Ⅲ ③ キリーとアレックスは、 夕食に間に合うようにヘスティア家に到着した。 キリーは母アンジェラに花束を、 アレックスは父アーサーにブランデーをそれぞれ手渡した。 二人の喜ぶ顔を見ることができてキリーは幸せだった。 「パパ、大切なお話があるの」 夕食後、 和やかな雰囲気の中でキリーは笑顔で口を開いた。 うなずいてアレックスのプレゼントのブランデーを片手に 書斎へ移動するアーサー。 「私も仲間に入れてもらえるのかしら?」 アンジェラが瞳をきらめかせてキリーに尋ねる。 「もちろんよ、ママ」 キリーの言葉に安心してアーサーの傍に寄り添うアンジェラ。 キリーもアレックスの腕に手を回し、 一緒に書斎に向かった。 書斎の広々としたソファに腰をかけ アーサーとアレックスはブランデーを、 アンジェラとキリーはミルクティーを楽しんだ。 「パパ、今日フィンに会って、 ヘスティア姓を名乗らないか尋ねてみたわ」 その言葉に一同絶句する。 アーサーとアンジェラは思わずアレックスを見つめた。 「そんなこと言ってお前、アレックスはどうするんだ?」 アーサーが困惑気味に尋ねた。 「アレックス?どうしてヘスティア姓をフィンが継ぐのと アレックスが関係……」 はっとしてアレックスを見るキリー。 アレックスは青ざめていた。 「もう、冗談でもそんなこと言わないでちょうだい。 いったい私をどういう人間だと思っているの?」 キリーの言葉に苦笑するアーサーとアンジェラ。 アレックスはまだショックから立ち直れていないようだった。 キリーが優しく抱きしめるとアレックスは我に返り、 キリーの髪に頬をうずめ小さな吐息をついた。
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