今年初めて聴く、牛田智大さんのピアノ♪

和歌山へ行ってきました。

 

 

南葵音楽文庫寄託記念公演

華麗なるラフマニノフ&《新世界より》

 

プログラム***

 

ネイラー:

序曲「徳川頼貞」

 

ラフマニノフ:

ピアノ協奏曲第2番 Op.18 

 

 

ドヴォルザーク:

交響曲第9番「新世界より」

 

2024年1月24日

和歌山県民文化会館 大ホール

ソリスト 牛田智大

指揮 原田慶太楼

管弦楽 読売日本交響楽団

*****

 

 

和歌山といえば、パンダ・みかん・梅・海鮮・ラーメン…

の偏ったイメージがありましたが、プログラムに徳川の名前があります。

 

 

白馬(に違いない!?)に乗る徳川吉宗像

 

紀州徳川家を忘れてはいけませんでした。

 

紀州徳川第16代当主徳川頼貞(1892-1954)は、父頼倫が創設した音楽関係の資料コレクションを引き継ぎ拡充しました。

現在、コレクションは読響が所蔵し、和歌山県との寄託契約によって和歌山県立図書館で一部が無料公開されています。

 

今回の演奏会は、南葵(なんき)文庫寄託記念としての和歌山公演で、これまで阪田知樹さんや、清塚信也さんがソリストとして招かれ演奏されていました。

 

 

 
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南葵楽堂とパイプオルガン
 

頼貞はイギリスに渡り、ケンブリッジ大学で音楽を学びました。

 

まだ日本に無かった音楽専用ホールを作ろうと、1918年に南葵楽堂を完成させました。関東大震災により倒壊しましたが、ヴォーリズが設計に関わっていました。

この時、イギリスから輸入したパイプオルガンは修復され、現在は旧東京音楽学校奏楽堂にあり、時おり演奏されているそうです。

 

 

あれ、何の話だっけ?

音楽に話をもどします…

 

***

 

大雪予報で大寒波がやってくる日。

会場がある和歌山市内は、風は強いものの雪にはならず交通に影響はありませんでした。初めての場所へ行くときは、何かとどきどきします。

 

 

和歌山県民文化会館

ポスターがたくさん貼られていました。

 

 

 序曲「徳川頼貞」は、南葵楽堂開堂記念に演奏する音楽を、イギリスで師事していたネイラーに委嘱した作品です。船便の関係で、初回演奏会には間に合わなかったみたいですが、スケールの大きいことされてます。

 

威風堂々としながらも、品格があり軽快で明るく気持ちがはずむような曲調。

長い手を大きく優雅に動かして指揮する原田さんが、踊っているようにみえました。

 

 

 
年はじめに、プラハ交響楽団と札幌・福井・東京・神奈川でラフマニノフの2番を演奏した牛田さん。
聴きに行けなかったのですが、ラフマニノフは今回を締めにしばらく演奏されないようなので、もう一度聴きたくなりました。
 

ピアノの天井が開けられて、牛田さんと原田さんが颯爽と登場しました。
 

冒頭のピアノソロ。

鐘の音はいつもより遠くで鳴っているよう。

重厚な響きで、弦楽のうねりが寂寥感を漂わせます。

オケと入れ替わりピアノソロになるとたっぷりうたい、細やかな音の粒が管弦楽とレースを編むみたい。

 

11月に大阪で聴いた時より、さらに甘美でなめらかなフレージング。

温かな管楽器と艶やかなピアノ、特にフルートとの会話が美しく、水面を漂うような心地よい浮遊感に身をまかせた2楽章でした。

 

牛田さんは、いつもより指揮者とのアイコンタクトが多く、顔を上げて弾いている場面が目立ちました。

そんなに見つめるの?みたいなところもあり、お二人の関係性にどきどき。

 

カデンツァでかけ上がり、暗いトンネルを抜けて光あふれる世界へと!

終盤からの壮大なスケールと力強い音の圧に会場も熱気を帯び、原田さんの動きもますます激しくダイナミックになりました。

オケとピアノがひとつになり華麗な音の渦でフィナーレ!

 

ブラボーの声がかかり、牛田さんは原田さんに駆けよりビッグハグされてステキな光景でした。二人の音楽に対する熱い気持ちが伝わり感激しました。

 

アンコールは

 

ラフマニノフ:ヴォカリーズ

 

うれしい!

聴きたかった曲です。

指揮台に腰掛け、ピアノのすぐ横で聴く原田さん。

切ないメロディーに心震えました。

 

ラフマニノフイヤーだった2023年、ピアノ協奏曲を何度か聴くことができました。

第2番について

 

ー濁りが無く透明感があり、新鮮さと同時に普遍的なものを感じるー

 

と牛田さんはいいます。ラフマニノフの心情を表し、実は内省的で室内楽のような性格をもっているという部分が、すこし理解できたように思いました。

 

 

「新世界より」

 

ちょうど1年前に、コバケン×ハンガリー国立フィルの演奏を聴きました。

読響サウンドも、音がよく鳴り熱い演奏でした。

 

何度かテレビで拝見しましたが、原田慶太楼さんの指揮は初めてでした。

長い手足を使い情熱的に指揮されるので、こんなに動かれたらどの楽器も大きな音を出そうとしてしまうのでは?と素人は変な心配をしました。

 

ミュージカルに感動し、音楽の道を目指されたそうです。

アメリカの高校へ渡り、楽器より指揮に興味をもち学ぶためモスクワへ。

指揮をはじめて2年でデビューされたという、すごいバイタリティーと才能をお持ちです。現在は、アメリカと日本を行き来しながら世界的に活躍をされています。

まだ30代後半とお若く、これからますます活躍されることでしょう。

 

 

よく行くシンフォニーホールでは、値段の関係で舞台に近い3階席からみることが多く、一部が見切りになってしまいます。

今回は、当初行かないつもりでチケット取りが遅くなり、舞台が遠い2階席中央でした。でもオーケストラをよく知らない自分には、舞台全体が見える席は面白かったです。

楽器の配置もその時々によって替わるし、オーケストラを題材にしたドラマを観ていると、お芝居とはいえ楽器を演奏したり、指揮の演技をするというのは難しそう。俳優さんたち度胸あるなぁ…などと感じました。

 

双眼鏡を使っていたら休憩中に隣の人から

「熱心に見られてましたね」と話しかけられました。

うっ、恥ずかしい。そんなにガン見してた?

 

「初めて聴いたんですけど、牛田さんのピアノにすごく感動して…」

という感想を聞いてうれしくなり、プログラムと一緒に配布された6月の演奏会をおススメしました。

 

こちら↓↓↓

 

2024年6月15日(土)

フェニーチェ堺 大ホール

 

大阪交響楽団

フェニーチェ堺 名曲シリーズvol.2

指揮 山下一史

ピアノ 牛田智大

 

シューマン ピアノ協奏曲♪

チャイコフスキー 交響曲第6番♪

 

チケットは1月27日(土)一般発売です!

 

 
 
しかし平日の夜公演、和歌山は遠かったなぁ…
帰宅が遅くなり、翌日への影響が大きかったです笑い泣き