようと考えた変な響きの名前です。

いわゆる日本の典型的な「~ドン」「~ラ」「~ラス」みたいな名前は付けないという決まりごとを作りました。

ある方たちには
「松村魂の怪獣は怪獣とは言えない」と言われ
ある方たちには
「そんなもの造った人間が怪獣と言えばそれは怪獣だ」
と言われ
ソフビという素材で初めて“怪獣”というキャラクターを創造することになって改めて“怪獣”という定義にまで考えを巡らせるようになるとは思ってもみなくて、
改めて漫画の仕事だけをしている頃よりも
オリジナルキャラクターを生み出すことの
大変さを改めて勉強している今日この頃です。

そして
「わがまま怪獣ダスティ」はカスタムペイント作品が
どんどん売れて気がついたら在庫がもう数えるくらいにまで減っていました。

その段階で
「松村魂」は「わがまま怪獣ダスティ」「あかんぼう怪獣ラグー」「鬼瓦ソフビ松鬼(しょうき)」「松鬼・転(しょうき・うたた)」「地球の化身イーラス」と
すでに5種類のソフビ製品を造っていましたがそこそこ売れてくれていてすでに何回も追加成形しています。

(1つだけ制作工程の面で手間も費用も掛かり成形工場も違う「イーラス」は成形工場の方のタイミングを見てからでないと追加成形をなかなか頼めません。)


しかし実は「ダスティ」だけがまだ1度も追加成形したことがありませんでした。

その「ダスティ」がいよいよ在庫が無くなって
追加成形をお願いするかどうか?という段階を
迎えました。

けれど第1号ソフビとして誕生して
数々の困難にぶち当たり、第2号以降のほとんど反面教師的に扱われて来た「わがまま怪獣ダスティ」を
普通に他の作品と同じように追加成形して良いものかどうか、僕以外の人間はみんな躊躇しました。
当然と言えば当然です。

そしたらなんと❗
イベントを始め通販サイトでも
急に「スタンダードカラーダスティ」が売れ始めたのです。
ここ数年
頑張って諦めずに試行錯誤しながらそのポテンシャルを信じて猛アピールし続けていたらいつの間にか
お客さんの方が1周したというか、他のキャラ作品から
うちのソフビに興味を持ってくれた最近ソフビにハマリ始めた新規ソフビファンの人たちが改めて「松村魂」ソフビのスタンダードを気にかけてくれるようになったのです。

中には「わがまま怪獣ダスティ」を他のアート作品と同等かそれ以上に高く評価してくれたり、ここに来て発売当時はあれだけたくさん説明しても誰1人理解してくれなかったうちのキャラクターのアピールポイントを勝手にキチンと解釈してくれてそれを拡散してくれて、その模様を見てまた購入者が増えるということが起こりついに3年かかって「松村魂」ソフビ第1号『わがまま怪獣ダスティ』は在庫を全て完売して追加成形に踏み切ることになりました。

初めての単行本の見本が
家に届いた時と同じ涙が溢れました。

最初の最初のサンプル見本が届いた時には
なかった、やっと1つ目標に辿り着いた感が
実感で沸きました。
他のメーカーさんたちから見たら
鼻で笑われてしまうことなんでしょうけど
僕にはそのくらいの感動で、全くの手探りで造り上げた
ソフビ第1号『わがまま怪獣ダスティ』が
ようやく「松村魂」ソフビ第1号として完成した感が生まれました。

まだまだ
ソフビファンの方々からは鼻にも引っかけては
もらえない作品かもしれませんが『わがまま怪獣ダスティ』は紛れもなくうちの看板キャラクターになりました。



おしまい。


「わがまま怪獣ダスティ」そのじうさん。


「わがまま怪獣ダスティ」の「わがまま怪獣」とは

最初は「怪獣」ってそもそもわがままな生き物なんですけどその中でも敢えて「わがまま」が頭に付くくらいの「わがまま王」なある意味ふざけて付けた名前ではあったのですが、


怪獣ソフビ第2号「あかんぼう怪獣ラグ―」を制作した際に改めて「わがまま怪獣」という冠の新たな設定を考える必要がありました。

イベントで「わがまま怪獣」の意味を尋ねらる事が増えてきたからです。


で、うちの奥方様が

「怪獣なのに尻尾が無くてプリっとしたお尻がダスティのチャームポイントです!」とお客さんにアドリブで対応していたのを見て「それイタダキ👍」ということで

『わがまま怪獣ダスティの“わがまま”とは[わがままボディ]の“わがまま”怪獣ダスティ』にすることになりました。


でその後からは

事ある毎に『わがままボディ』を推していったら

あるイベントでビックリすることが起こりました。



東京ビッグサイトで行われた
『デザインフェスタ』でのことでした。

デザインフェスタには以前から買う側というかいろんな作品を購入したくて(主にオリジナルキャラクター作品か絵本かコミック目的で)通ってました。
脳梗塞を発症してからはなかなか遊びに行けなくなって
さらに腎臓移植が完了するまでこういうイベントは遊びに行けなかったので客としてではなく出展する側として本当に数年ぶりにビッグサイトに乗り込むことになりました。

数年ぶりのデザインフェスタは
相変わらずの多種多様な作品ブースの数と
アートイベントの独特な雰囲気はあまり変わっていなかったのですが、人気のブースや会場を賑わせる人気のキャラクター等が自分たちが通っていた頃のものとは変わって新しいものや新しい人になってました。

その中でも
デザインフェスタ会場のショースペースで一番人気のシュールコント芸人の方(通ってなかった間に現れてデザインフェスタではお馴染みのキャラクターになってました。)が、自分のショーの時間を会場を回って宣伝している最中になぜかうちのブースに立ち止まり、
よりによってスタンダードカラーの『ダスティ』を手に取り「この怪獣超気に入った❗️」と言い出したのです。

たまたま僕が留守にしていて慌ててブースに戻っている最中奥方様が例によって「わがままボディ」に関して猛アピールしていると「この尻はうちのばあちゃんの尻だ❗️次は買いに来ます❗️」と周りに聞こえるように(芸人さんなんで声はデカいですけども)言って去りました。

戻ってからすぐにその様子を聞いて
慌てて当人に挨拶させていただいてから次回のイベントでまたブースに来ていただける約束をして半年後のデザインフェスタで
ダスティ目当てに本当に遊びに来てくれたその芸人さんに
その方のイラストが口の中に描いてある限定ペイント作品をプレゼントしました。そしてその後に行われたショーも見させていただきました。


それ以来毎回デザインフェスタに参加する際は必ずブースに遊びに来てくれる間柄になりました。

彼のSNS等でも『ダスティ』の宣伝をしてくれたりと本当にありがたいことになっています。

そのおかげなのかなんなのか、
流れが『ダスティ』にようやく向いて来たということなのか、それ以降の他のイベントでも通販でも
急にスタンダードカラーの『ダスティ』が購入されて
いろんな人からの高評価が届くようになりました。

カスタムペイント作品の売れ行きと合わせて
急激に家にある在庫が減っていきました。


続く。