日本人とキャラクターという存在。 | 「漫画職人松村努の魂のブログ❗」

日本人とキャラクターという存在。


日本にたくさんのキャラクターがいて

他の外国に比べても圧倒的に数が多く

外国の人たちにも人気なのは何故なのか。


何故日本人がそれほどまでにキャラクターを産み出すことに長けているのか?


以前にも僕の「怪獣」という存在の考え方について書いた

八百万の神、妖精

妖怪

怪獣

という解釈は

そもそもの日本人のDNAレベルでの

キャラクターという存在との距離感の近さに関係していることだと思っています。



八百万の神々とは仏教が日本に伝来して来る以前の

日本にたくさんあった信仰でそこかしこに神さまや

精霊みたいなものが当たり前にいて普通の生活で人間と共存していたものだという考え。


木や石や山や川や花にも命があって

何かにつけて話しかけていた頃にはそれらの存在と

いろんな形でコミュニケーション出来ていたとする

いわゆる「日本昔ばなし」な世界観。


仏教が日本の信仰宗教として

取って変わってからは人間とそれら精霊、八百万の神々との関係も変わりそれらはどんどん人間に存在をアピールする為だったり環境の変化に対応できずに凶暴化して

妖怪になり怪獣に発展するという僕の考えは

日本に独特の「怪獣」という概念が育つ基礎になっているものだと思っています。


同じように

日本人には太古の昔から

精霊や神々との距離感の近さに慣れ親しんでいて

それを何か形のあるものに投影して安心感を得るということは当たり前なことだったのだと思います。

それは言い換えれば自分で自分のお気に入りキャラクターを創り出していることということではないでしょうか。


なのでそういう誰しもが簡単にキャラクターというものを創造出来て簡単にそれらを受け入れることが出来るということになっていったのではないかと思います。


なので難しく考えなくても

必ずしも何かにインスパイアされなくても

勝手に何かの影響を受けていない人でも簡単にオリジナルなキャラクターをゼロから創造出来てその存在感をしっかりアピール出来るのだと思います。


ものすごく雑に言うと、

ある女の子が授業中に自分の消しゴムに目と口を描いて

「消しゴムちゃん」と言ってしまえばもう新しいキャラクターの誕生です。

その子が何に影響されて育ったとか

何かにインスパイアされたとかいうことでは

なくて「この子が消しゴムちゃんです😆」と言えば

もうその子の中では「消しゴムちゃん」は命を持って喋ったり何かしらのリアクションをするキャラクターになります。


そのくらいのことなんです。


ウンウン大人が頭をひねって考えて

思いつく人気の出そうな要素を混ぜ込んだ挙げ句に

結局どこかで見たようなものになったそれをを自慢気に「あくまでも私のオリジナルキャラクターです!」ってやるようなものでもないと思ってます。

もっとシンプルで誰とも被らないものは

ともすれば異質なものに捕らわれるかもしれませんが

そこから残っていったものはまさしく市民権を得た

完全オリジナルキャラクターになります。


多数のビジネスとしてのキャラクターという存在や外国でのようなビジネスコンテンツとしてのキャラクターという著作物は商売の手段としては1つの考えとしてアリなのでしょう。

だからといって商売目的のキャラクターが邪念に満ちているということでもなくて、

子供が突然描いた落書きのような勢いで誕生したキャラクターは子供が突然描いたから純粋だと言っているのでもなく、どちらも同じ人間が創造したキャラクターであることは変わりないのですが、

考えた人の中でのキャラクターとの距離感や考えた人の中での存在感というか誰かに共感してもらいたい願望込みで考えたキャラクターと単純に自分の為だけに描いたキャラクターとの描いた人の中での温度の違いということが日本人のキャラクターに対する許容の深さに関係していると思います。


日本人の産み出すキャラクターは

そういう身近な存在、命を吹き込まれたいろんな形のものであるから誰にでも産み出せるし愛着も持てるし

常に側に置いておきたくなる存在なんだと思います。

スターではなくて友達と近い存在、距離感がキャラクターが長く愛されるものになるということ。



以前にも書いた

「漫画やおもちゃは子供のおやつ」という考えで

キャラクターを創造している僕からすると

キャラクターは常にどういう形になったとしても

誰かの側に寄り添うもので寄り添うことで持ち主に安心感を与えるものであって欲しいと思ってます。


現に世の中の人々をたまに右往左往させるキャラクターの誕生ってそういうものが多いと思います。


日本人にはそういうものがずっと昔から

代々備わっているのだと思います。

その能力をうまく扱える人が生きたオリジナルキャラクターを創造できるのだと思います。

そもそもの要素は純然たる日本人ならDNA的に備わっているということで受け入れることも容易く

多くの共感を得られるのだと思います。


最近になってようやく

そういうことをキチンと理解してくれる外国の人が

増え始めて日本の漫画やキャラクターがどんどん進出しているのだと思います。


日本人はどんなものにも命を吹き込んで

キャラクターを産み出す稀有な種族だということなんです。だから日本には他の国よりも圧倒的にキャラクターに溢れているんです。


という漫画描き特有の乱暴な結論でした。