『迷子の警察音楽隊』 | 一日一歩、三日で散歩~♪

一日一歩、三日で散歩~♪

21年間、gooブログでお世話になり、今般アメブロに引越して来ました。
まだ慣れないことも多いですが、どうぞよろしくお願い致します。



□作品オフィシャルサイト 「迷子の警察音楽隊
□監督・脚本 エラン・コリリン
□キャスト サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サーレフ・バクリ、カリファ・ナトゥール、イマド・ジャバリン、ターラク・コプティ、ヒシャム・コウリー、フランソワ・ケル、エヤド・シェティ、シュロミ・アヴラハム、ルビ・モスコヴィッチ

■鑑賞日 1月21日(月)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)

<感想>

 1990年代のイスラエル。 冷戦状態が続く中、空港に鮮やかの水色の制服に身を包んだ男たちが降り立った。 彼らは文化交流のためにイスラエルに来たエジプトのアレクサンドリア警察音楽隊。 しかしながら、何かの手違いか出迎えが来ない。
 彼らは自力で目的地へ向かうのだが、着いたのは一文字違いの別の小さな町だった。 そこで途方に暮れる彼らと地元の人間との、国や宗教を超えた交流が始まるのだが。 

 言葉も通じない、しかも国仲の悪いところに迷い込んだエジプト人のアレクサンドリア警察音楽隊の8名。 なんとも殺伐とした風景の中にあの眩いスカイブルーの制服(笑)。 お国の言葉ではもちろん相手とコミュニケーションは取れない。 片言のたどたどしい英語で会話をするのだが、なんとも心許ない。 しかしながら、冷戦状態が続く中で、人と人のつながり方やコミュニケーションの取り方、人間模様を迷子の彼らが僅かの滞在時間の中で、現地の人間たちとの触れ合いを素朴でかつ温かく描き出している作品だ。 
 
 泊るホテルもなく、彼らはディナ(ロニ・エルカベッツ)の紹介で彼女の店の使用人等の家に分散して泊ることになる。 もちろん泊める方は歓迎できない突然の客である。 食事をしながら、ゲームをしながら、音楽論をそれぞれぎこちなく語り合う中で、同じ言語同士でも、コミュニケーションが取り辛いことがあるのに、言葉が通じないからこそ、なんとか言葉に代えて自分たちの意思を伝えようとする、双方のキャッチボールが楽しい。 派手さは一つもなく、淡々と流れる無味乾燥の中に、不思議な心の会話と彩りが鮮やかだった。

 隊をまとめるべく動く真面目な団長のトゥフィーク(サッソン・ガーベイ)の短くこぼす言葉と、その表情が面白い。 若ければ、ディナの誘いに乗っているだろうに、わかっていながら乗れないところを若いカーレド(サーレフ・バクリ)に持っていかれる(笑)。 彼は恋愛ベタの現地の若者に恋愛指南もしてみせるから、女性の扱いもお手のもの。 二人の交わりを隠れて覗く彼のなんとも悲哀に満ちた顔が印象的だった。 旅の恥は掻き捨てで・・・なんて思いのない彼の人柄も随所に出ていた。
 このディナを演じたノニ・エルカベッツはなかなか飛び抜けた美人ではないけれど、エキゾチックで、彼女、この作品でイスラエル・アカデミー主演賞を獲得したそうだ。 イスラエルの映画業界がどの程度のものかわからないが、ま、日本のアカデミー賞みたいなものなのだろうか(笑) でもこの作品、作品賞・監督賞はじめ主要8部門を制覇したそうだ

  それにしてもこの団長、最初っから思っていたのだが、あの立派な髭がなければ、チャンバラトリオの頭(南方英二)に見えてしまって可笑しかったのは僕だけだろうか(笑)

 同じ旅行用のキャリングケースを引きながら歩く8人。 最近日本でも、旅行でも仕事でもないのに、やたらあのキャリングケースを引いて歩いている人が増えたが、あれのおかげでまた繁華街が歩きにくくなった。 彼らもまるで迷子の旅行者のようにも見えたりして(笑)

 見知らぬ地で受けた親切は本当に心に残るものだが、今でも小学生の頃に受けた親切を忘れられないでいることがある。 小学2年生の時、5・6人の友だちと連れ立って、当時来ていた教育実習生の先生のところに電車に乗って遊びに行ったとき、道に迷い、帰る電車代しか手元にはなく、おなかが減って女の子は泣き出していて、そのとき役所の人だったと思ったが、皆にパンと牛乳を買ってくれ、道案内までしてくれた。 その時のパンの味は今でも忘れないし、子供心に、こんな優しい温かい人になろうと思ったものだ。 この映画を観ていて、そのことも思い出され、なんとも温かい気持ちになれた。  

 これから順次、地方でも公開される予定なので、こういう映画もたまにはご覧になっておくのはいいのではないだろうか 大きな感動ではないけれど、小さな感動がちりばめられていますよ~