Ⅹ ① フィン・マックルは仕事の山を片づけながら 届いた招待状にちらりと視線を送り顔をしかめる。 自分でも驚くほど動揺しているのがわかった。 それはアレックスとキリーから届いた 結婚式の招待状だった。 アレックスにキリーを託してから 約一ヶ月が経とうとしていた。 あれ以来キリーには会ってもいないし連絡もない。 そしてこの招待状だ。 どかっと背もたれに身体を預けて 招待状にもう一度目を通す。 予定は一週間後だった。 「アレックスの奴どうやってキリーを説得したんだ?」 確かにハデスの活動休止宣言をした今となっては フィンとキリーの間をつなぐものはなくなった。 けれども、 フィンとキリーは友情にも近い深い愛情を持つ 永遠のパートナーだ。 そのキリーから何の連絡もないのは おかしいとしか言いようがなかった。 せめて無事日本から帰ったとか、 今どこにいるとかそんな軽いメールさえない。 とどめがこの結婚式の招待状だ。 間違いない、 キリーはアレックスと一緒にいる。 連絡のできない状況に 今キリーが置かれているとしか思えなかった。 しばらく人差し指で机を叩きながら大きな吐息をつくフィン。 アレックスに連絡をとるしか道がなさそうだった。 今度は立場が逆転している事を腹立たしく思いながら 電話に手を伸ばした瞬間メールが届く。 自分でも驚くほど俊敏だった。 何せ待ちに待ったキリーからのメールだったのだから。 「フィン、お仕事おつかれさま。 遅くなりましたがお土産を渡したいので 都合の良い日を教えて下さい」