映画ファンと言えるほど、今までに観た本数は多くない。

手元のタブレットやスマホで、今ではどこでも映画を楽しめる時代だけれど、できるなら映画館で何にも邪魔されずに観る機会をつくりたいと最近は思う。

 

 

京セラドームの最寄り駅から地図をたよりに、こんなところに映画館があるのかと半信半疑で歩くと、唐突に現れた個性的な外観。

 

 
1997年1月に開館し、今年で27周年を迎えたミニシアター。
名前は聞いていたが、初めて訪れた。
大阪市内の十三や中崎町にも、ミニシアターがあるそうだ。
 
 

 

狭い通路に多数のチラシとポスター、新聞記事などが貼られた雑多な雰囲は、昔何度か行った小さなライブハウスや小劇場を思い出す。

それらをぎゅっと凝縮させたような、濃密な空間。

 

両側の壁一面にサインが書かれ、圧倒される。

 

 

 

ねこ型付箋紙に書かれた、ここを訪れた人が残した思い。

映画の感想や映画館への感謝、応援などが書かれ、愛されてる映画館だと感じた。

 

時々、映画館の閉館を伝えるニュースを耳にする。

ここも維持していくのは大変なようで、設備を新しく更新するためにクラウドファンディングが利用されていた。

 

 

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2階にあるシネ・ヌーヴォXが、上映シアターだった。
再上映作品のため、24席の小さなスペース。椅子にはスクリーンを見やすくするための分厚いクッションが置かれ、手作り感ある試写室のよう。
 
平日にもかかわらず、ほとんどの席が埋まっていたことに驚いた。
 
 
映画「月」を観た。

あらすじは書かずにおくがエピソードが詰め込まれた感があり、消化できずにいる。

ホラーっぽい脚色には疑問を感じたが、核心には触れず、上っ面だけで物事を見ようとする社会に現実を突きつけ、観る者へ問うようなセリフが胸を衝く
 

 

 

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オンライン予約をする時に知ったが、俳優と監督の舞台挨拶が予定されている。

この回のチケットは、すでに完売していた。

 
 
入口に貼られていたお知らせ。
3月3日(日)に1階のシネ・ヌーヴォ(69席)で上映され、磯村勇斗さん・松岡茉優さん・石井裕也監督が登壇する。
 
1階シネ・ヌーヴォ 公式サイトより
 
この近い距離で会えるのは、ファン垂涎ものだろう。
ミニシアターでも舞台挨拶があるのは、作品を作る側と観る側どちらにも大切にされている場所だと感じる。
 

しかし、このためだけの来阪ではないだろうと調べると「おおさかシネマフェスティバル2024」という映画祭が開催されることを知った。

 

 

 

「大阪で開催される、映画ファンと映画人の交流を図る唯一の映画祭」ということで、今年は第47回を数える。

関西の映画ファンが選ぶ、2023年度の映画ベスト10が発表され、各賞が授与される。

 

主演女優賞 松岡茉優「愛にイナズマ」

 

助演男優賞 磯村勇斗「月」

 

監督賞 石井裕也「月」

 

ここに3人の名前があり、この流れで九条へ足を運ばれるということのようだ。

 

ちなみに

主演男優賞 鈴木亮平「エゴイスト」

 

助演女優賞 中村久美「高野豆腐店の春」

 

日本映画 作品賞 「PERFECT DAYS」

 

となっている。

 

 

 

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シネ・ヌーヴォでは、3月に「生誕120年・没後60年記念 小津安二郎の世界」と題し、小津作品が上映される。

昨年末に、BSで放送していた「東京物語」を観たのが、わたしの小津作品デビューとなった。山田洋次監督の「東京家族」を観ていたので、話のあらすじは知っていたが時代が違いすぎ、当時の時代背景や風俗が興味深かった。


 

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せっかくなので、この機会に他作品を映画館で観たいと思う。