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フェニーチェ堺 外観
ロビー
2019年に開館した新しいホールで、今回初めて訪問しました。
コンクリートの外観、ガラス張りで開放感があるロビー、一方通行のトイレなど機能的で快適な建物でした。
幾度の戦火から蘇ったまちの歴史をふまえて、不死鳥のイタリア語である「フェニーチェ」がつけられたそうです。小ホールやスタジオも備えた堺市民芸術文化ホールということで、行政の力が入ってます。
大ホール 客席2000席 (写真お借りしました)
4階席まであり、オペラも上演されるシックな内装でした。
大阪交響楽団は、堺市に本拠地がある創立30年のオーケストラです。
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フェニーチェ堺 名曲シリーズvol.2
プログラム***
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 op.74「悲愴」
2024年6月15日 フェニーチェ堺 大ホール
指揮 山下一史
ピアノ 牛田智大
管弦楽 大阪交響楽団
*****
舞台には、スタインウェイのピアノが準備されていました。
にこやかに登場した牛田さん。
指揮者と目をあわせての冒頭。
緊張感ある序奏ではじまりますが、C-H-A-A(ド‐シ‐ラ‐ラ)のメロディーが切なく甘美に、表情を変えながらつづきます。
オケとピアノが溶け合うように呼応して美しい歌がはじまった、と思ったら急に激しくなるところは、シューマンらしく思えました。
ハープのような細やかなアルペジオが儚さを、バスの旋律が力強く支えます。
何度も繰り返されるC-H-A-Aは、妻クララに呼びかける声のよう。
クララへのあふれる愛…
カデンツァ以降、次第に熱を帯びる演奏に心掴まれ、2年前に聴いた「ピアノソナタ第1番」の1楽章や、今年聴いた「クライスレリアーナ」を思い出しました。
当たり前ですが、初期のシューマン作品を経て書かれたピアノ協奏曲だからか…と納得しました。
2楽章の間奏曲は、密やかな語らいのようでうっとりし過ぎました。
テンポが上がると、軽快な3楽章へ。
上昇する音型で、晴れやかな気持ちになっていきます。
長いトリルも、スタインウェイの音はきらきら輝いて。
休みなくつづくピアニスティックで華麗な、めくりめく世界。
跳躍が多く、踊るようにからだを揺らして弾く牛田さん。
輝かしく力強いフィナーレまで、息つく暇がありませんでした。
ブラボー
牛田さんはメッセージで「3楽章は幸福への行進」と話されていましたが、本当に
”しあわせ”でした
シューマンのピアノ協奏曲が、とても好きになりました
アンコール
シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 2楽章「アリア」
瀕死の兵士が恋人へ贈る、美しいピアニッシモのアリア。
最後の一音が消えるまで、静かに余韻に浸りました。
後半はチャイコフスキー。
最後に書かれた交響曲「悲愴」は、予習で聴いた時には「暗くはじまり暗く終わる。でもそれほど悲愴感はない」という印象でした。←ざっくり過ぎる
プレトークでも「2楽章は5拍子で珍しい。3楽章はマーチ」などと聞いていたので、寝てしまうことなく楽しめました。
前半はピアノでお姿が隠れてわかりませんでしたが、山下マエストロは、身体全体を使って情熱的に指示を出されていました。楽譜なしだったので「悲愴」は振り慣れているのでしょうか?
カラヤンが亡くなるまで、アシスタントを務めていたそうです。
重厚で切れ目ない音、キャッチーなフレーズが何度も繰り返されて、美しいメロディーラインは映画音楽を思わせました。民族舞踊的な軽やかなリズムや3楽章のマーチは、楽しく盛り上がって最高潮に達するのに!
ここでは終わらず、消え入るような4楽章で締めくくられます。
初演後の8日目に亡くなった作曲家は、自身の死を予感していたのでしょうか。
舞台に近い席だったこともあり、弦楽器奏者の迫真の演奏姿や地響きする打楽器など、生のオーケストラの迫力を体感しました。
客席へ振り向くとほぼ満席で、4階席まで入っていました。
地元の人がたくさん聴きにきてくれるホールになってほしいです。
一緒に行った友人は、お花が飾られているのを見て驚いてました。
ここのところ、どなたか熱心なファンの方から贈られています。
シューマンのピアノ協奏曲は、9月にも演奏予定があります。
なんと、モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番と一緒にプログラムされています!
ー協奏曲の夕べー
2曲のコンツェルトが聴けるのは魅力的ですね
2024年9月3日(火)19時開演
東京オペラシティコンサートホール
指揮 飯森範親 / 管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
久しぶりに堺へ足を伸ばしたので、寄り道編へつづきます