03月31日、犬越路周辺の状況が知りたくて白石峠経由で大室山に登ってみた(1/2) | Cycling Wonder

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プレスポで行く神奈川の道

丹沢では東側の丹沢山や塔ノ岳を中心とした表丹沢へのアプローチに人気がある。
丹沢の西側となると数年前の台風や大雨による道の寸断のためアプローチが限られてしまう。
特に西丹沢ビジターセンター(VC)からトライできるコースでは犬越路~用木沢出合間が現在通行禁止のため限定的になっている。

(令和6年6月まで)
私が気になっている神ノ川方面の最新情報はとても少なくて、現況を理解するのが難しい。
そこで、2月の雪がほぼ消えたらしいので、西丹沢の状況を確認するために山行として甲相国境尾根を歩いてみることにした。
せっかくなので、積年の疑問の解消も兼ねてやってみたいことにトライした。

報告は2回で行います。最近では珍しくなった写真多目なので1回には収まらなかった。
1/2回目の今回は、出発から白石の滝見物までをレポート。
2/2回目で白石峠の旧登山道から大室山、犬越路、西丹沢VCへの戻りをレポート
する予定。

■白石峠の旧登山道
積年の疑問とは、白石峠につながる登山道の旧道はあったのかということ。
私が白石峠を初めて歩いたのは2017年9月で、当時の登山道はお世辞にも“整備が行き届いた”とは言えない道だった。
道標はなく、枝に巻かれたピンクテープが登山道を誘導するという、バリ路の間違いではないかと感じるような道だった。
(2024年現在は黄色の金属製の道標がこれでもかと言うくらい建てられていて、道迷いはほぼ起きないような状態に改善されている)
峠間近のエリアにあった壊れかけた階段路は、しっかりした新しい階段に改められている。
沢道では確かに丸太橋が流されていたりするけれど、新しい道標の設置で道迷いからの遭難はあり得ないと思われる。
(それだけ良くなったと言うこと)
正規の登山道はすでに3回(2017,2020,2021)歩いているので、今回は2017年に間違えて途中まで歩いてしまった旧登山道を最後まで歩いてみて、甲相国境尾根につながるのかを確認してみたのである。

↓2017年当時の国土地理院地図では、白石峠ではない1307mピークにつながる道が登山道として示されていた(旧登山道)

ヤマケイも地理院地図に倣っている


↓こちらが現在の地理院地図です。登山道のルートが変わっている。正規の登山道としてのルートは2017年と現在で違いはありません。国土地理院の地図表記が古いままだったということです。

 
■コース計画
今回は西丹沢VCを発着ポイントとして、用木沢出合を直進して林道に入り、林道終点から白石沢に沿って歩き、まず白石の滝を詳しく見てみる。
2度目の白石沢に下りて、滝つぼから滝全体を写真に撮る。
その後登山道に復帰後、テーブルが2つ並ぶポイントの近くから旧登山道のルートを上りP1307で甲相国境尾根の登山道に合流する。
白石峠で休憩後、加入動山、前大室、大室山と進み犬越路に下る。(計画では犬越路までが往路)
犬越路に着いた時の状況でその後のルートを選択する。


①ルート1=体調に問題なく、しかも神ノ川方面の登山道が閉鎖されていなければ、神ノ川ヒュッテまで下りて、戻ってくる。
この場合、時間の関係で檜洞丸へは行かず用木沢出合方面の道で西丹沢VCに戻る。
(用木沢方面の道が通行止めなのは承知しているが何とか歩けるだろうという期待)

②ルート2=体調に問題なく、神ノ川方面の道が閉鎖されていたら、檜洞丸へ向かい、ツツジ新道を下って西丹沢VCに戻る。

③ルート3=体調が悪く、上る体力がないと思われたら、用木沢出合方面の道で西丹沢VCに戻る。
犬越路への到着時刻が計画より大幅に遅れた場合も、無理せず犬越路からエスケープする。

歩き出しは日の出頃からとして、犬越路への到着が11:30頃が判断の分かれ目と考えて行動する。
(ライトなどは持って歩くが、無理はせずに明るい時間にゴールすることを優先する)

■白石峠道について
◆アプローチに上りを選択した理由
P1307へ続くルートがあることはネット情報で確認しているが、バリ路扱いのため、詳細な解説はない。
ベンチのポイントから標高差は300mほどだが、下りの場合枝尾根の選択などで間違えると道迷いになり易い。
上りの場合は尾根が収束していくので崖で行く手が塞がれない限り道を間違えることがない。
なので今回は上りルートを選択した。
大体、夕方のバリ路の下りを初めて歩く、しかも単独でとなると物凄くリスキーである。
予定より遅れて到着した場合、多分に精神的な焦りがあるので危険だ。
難しいルートに挑戦するなら朝のコース序盤が良い。

■見所
★白石の滝(しろいしのたき)
白石沢に架かる落差2段約40m(下段10m、上段30m)の段瀑(だんばく)。
付近で大理石が産出されたことから「大理石の滝」とも呼ばれている。
白石沢登山道沿いにある説明板からは滝が良く見えないことで知られている。 
滝の全貌を見るには急坂を下って沢に降りて近づく必要があるが推奨されていない。
↓これは2017年9月10日に沢へ降りて撮影した白石の滝

下段の上のテラスには左から上れるらしい。
 
★白石峠(お茶煮のコシッパ)
白石峠の道志側の呼称は現在も『お茶煮のコシッパ』だそうだ。
コシッパ=越場(こしば)であり峠の場所に付けられる名前である。
白石峠については、3つの場所が関係していて時代の変化を見ることが出来る。
国土地理院の峠位置と、現在の実際の白石峠の場所は異なっていて北側にずれている。
しかも道志側に越える道がない。
道志側に続く道は北側に大きくずれていて、新しく出来たものなので昔は尾根に沿った十字路の峠だったのが、事情により道が変わったのだろう。

◆参考までに白石峠道の攻略法を示す
林道終点(堰堤横)から白石峠までは2.3kmほどあり、行程は3つのパートに分かれる。
(用木沢出合[標高607m]~白石峠[標高1285m]だと大体距離が3.7km、標高差680m)
①序盤は沢道=沢の渡渉を繰り返す(730mほど)
・渡渉は7回。
・丸太橋は6つ。橋で渡れたのは5つ。1カ所は現場で考える必要あり。
②中盤は山道=登山道歩きと沢底歩きが続く(1220m)
 白石の滝見まで快適だが、ベンチを過ぎると沢底歩きとなる。
③終盤は階段=沢の源頭部を登るため急階段が続く(340m)が、整備された階段のため比較的歩き易い。
※ロープを使った岩場越えがあったけれど、倒木により塞がれてしまい現在は道が変わっている。

■マップ
(1)全体
山歩きの全体マップ。赤色=往路、青色=復路。


(2)白石峠までのルート


(3)山と高原地図28(丹沢)

 

(4)白石沢遡行図


■天気図
当日朝6時の天気図
 
てんくらの予想。

天気は終日良く晴れていて、稜線に上がると気持ちの良い風が吹いていた。
この風に助けられた。


■本日のデータ
・暦(前橋):日の出05:29~18:02日の入(日照12:33)
・出発時刻-帰着時刻(実時間)=02:51-18:57
・走行時間=往き1時間半、帰り3時間(帰りのR246は渋滞したため庶子で離脱しK77から迂回ルートへ向かう)
・走行距離=往復で138.3km(標準で片道66km)
・山行時間=大室山周回(10:04)
・Start/Goal=西丹沢VC

※詳細データは以下の通り。
予定との差分が大きかった区間を赤字に示す。


■実走報告
(01)出発
横浜西部から西丹沢ビジターセンター(VC)までは深夜に走っても2時間程度は掛かる。
大倉BSまでが1時間程度なので、2倍である。距離もほぼ2倍。
日の出の2時間前となると3時頃には出発したい。

早めに布団に入ったくらいではダメなので、夕食後直ぐに寝た。
満腹だと案外眠れるみたい。
夜中の1時頃に目が覚めて、入浴、着替えた後、朝食のおにぎりを食べながらお湯を沸かして象印のボトルに注ぐ。
02:50、準備が整ったので出発。
R246へ向かって長後街道K22を西走する。

どこからだろうか、前を走る車がトヨタクラウンアスリートになってから同じ方向に走っている。
前が空くと一気に離される、クラウンの加速が全然違う。
戸田でR129を横切り、伊勢原の工業団地?を通過中に考えた。
「この先で裏道使って前に出てみようかな」
R246に移ってしまうと片側一車線が長く続くので抜けなくなる。
ちょっといたずら心が芽生えてしまった。クラウンが厚木方面に向かえば関係ないけどね。
工業団地を過ぎて小田原厚木道路を潜った後の信号で左折、渋田川沿いの市道を突っ走ると下糟屋と言う信号でR246に左折合流できる。
K22ではどこかで信号待ちがあるので、前走車があったりするとR246への合流が遅れる。
裏道では信号が少ないので深夜なら早く走らなくても案外先に出られるのだ。自転車で走っていた頃の経験からのアイデアです。
下糟屋でR246に移ったら、前ががら空きだった。赤信号で停車する大型トラックが目に入ったので、あのままR246に合流したらトラックの後ろだろう。
クラウンが同じ方向なら多分私が前に出たと思う。
ここから、渋沢駅前まで珍しくスムーズに走ることが出来た。
新東名の新秦野IC入口を過ぎたあたりでバックミラーを見るとクラウンらしき車が見えた。清水橋まで先行しました。
普段なら単調になる深夜のドライブですがクラウンのおかげで頭を使うことが出来て運転が楽しかった。
私の場合、ナビを使うのは初めて走る県外の道が多く、普段から走る県内の道ではナビは使わない。
自転車で走り回っていた頃覚えた道がとても役に立っている。

清水橋でR246を離れ、K76をひたすら直進する。
04:27、西丹沢VCに到着した。(早過ぎた)
5時頃の到着を予想していたので早過ぎました。
シートを倒して、少し目をつむる。(睡眠は大事です)

(02)山行Start
05:16、シートを戻して行動を開始する。
VCのトイレに行って、トレッキングシューズに履き替えて、帽子と手袋を装着してバックパックを背負い山行の準備を完了する。
駐車場には他県ナンバーの車などが駐車していて、周りが明るくなるとちらほらと歩き出す人の姿が見えた。

◆アマゾンでポチったシューズ
大倉尾根のような整備された登山道なら運動シューズでも歩けると思うが、西丹沢のバリ路となると不安である。
かと言って低山であの重たいモンベルタイオガシューズはちょっと避けたい。
次のシューズのお試しになるような安物で構わないから良い靴がないかとアマゾンを見ていたら良さそうな靴があったので買った。
またしても5000円程度の低価格品なので耐久性には難があるが、1年持てば良いと考えればそんなに悪くはない。
私が重要視したのは①靴の重量②ソールのパターン③ソールの硬さでした。
防水性を重視するならゴアテックスが良いが、これだと値段が1万円を超えてしまう。
私が欲しいと思っていたモンベルのマウンテンクルーザー400と形が似ていたので決めました。

届いた靴のソールは予想よりも硬くて満足しました。
ちょっと靴紐の通りが悪く強く締め込めない点がちょっと不満です。
近所を試し履きして初めての実戦投入です。どうなりますことやら。

05:28、西丹沢VCをスタートする。

(03)林道終点まで

道路沿いからキャンプ場の様子が見える。
ブームは終ったと言われているけど、週末キャンプする人は多い。
どのテントも高そうにだ。キャンプギアを外に出したままの人もいた。
停めてある車も何だか高級車に見える。
(道具を揃えたりする金額を思えば、普通に旅館に泊まっても良いんじゃない?)
私は20代後半の頃にキャンプにはまった。当時は今のような気の利いたギアが売られていなかったので料理はカセットコンロか直火に大きなフライパンを乗せて作った。
各地のキャンプ場にも沢山行っては見たけれど、家内のポロっとこぼした一言でキャンプはスパっと卒業した。
「キャンプって...、結局野宿だよね」(by不満な家内)
(そうだよねぇ~)
それ以来キャンプはしていない。
一家で眠れるような大きなテントや、食器セットや折畳み椅子などは、何十年も使われずにいて、機会を見ては処分している。
リサイクルショップで聞いてもテントは引き取らないと言うところもあり処分に困っている。
沢山購入したキャンプギアは、飽きたら皆さんどうするんですかね?メルカリで処分するのかな。
でもブームが終わると売れない気がする...

05:50、白石キャンプ場前を通過する。
修理された橋が見えた。橋を渡れば用木沢出合です。

05:56、用木沢出合分岐前を通過。
目の前にある林道ゲートを右側から通り抜ける。

林道を進んでいくと、頑丈そうな橋が林道の左側に見える。
橋を渡りそのまま左の方へ移動して沢沿いを進むとモロクボ沢に出るらしい。
ここにも立派な滝(モロクボ大滝)があるのは分かっているがまだ見る機会がない。

歩きにくい林道をゆっくり進むと大きな堰堤で林道が終わる。

06:16、林道の終点に到着。
白石峠への道はここから始まりです。


(04)白石峠-沢道(序盤)
4回目の訪問だが3年ぶりなので忘れかけている。心配なのは序盤の沢の渡渉です。
丸太橋が落ちていると厄介です。
 
①丸太橋1つ目
堰堤横から1つ目の丸太橋が見えている。
いつもは斜めっているのだが、今回はちゃんとしていた。

丸太橋を渡り、沢の右岸を進む。

②丸太橋2つ目
2つ目の丸太橋は落ちていた。
↓本来なら点線のように丸太橋で渡る。

水の流れが早く、幅もあって渡る場所の選定が難しい。
丸太橋から下ったポイントを渡ったが、堰堤の直ぐ近くを歩いても良い。(白石峠からの下りなら堰堤近くが良いだろう)

沢を渡り、沢の左岸を進む。

③丸太橋3つ目
3つ目は沢の出合を越える2連続の丸太橋である。白石沢に右側から白水沢が出合う場所。

↓手前の丸太橋から右側に見える堰堤が白水沢。

↓2つ目の白石沢を渡る丸太橋が、白石沢。

ここは橋が濡れていなければ問題ない、沢の右岸を進む。

④沢の渡渉
ここは丸太橋はなくて、堰堤の手前を渡り左岸から堰堤を越える。
堰堤を越えたら沢を渡り再び右岸に変わる。

青字が標準なルートだが、沢を渡る石選びの結果赤字のようになった。好きなように渡ってください。

⑤丸太橋4つ目
ここも、橋が健在で問題なく渡れた。沢の左岸を進む。

⑥丸太橋5つ目
左岸の道は段々に上り植林帯を突き抜けると、ゴツゴツした石が密集した場所にでる。
左岸から右岸に渡る橋があるのだが、大抵は落ちているけれど、今回は健在だった。

ここは石が皆大きく、沢幅も広くないため橋が外れていても、渡る場所は案外ある。
でも橋があれば楽に通過できる。

沢の渡渉はここで終了です。
06:52、沢の左岸に立つこの道標から山道の開始です。


(05)白石峠-山道(中盤)
道標のところから上を見上げると、先の方に小さく木橋が見えた。
沢沿いから木橋のあるところまで一気に上ります。
九十九折を繰り返して高度を上げていくと徐々に歩き易くなっていく。

↑赤丸に木橋が見える


↓これが見えていた木橋

これ以降は緩やかな上りが続く。

途中で尾根から現れた強烈な光で振り向いた。


07:05、尾根を回り込んだ先に白石の滝の説明板が見えた。


(06)白石の滝
07:07、白石の滝前に到着。

ここは、説明板から滝がクリアに見えないのが残念です。
それでも春先で葉っぱがないためか、比較的滝がよく見えた。

今回は2度目の白石沢下降に挑戦しました。
2017年はビギナーズラックで怖いもの知らずで上手くいきましたが、登山道から見てみると、簡単には踏み込めない怖さを感じるため、なかなか2回目が出来ませんでした。沢への移動はとても難しいです。

◆注意◆
危険なバリ路なので詳細は明かさない方が良いのですが、それでも挑戦してしまう方がいると思うので私の事例を解説します。
但し、本当に危険なのでお薦めはしませんし、同じように歩いて滑落しても責任は負いかねます。
自己責任とお考え下さい。


●沢への下降
説明板の後に樹木が並ぶ尾根が見えるのですが、この尾根の先は断崖なので途中の右側から断崖を左に回り込むように下降するしか方法がありません。


しかし、それも最終的には5mくらいの断崖で行き詰るので長いロープがないと沢には下りられません。
説明板から滝を見る方角(説明板から右側)はどこも断崖なので踏み入ってはいけません。
このように、沢への下降ポイントは説明板付近ではありません。

もっと手前の回り込んで初めて説明板が見えたポイントが下降点になります。

樹木が並ぶ尾根を下り、途中から滝側の隣りの尾根に急斜面を慎重に移動して更に下降していきます。


この方法だとロープを使う必要はないのですが、急斜面の移動が危険なので慎重な行動が要求されます。
斜面にへばりついて手足に神経を集中する必要がありますのでお薦め出来ません。
(でもこの方法しかないと思う)

●沢底
白石沢に降り立つと白石の滝が見える。

↑この写真の右側倒木が寄り掛かる断崖が、説明板の裏の下降の行きつく先になるのです。最後はロープがないと無理ですね。

●白石の滝
①白石滝の全景(写真1枚)

②縦2枚

③横から


④滝の正面から

カメラのモードを流水に変えてパチリ

⑤滝正面(縦2枚)

⑥滝正面(横3枚)

⑦白石沢の右岸
左から巻いてテラス(下段の上)に上がれるというのだが行けそうな気がしない。


●復帰方法
沢底から滝の説明板がある左岸の全体を眺めるとアプローチ方法がよく分かる。

説明板付近からの下降がNGなのが理解できるだろう。
可能性があるのは説明板の手前であることが沢から見上げるとよく分かると思う。
 

↑赤線が下りたルートで、緑線の尾根の移動が難しい
※私は比較的高い位置で移動したので怖さを感じたのだが、移動ポイントを出来るだけ下げて行えば恐怖感は小さいかもしれない。

復帰方法を考えたが、出した答えは「来た道を帰る」である。
(来れたのだから確実に戻ることが見込めるから)


ルートの途中に巨大の岩があり、そこに大きな空間がある。
なんだか熊の棲家のようにも感じる。

↑2017年撮影


↑登り始める前にここの石ですべってひっくり返った。慌てたよ、怪我がなくて良かった。


07:59、白石の滝説明板に戻った。


1/2はここまで、次回は”白石峠旧道分岐”からです。
(⌒。⌒;) ふぅ~!