07月29日、持越大滝の巻きをあきらめて玄倉川を泳ぐ(その2) | Cycling Wonder

Cycling Wonder

プレスポで行く神奈川の道

今回が、山行レポートのクライマックスと思います。
 
■マップ
山歩きの全体マップ。
(1)計画

(2)途中まで

(3)WW(WaterWalking)関連
↓玄倉川中流

↓このようにしてモチコシ大滝を通過しようと考えた
手前の淵を越えれば出来ると思うよ

■テーマソング
今回のテーマソングは、日本の伝統楽器で洋楽を演奏するシリーズ(NHK blends)からです。
★Let It Be-The Beatles-Japanese Cover-Biwa
↑2016/08/26 に公開。琵琶というと平家物語の語り物をするときの伴奏用と思っていたけどメロディも弾けるんだ。

■実走報告
玄倉川中流前半からの続き。

(⌒_⌒)v いぇ~い!
 
(06)モチコシ大滝
玄倉川中流前半は水の流れが穏やかで、初心者でも問題なく歩ける。
そこに現れた右岸(進行方向左側)の強烈なV字の切れ込みが、モチコシ沢出合である。
急峻な崖の割れ目みたいな出合部は岩が滑りやすくなっていたので慎重に通過した。

08:00、モチコシ大滝の下に到着。

↓出迎えてくれたカエルくん


目の前に迫力のあるモチコシ大滝60mが現れた。

一つの大きな滝に見えるが、上段と下段の2段曝になっていて下段の手前には視界を遮るような岩場があり、さらにその手前にはゴルジュに挟まれた深い淵があって人間の行く手を阻んでいる。

この大滝には巻き道があり今回はそれを登るつもりだったのだ。
しかし、手前の淵が越えられないと話にならない。そして越え方が分からなかった。
丹沢の達人たちは崖をへつって行くらしいのだが、左右どちらを見比べてもうまくいきそうな気がしない。
この時点では淵の水に入る勇気がなかった。
持越大滝の巻道は断念し、玄倉川中流後半を歩いてアッチ沢出合から向山に上る方法に切り替えた。

08:10、モチコシ沢出合を出る。
◆大いなる勘違い
計画検討時に気にしていたのは、玄倉ダムの貯水量である。
ダムの貯水量が少ないのは空梅雨の影響と思っていたのだ。
下流の丹沢湖も底が露出するほどだったので、玄倉川の水も少ないに違いないと思っちゃった。
ダムの水が少ないのに放流水が元気良くて不思議に思ったけど、それ以上深く考えなかった。
沢歩き素人の私でも、玄倉川の中流域なら歩けると考えたのだ。


(07)向山大滝
玄倉川に戻り、上流に進む。

少し行くと1m小滝があり、左側には大きな滝が流れ込んでいた向山大滝だ。
この滝は、落差こそ70mと大きいのだが、如何せん水量が少ない。
従って、迫力がない。惜しい滝です。

◆忠告
玄倉川中流前半はここまで、この後から川の難易度が格段に変化しました。
この先が玄倉川中流域のハイライトなのですが、ゴルジュ帯の岸壁は高く逃げ場がありません。
雨が多い時や玄倉ダムが放流中の時はここで引き返した方が無難です。
経験者なし、初心者だけでの遡行時には、ここで一度考え直しましょう。
水の勢いが弱い時はそのまま続行しても構いませんが、水量があると感じたら遡行を止めて入渓ポイントに引き返しましょう。
 
(08)玄倉川中流後半
玄倉川が丹沢黒部と呼ばれていたなんて知らないで来てしまった。
ネットの事前学習で見た夏の玄倉川遡行レポートはどれも、自分を安心させるものだったし特別な技術も必要ないと感じた。
ただ、途中に深い釜があって、泳いで越えないといけないことは覚悟していた。夏の日の事なので、それも良いかなと安易に考えた。
期待とは裏腹に途中で泣きたくなりました。トホホ状態でしたね。

中流後半の後半部に難所と思える場所を4箇所連続して通過するのに苦戦しました。
足が付かない所が2箇所あり、その一つ目がとても難しい。
どうも正しい通過方法とは違ったみたいなんだけど厳しかった。
茶色に変色した岩は一様に良く滑る。
岩が滑るものとフリクションが効くものとあり、判別が難しかった。


↓大きな岩で惑わされるが岩の間が通れる。右側を泳いでも良いけどね。

↓スラブ滝は一番左の端をよじ登る

◆難題1(ロープがある岩の通過)
足が付かない所泳いで越える所、その一つ目(ここの最難関)。

※普段なら
左の斜めに張り出した岩場をへつって行き最後に残地された短いロープで垂直に降りる。

↓普段と今回の水位の違いを見てください

左岩のトラバースは見た目よりやさしい(らしい)。
岩を回り込んだら虎ロープをつかみ正面奥の滝左側に下りる(らしい)。
水かさが低くて流れも穏やかなので、高い岩の通過も不安感なし(らしい)。
※今回
「....」( ̄□ ̄;)
(泳ぐ釜って、これのことか)
見るからに水位が高くて、泳がないと無理。
岩場は斜めで濡れてはいないが歩けそうには見えなかった。

岩を掴みながら泳いで近づき、小滝の横で這い上がろうと考えた。

↓赤点線が今回、緑点線が一般的な通過方法。

ところが、水流が思いのほか力強く、岩場のつかみ所が見つからなくて、浮いていると流れに引き込まれそうになる。
慌てて足を激しく掻き、岩に手を伸ばす。
ザックの浮力で背中が浮いて、頭が下がる。
まじで慌てる、寸でのところで岩に手が届き、足先が岩に当った。
”引っ掛かれ”そう思いながら足と手を目一杯伸ばす。
引っ掛かった、でもすぐに足は水流に持っていかれる。二度三度同じ岩に足を伸ばして、何とか水流に耐えられる場所を見つける。
身体を保持出来たところで一息ついた。
(ふぅ~、マジで溺れるかと思った) (◎o◎)
岩の隙間に手の指を引っ掛ける、身体を引き上げようと思うが、想像以上に濡れたザックが重い。
意を決して一気に体を持ち上げる。
腕が岩に乗るがザックの重さで引き落とされそうになる。
(ここで落ちたら流される、二度目はない!)
必死に堪えて、足を岩に強引に乗せきるまで、休まずに力を入れる。
もがきながら何とか岩に這い上がった。

◆不思議
岩の段差に立ち淵を眺める。
「はぁはぁ...」└(´o`)┘
(心が折れそうだ、俺には難し過ぎる)
上流を見ると、次の濁流が見える。
(ポキッ)心が折れた、でも引き返すのも面倒だ(ポキポキッ)
「はぁ」声が出た。(´ヘ`;)
(なんで玄倉川泳いじゃったかなぁ)
(これなら、持越大滝の淵で腰まで浸かった方が楽だったなぁ)
(ポキポキポキポキ)
心が折れすぎた。
(おかしいな、夏の玄倉川がこんなに難しいなんて...)
(沢歩きは難しいな)

何故でしょうね、心が折れるのが一度か二度くらいなら弱気のままなんですが、
あんまり折れすぎると、開き直ってしまいますね。
└(⌒O⌒)┘
時刻は09:20、時間はある。
(せっかく、ここまで来たんだし、アッチ沢出合まで行かなくちゃね)
夏だから、全身濡れても平気だ。
”だって、玄倉川で泳いじゃったし、どうってことないよ”
(全身濡れちゃったんだから、もうどうってことないよ)
↑今日は、このあとずっとこのフレーズが頭に浮かんだ。
 
◆難題2
次に現れたのは、さらに段差と勢いのある滝で当然滝は越えられない。
滝つぼの淵を岩を掴みながら横切って右岸から左岸に移り滝を巻く

※普段なら
右岸から左岸に難なく歩いて渡るところ、特に難しくない。
 
※今回
「....」( ̄□ ̄;)
(マジか)
滝の勢いが強烈過ぎる、濁流だ。右に巻くしか方法はない。
水に浸かり、そして出ている岩を必ず手で掴み慎重に渡る。
水流で体が持って行かれそうになるので、慌てず踏ん張りを確認しながらゆっくりと通過する。
左岸に上がれば岩の間を歩いて通過できる。

◆難題3(深い釜を持った2mスラブ滝)
次に現れたのは段差のある濁流と、右岸のすべり台のような大石。水に濡れて見るからに良く滑りそうだ。
 
※普段なら
釜が深く右岸のスラブ岩は傾きが急でホールドも少ないため横切れず、腰まで水につかり岩(左側)をへつって越える。
水かさが低く滝自体の勢いがないため、釜を泳ぐならそのまま滝を歩いて越える。

※今回
「....」( ̄□ ̄;)
(マジか)
滝の水流は濁流であり、滝側の通過は無理だ。
右岸のすべり台のような大石は角度が急過ぎる、つかみどころもなさそうだ。
( ̄□ ̄;)

(どうやって越えるんだ)

取りあえずここで考えても答えは出ない、出来そうなことをやってみる。
右岸の大石をへつって進み大石の裏側で考えよう。

スラブの大石の突端まで進み凹みに乗ろうと足を掛けた。
(おや、フリクションが効くぞ、そうかここは突端を上るんだ)
ヒョヒョイと上り、無理だと思われた濁流ポイントを越えた。

◆難題4(大きな釜、斜め岩のある3mトイ状滝)
もうそろそろアッチ沢出合が見えないかなと考えていると、
これまで見た中で一番激しい濁流が現れた

↓携帯カメラのレンズに水が掛かったまま撮っていたので換わった画像になりました。

「....」( ̄□ ̄;)
(あれは無理っす)

※普段なら
ここも左側の濁流に見えている滝は、穏やかな3mのナメ滝になっているらしく、難なく歩いて乗り越えられる。
右側は水が流れてなくて垂直でヌメっている。
水かさが低いので中央の岩場を越える方が左の滝越えより断然面倒らしい。

※今回
「....」( ̄□ ̄;)
(ガーーン)
(どうやって越えるんだよ)

左の滝(右岸)は激し過ぎる濁流、右側(左岸)の流れは細いけれど高さがあって難しそう。
沢の真ん中に斜めに大石が重なるように積み上がっており、ここを乗り越えるしか方法はない。
(近くに行ってみよう)
左岸を回り手前の大石の陰に回る。


(右側(左岸)はやっぱり越えられないな、中央しかないぞ)


幸い見ると大石の裏に小石(十分大きいけどね)があって、そこから積み上がった岩場に飛び移れそうだ。
(おっ、いけるじゃん) v(^o^)

跳んだ、そして気にした岩の先っぽをつかんだ。
けれど、体制が不十分だった、先っぽから手が滑る。
ゆっくりと後ろに倒れて、釜に落ちた。
また玄倉川を泳ぐ。
でも、ここは水の流れが停まっていたので、岩に復帰するのに苦労はなかった。

全身濡れずに済んだのに気を緩めた罰でしたね。
岩を上がっていくと、その先に見覚えのある景色が見えた。

09:45、玄倉ダムの西側、アッチ沢出合に到着です。

玄倉川中流後半を歩き切りました。
 
(09)アッチ沢出合
石崩隧道(いしくずれ)(3号トンネル)の出口で玄倉ダムの西側(放流口側)。
玄倉川が大きく流れの向きを変えるポイントです。
玄倉川中流の川歩きで十分と思えますが時刻が早いです。
林道から川を撮る人も歩く方向は右から左でユーシンロッジ方向。
川では腕力は使ったけれど、浮いてばかりで足はまだ余力ありあり。

↓玄倉ダムの放流が凄かった

↓川の水位は前回よりもさらに高い(右下の岩の状態で分かる)
林道側に渡るのも大変そうに見えたが、今回は行かないのだ。

川原の岩場で小休止した後、靴を山靴に履き替えた。
ここから大石山を目指してみます。

その2はここまで、向山上りから次回に続く。
(⌒_⌒)v いぇ~い!


●向山大滝の後からアッチ沢出合までが玄倉川中流域のハイライト。
WW(Water Walking)の楽しさを感じるために来たのだが、川の怖さを感じて教訓として良かったかな。
旧青崩隧道脇から入渓したら、玄倉ダムが放流中かどうかなんて分からないね。
少なくとも今年一杯は玄倉川中流は初心者にはキツイです。
でも玄倉黒部を楽しむことが出来る貴重な年かもしれませんよ。

( ̄ー ̄)ニヤリ