Ⅱ ⑤ フィンがキリーの言葉に幼い頃のことを思い出している間、 キリーは優しくフィンを抱きしめくれていた。 はっとするフィン。 「もしかして、あいつは今日も外で待っているのか?」 肩をすくめるキリー。 大きな吐息をつくフィン。 「やれやれ、 あいつはいつになったら きみの後をついて回るのをやめるんだ?」 おかしくて仕方がないというように笑うキリー。 「アレックスはあなたに大きな借りがあって、 私が元気な姿で作品を持ってあなたのところへ行くのを 利息くらいに思っているみたい」 たいした利息だ。 今のフィンにとっては何物にも変えがたい 幸せな時間なのだから……。 「それで、いつか借りを返してやろうと 虎視眈々とその機会を狙っているわけか」 フィンの瞳が怪しく光る。 笑うキリー。 「確かにアレックスは油断できないけど、 あなたへの借りは大き過ぎてとても返せそうにないって 以前言っていたわ。 それにしても、 男の人って本当に面白いわね。 借りとか貸しとか」 キリーの瞳が好奇心に輝きだす。 苦笑するフィン。 「もう借りがなんなのかなんて訊かないわよ。 どうせ教えてくれないんでしょう? それより、これをどうぞ」 フィンの瞳が輝きだすのをキリーは見つめていた。 「読んでも?」 期待に胸を膨らませているフィンに微笑むキリー。
![]()
