2度目の大学受験に失敗した俺は、行く理由も無い大学のために
2浪なぞする気も無かった。
まったく生きる理由が見出せない。
いっそ死んでしまおうかと思ったが死体の片付けなどで
世間様に迷惑を掛けてしまうだろうし、親にも申し訳なさすぎるので
とりあえず4月から某遊園地の飲食店でアルバイトを始めることにした。
朝から眠い目をこすり、原付にのって開園前の遊園地へ向かう。
春を迎えたばかりなので非常に寒かったが
普段は家族連れや恋人で賑わう遊園地がまるで眠りについているような
その静寂の中をポケットに手を入れながら歩くのが密かに好きだった。
飲食店ではフロアを希望していたが、人手が足りないということで
キッチンに回された。
店から少し離れた場所に巨大な冷凍庫があり、そこに在庫が保管されている。
お客さんに出す冷凍チキンライスの袋を担いではキッチンに持って行く。
その繰り返しが毎朝の日課だった。
土日はふらふらになる程忙しかった。逆に平日はお客さんが1組しか入らないようなこともあった。
これで経営が成り立つんだろうかとぼんやり考えていた。
一ヶ月間ほぼ毎日働いて、やがてゴールデンウィークを迎える。
その少し前に俺はある人物から連絡を受けていた。
その人物とは、一浪目の時に俺がアルバイトをしていたカメラ屋のオーナーである。
当時俺は親から買ってもらったパソコンを一日中いじくりまわしており
自分でホームページなんかも作ったりしていた。
専門には程遠いが少しくらいは詳しいんだぜと自負しており
なので、カメラ屋のオーナーのパソコンにトラブルがあった時など相談に乗っていた。
連絡の内容は、WEBを利用した仕事をするので協力して欲しいということだった。
人から頼られるということは滅多にない俺は素直に喜んで協力することにしたのだった。
忙しくなるから、ということで5月中旬にアルバイトを辞めておくように言われた。
だけど俺はこの店で働き始めてまだ一ヶ月。
漸く仕事を覚え始めたところで辞めるのは店に申し訳なかった。
何て言えばいいんだろう。
豆粒のような責任感だが、遊園地の刈入れ時前に辞めるというのはさすがに忍びない。
とりあえず、ゴールデンウィークが終わったら店長に言おう。
…次回に続く