Ⅰ ② その作品に自分が携わっていることに誇りも感じる。 けれども今の生活は人として、 また女性としてどうかと思う。 不眠不休で寝食忘れて原稿にする。 エージェントのフィンに渡す。 疲労困憊で倒れるように2日ほど爆睡すると 次の作品ができていて…… 気がつくとそれを五年間続けていた。 服を着て振り向くと母がいた。 「ママ、おはよう。今日はとても良い天気ね。 朝食ありがとう、とても美味しかったわ」 「まあキリー、起きて大丈夫なの? もうお仕事をするつもりなの?」 そう言って母はちらりと書斎に目をやった。 「どうやら今日はお休みみたい。 久しぶりに散歩でもしようかな?」 母の心配そうな顔がぱっと輝きだす。 「まあ、散歩ですって?」 後から部屋へ入ってきた医師のケインが苦笑する。 「それはちょっと我慢して欲しいな。 きみは三日間眠っていたのだから」 驚くキリー。 ケインはキリーがきちんと食事をとったのを確認した後、 残った点滴を片づけてベッドへ座るように手招きする。 指示されるままベッドのわきに腰をかけると体温と血圧、 脈拍を測った。 「まあ、きみは元々どこも悪いわけではないから、 今日一日安静にしていれば 明日からは散歩くらいは良いんじゃないかな」 と微笑んだ。 「わたし本当に三日も眠っていたの?」 母もケインも顔を見合わせてうなずく。 こんなこと今まで一度もなかった。 三日も眠り続けてまだ次の作品ができていないなんて…… もしかしたらハデスは…… そう思いかけて小さな吐息をひとつつく。 淡い期待は抱かないほうがいい。 次の作品はこれまでとは趣向が違うのかもしれない。 くよくよ考える時間も惜しい。 ☆本を出版するチャンス☆