Binが小学生の頃。

Binの母の実家で、チビという犬を飼っていた。

この犬、Binが来ると門の外に出てきてお出迎えをする。帰るときも、集落の外れまで先導して、車の走る道路でお別れをする。

夏休みしか行かないが、行けば一週間から十日は滞在するので、結構遊び相手になっていた。それから、中学に上がると、母の実家に行くことは無くなった。

Binが高1になった夏休み。チビの具合が良くないとも聞いていたので、久しぶりに訪れた。門の近くまで行くが、チビは出て来ない。忘れたのかなぁって思っていると、門の脇で、お出迎えに来ていた、やつれたチビがいた。

考えてみれば、自分より年上の犬。もうお爺さんである。それでも、尻尾を目一杯振って喜びの仕草をする。その日は、チビと遊んで過ごし、翌日の昼に親に頼まれた用事を済ませて帰ることとなった。

チビは、いつものように先導して、ヨタヨタと前を歩いていく。でも、途中の坂で、息が上がったのだろう。立ち止まってしまった。

「ここでいいよ、チビ、有難う!」

って頭をなでると、歩けないのが悲しいのか、悔しいのか

「ワン!」

って小さく吠えた。

集落の外れで振り返ると、まだ座ったままのチビの姿。手を振ると、小首を一度傾げてから、後ろを向いた。

家に帰った翌日。

        叔父から

             チビが昨夜亡くなった。最後に有難うって

           電話があった。