Ⅱ ⑥ フィンはやんわりと断られたことに気がついたが、 それでもかまわないと思い始めていた。 キリーほど一緒にいて楽しい女性は これまであったことがなかった。 そのキリーが心を開いてくれる 数少ない人間のひとりになれたのだから それだけでも十分幸せといえた。 「それにここの食事はとても美味しいし、 波の音がとても心を癒してくれるわ」 波は二人の会話をかき消してくれる作用もあるのだ。 「フィン、あなたは本当に人の心を理解してくれる天才ね」 キリーの傍にいることができて そして友人になることができて誇りに思えた瞬間だった。 食事もひと通りおわり、 食後のデザートとコーヒーが運ばれてきた。 これで二人が席を立つまで邪魔は入らない。 キリーが食後のデザートを 美味しそうにその柔らかな唇に運ぶのを見つめながら、 心を落ち着かせようとコーヒーを飲むフィン。 キリーがデザートを食べ終え、 コーヒーを一口含んだのを見届けてから話を切りだす。 「なにが起きたのか話してくれないか、キリー?」 静かにコーヒーを飲みおえてうなずくキリー。 「それとこの五年間で見たことがないような君の変身ぶりも 説明してくれるんだろう?」と少し茶化す。 キリーは少し青ざめたが、 「フィン、本当にあなたがいてくれて良かった」 と安堵の吐息をついた。 そして衝撃的な言葉を口にした。 「ハデスがいなくなったの」 「!」あまりの衝撃に一瞬理解できずに キリーの言葉を繰り返して見る。 「ハデスがいなくなった?」うなずいて続けるキリー。 「おかげでわたしは久しぶりによく眠る事ができたし、 外出することもできたというわけ」 新しい驚きが加わった。 「きみのその変身ぶりはよく眠っただけだと?」 苦笑するキリー。 ☆本を出版するチャンス☆