Ⅴ ⑭ バーバラがアレックスに同情する。 アレックスは少し怒ったように続ける。 「それにキリーとフィンは 僕の主催したパーティーを台無しにしたんだ」 バーバラがおかしくて仕方がないというふうに笑い、 キリーが心外と言うふうに口をはさむ。 「あら?わたしはご馳走に舌鼓を打っていただけだったわ」 今度はアレックスが おかしくて仕方がないというふうに続ける。 「そう、きみはパーティーの著名人には無関心で ボーイや料理長、イベントマネージャーに囲まれて とても幸せそうだったね」 バーバラが吐息まじりにキリーに尋ねる。 「あなたは何をしにパーティーに行ったの?」 キリーが目を輝かせて、 「一度授賞式というものを直接見てみたかったんです」 それからバーバラにウィンクして 「美味しいパーティー料理のレシピを 料理長にこっそり教えてもらったんですよ」 今度はバーバラが目を輝かせる。 「まあ、それは大収穫ね」 キリーはうなずきながら微笑む。 アレックスは夢を見ているみたいだった。 これほど非現実的な事があるだろうか? 見つけることも会うことも不可能に近かった女性が、 今夜自分の屋敷で母と三人テーブルを囲んでいるなんて…… これが夢なら今度こそ自分は正気を失うだろう。 もうキリーのいない生活なんて考えられなかった。 夜もふけてバーバラはキリーの頬にキスをすると、 「おやすみなさい、キリー。 今夜は久しぶりにお腹が痛くなるほど 笑わせていただいたわ」 キリーもバーバラの頬にキスをする。 「お休みなさい、バーバラ。わたしのほうこ そ楽しいひとときをありがとう」