『ラフカディオ・ハーン 漂泊の魂』(工藤美代子著/NHKライブラリー)を読みました。
小泉八雲で知られるハーンの生涯をまとめた本です。
父はアイリッシュ系イギリス人の軍医。ギリシャのセリゴ島に駐留中に、母となるローザと出会い、ハーンはサンタ・モウラ島のリュカディアに生れました。
2歳のとき、父の故郷・ダブリンに戻りますが、温暖な気候に慣れていた母ローザは体調を崩し、ギリシャに帰国してしまいます。父はクリミア戦争に借り出され、ハーンは裕福な大叔母に育てられます。
父は帰国後、別の女性と結婚。
裕福だった大叔母も投資の失敗により破産。
ハーンは学校での事故で左目を失明。不運つづきの少年時代です。
やがて単身アメリカに渡り、シンシナティからニューオーリンズへと移り、新聞記者として働くようになります。
マルティニーク島にも滞在し、その地を愛しますが、根っからの旅人ハーンはニューヨークへ行き、さらには大都会に嫌気がさし、東洋を目指します。
松江で高等学校の教師をしながら執筆活動をし、身のまわりの世話をしてくれていた小泉セツと結婚。さらには、熊本でも教師を勤めますが、その地は気に入らなかったようで、神戸で「神戸クロニクル」に記事を書き、そしてついには帝大の講師に迎えられるようになります。
ハーンが最も愛したのは松江でした。旧き良き日本文化があり、愛情あふれる心こまやかな女性のいる土地でした。彼には終生、母への思慕があったそうです。
ラフカディオ・ハーン・小泉八雲といえば、「松江」とくるのは当然ですが、こんな遍歴があったことを知りませんでした。
また、彼は西洋の偉大な神より東洋の「小さな神々」を愛しました。
日本には、いろいろな神がいる・・・「だるま」でさえ・・・。
著者・工藤氏は「(ハーンは)日清、日露の戦争にも心を痛めました。しかし、そうした社会性を帯びたトピックはもう考えるのをやめて、美しい小さな生き物だけを見つめて生きてゆこうと決心したのです」と書いています。
私もそうありたい、なんなら、美しいものだけを見つめて、ささやかな幸福を得られればいいのではないか、と思います。