◇納棺の儀 | 心の安らぎをもとめて

心の安らぎをもとめて

最愛の父が長期闘病後、旅立ちました。
突然喪失感と不安に襲われ、涙が止まらなくなります。
以前から神社仏閣へ訪れるのが好きで2013年に初めて御朱印を頂きました。
今は御礼参りと自身の心の安らぎを求める日々です。

お久しぶりです。

久しぶりすぎてエディタの使い方を忘れてしまいました。

日にち薬とはよく言ったもので、父が亡くなってから1年半…

アクティブに活動出来るようになっています。

 

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2016年1月12日

 

午後2時から納棺式。

 

父の口元は緩みが出て、ぽっかり開いてきた。

口の中は赤白い大きな口内炎みたいなモノが舌に数個あった。

これだけ長い間、暖かい部屋に安置していると父の身体に何らかの変化が起こると思っていた。

 

一番懸念していたのは、点滴で身体や顔が浮腫んでくるのではないかということ…。

しかし亡くなった時と表情は変わりなく、穏やかで優しい顔のままだったので安堵した。

 

男女各1名の納棺師の方がおみえになり、式が始まった。

何度か納棺に立ち会ったことはあるが、このような納棺式は初めて。

祖父母のときは、襖を閉めた隣の部屋で着替えを行い、その様子を家族には見せなかった。

父のときは、本木雅弘さんが演じた「おくりびと」のワンシーンそのものだった。

 

男性から洗面器を渡され

「先に水を入れて、それに熱湯を足して適温にしてください。」

と言われた。

 

私が子供の頃、コップの中に水を入れてから熱いお茶を注ごうとした時に『それは死人がやることだ!』と父から物凄い勢いで叱られたことがあった。

この儀式の事なのだ。

 

父の身体の上に薄紫の菖蒲柄の死装束が掛けられ、素肌が見えないように着ていパジャマを脱がせ、身体を丁寧に拭いてくれる。

遺影に使う写真を納棺師の方へ渡し、元気だった頃の顔に近づけてもらった。

口の中に綿を入れたら、こけてしまった頬がふっくら。

ひどい黄疸もファンデーションでカバー。

点滴の内出血も見えないようにしてもらった。

 

『カッコ良くなったね。お父さん。』

 

祖父母の頃は、三途の川を渡るための紙のお金を首から下げた袋に入れたり、脚絆を付けたり、頭に三角の布を付けたが、浄土真宗は旅をしないですぐに極楽浄土へ行くと考えられているので今は脚絆も杖も紙のお金も必要なくなったのだそうだ。

近年、通夜や葬式にお清めの塩を使わなくなったし、考え方や様式が大きく変わっているのだなと思った。

 

先ほどのお湯にガーゼを浸して絞ったものを一枚ずつ渡され、父の身体を綺麗にした。

氷のように冷たい…

母が掌でさすりながら温めている。

皆で一緒に白足袋を履かせた。

全員でシーツを持って、棺の中へ父を納めた。