Ⅵ ⑩ キリーが本当にというようにうなずく。 「はい、アレックス」 そう言ってキリーはアレックスの口元に料理を運ぶ。 アレックスが食べることを疑わないキリーの瞳。 何を口に入れられたのかもわからずに食べて その味に驚く。 「美味しいでしょう?」 うなずくアレックス。 「じゃあお水を飲んで、今度はこれ」 キリーに勧められるまま口に運びやっぱり驚く。 アレックスの驚きようにキリーは顔をしかめる。 「美味しいでしょう?食べたことないの?」 キリーの指摘に言葉もないアレックス。 「わたしが見る限りここの料理は どれもとても体に良いわ。 素材の味を上手に引き出しているし シンプルだけどとても美味しい。 少なくとも月に一度は味を見るためにも 食べる価値はあると思うわよ?」 その間も美味しそうに食べるキリーを 見つめるアレックス。 「もっと食べたいの?」 うなずくアレックスにキリーは皿の中から選んで アレックスの口元に運ぶ。 「!」それも美味しかった。 ここの料理が上手いだけでなく、 キリーはアレックスの好きな料理を差し出しているのだ。 その後も何品かキリーにもらったが どれもやはりアレックスの好きな物だった。 「きみと食事をすると、 僕は好きな物だけをお腹いっぱい食べられそうだな」 いつの間にか空っぽになったキリーの皿を 残念そうに見ながら言うアレックス。 「残念ながらわたしはそんなに甘くないのよ、 アレックス。好き嫌いはいけないって知ってた? 仕返しはきちんとさせて頂きました」