~プロローグ ②~ 「ドクター・紫龍ですが、 そちらで三日後に手術予定の患者が、 今朝交通事故で運び込まれました。 至急手術が必要ですが……」 一瞬緊張が走り、 息を呑む音が聞こえたが、 返ってきたのは冷静な声だった。 「わかりました。 一時間ほどでそちらへ伺えると思います。 必要なら手術を始めて下さって結構です」 途中で言葉を遮られる形になったが、 こちらの言い分を理解した、 相変わらず無駄のない 桜花の会話は心地よかった。 一時間後に桜花に会える。 そう思うと、 全身の血がみなぎるようだった。 7年間眠りについていた獣が目覚める。 決して逃すまい。 七年前に何があったとしても すべて誤解であり、 誤解は正す事が出来るはずだ。 この腕に必ず取り戻して見せる。 あれは私の……花なのだから。
![]()
