Ⅲ ② 「アレックス?あなた、自分が大きな会社の社長さんで、 とても忙しい身の上だということを忘れてない?」 にやりと笑うアレックス。 「忘れてないよ。 どんなに仕事をためても世界一綺麗で賢い奥様が あっという間に片付けてくれるから安心なんだ」 悪びれる風もなく言ってのけると、 キリーを抱きしめるアレックス。 「それで?今回は正面からじゃなくてどうして背後なの?」 アレックスは親指でくいっと合図する。 ロビーの待合室に用意されているソファーだった。 苦笑するキリー。 「それで?どうしてきみはずっと難しい顔をしていたのかな?」 驚くキリー。 「ああ、見ていたとも。 きみは思い立つとすぐに行動するからね。 目が離せないんだ」 アレックスのダークブルーの瞳を覗きこむキリーの深緑の瞳。 アレックスはキリーの瞳が緑から深緑になる意味を知っていた。 「理由は今夜実家で、父と一緒の時でいいかしら?」 よほど深刻な話なのだろう。 アレックスがうなずくと、 キリーはふんわり微笑んだ。 「それでは、世界一ハンサムで多忙な旦那様。 今日は私と半日デートをして頂けますでしょうか?」 微笑むアレックスの腕に手を回して、 二人はフィンの会社を後にした。
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