牛田智大さんのリサイタルに行ってきました。
2月末からはじまったツアーも、大阪、高知を残すのみ。
聴けるのを楽しみにしていました♪
プログラム***
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調
シューマン:クライスレリアーナ op.16
ショパン:
即興曲 第1番 変イ長調 op.29
即興曲 第2番 嬰ヘ長調 op.36
即興曲 第3番 変ト長調 op.51
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58
2024年3月24日
ザ・シンフォニーホール
ピアノ YAMAHA CFX
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ホールに入ると、舞台上にはYAMAHAのピアノがありました。
昨年3月にあった、シューベルト・バッハ・ブラームス作品のリサイタルでは、シゲルカワイだったのですが、この日はショパンがあるから?など思いました。
最初のモーツァルト。
やわらかくて丸い音。少しくぐもった音がとても合っていました。
鍵盤をつかむように背を丸めた姿は、ピアノと会話しているよう。
時おり笑みを浮かべての演奏は珍しいかも。
野の花咲く小径を散歩するみたいに、しあわせな気分でした。
続くクライスレリアーナには、翻弄されました…
8曲からなるこの作品は、文学から大きな影響を受けています。
急・緩・急…と交互に曲調が変わり、1曲の中にも変化あり、実に多面性のある内容です。楽譜を見ても、わたしには、どこがメロディーなのかわかりません
胸が締めつけられられ、叫びをあげるかのように始まったかと思えば、ふわふわと夢心地にもっていかれ、また張り裂けそうな思いに陥る…
揺れる複雑な感情を、時に激しく鋭い低音で、時に天上から包み込むような音色がひろがり、シューマン独特の不思議な世界が表現されていました。
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後半のショパンでは、音色が変わったように聴こえました。
艶やかで潤いのある… ショパンの音。
でも、以前同じピアノで同じホールで聴いたショパンとは違っていました。
よく知られる即興曲1番は、音符に羽根が生えたよう。
軽やかに音が舞っていました。
短いフレーズ、一音、一音に神経が行き届き、即興曲というよりノクターン風に聴こえる2番も、3番のハーモニーの奥深さと美しさにもため息がでました。
どんな風に演奏をされるのか、楽しみにしていたピアノ・ソナタ第3番。
1楽章の緊張感あるはじまりから第二主題へ変わるところ、甘美なメロディーと細かな左手の旋律がとても美しかったです。
3楽章の甘美なラルゴが静かに終わり、力強い序奏で4楽章の幕開け。
激情にかられるような、超絶技巧の連続です。
右手が音階を上下に駆けめぐると、左のbassの旋律が浮かび上がり、超然と突き進むフィナーレは圧巻でした!
あぁ、もう一度聴きたい。
アンコール
ショパン:前奏曲 op.28-4
シューマン:トロイメライ
クライスレリアーナは、ショパンに献呈されたことから、今回はシューマンとショパンをメインにしたプログラムになったそうです。
アンコールも二人の作品で締めくくられました。
2年前、インスタライブでソナタ3番をちょこっと弾いて
「ここのところが納得いかない」
とおっしゃったことがありました。(どの部分か覚えていませんが…)
今回、二人の作品とモーツァルト、それぞれ多彩な音色で奏でられているのを聴き、牛田さんの確かな進化を感じました。
いつもどんなことを考えて弾いているのだろう、と思っていましたが、今年2月から連載開始の「音の記憶を訪う」に、音楽に対する考えや日頃の様子などが記され、ストイックな生活を少し知ることができました。
ONTOMO Webマガジンでの連載
今月は、デビュー12周年を迎えられ、各会場でファンの方からお祝いのお花が飾られていました。
益々のご活躍を!と思っていたら、こんな所にもお名前がありました。
三井グループ350周年記念事業
三井みらいチャレンジャーズオーディション
牛田さんは、「カルチャー創造部門」のひとりに選ばれました。師事されていた、アガジャーノフ先生の著書(音楽理論体系などが記されたものと思われます)の日本語訳出版プロジェクトのようです。
詳細わかりませんが、ピアノを弾く以外にこうした活動をされているとは、からだがいくつあっても足りない気がします。(完全におばちゃん目線…)
若く才能があり努力もされるから、これからもいろんな事に取り組んでいかれるのでしょう。今後も楽しみです。
昨年のこの時期、桜が開花していました。
ホール近くでピンク色を見つけた!と思ったけれど
多分アーモンドの花ですよね
さくらはまだかー?