エルヴィスをこよなく愛し、自らもシンガーであり画家でもあったロニー数さんが5月3日の夜にこの世を去った。享年60歳だった。
ロニーさんの歌声を初めて聴いたのは、エルヴィス生誕50周年の1985年の1月だった。
ラジオ(TOKYO-FM)から流れてきたロニーさんのギター1本の弾き語りによる〈You Don’t Know Me〉を聴いたとき、そのあまりの上手さに体が震えた。
絶妙なヴィヴラートのかけ方といい、深みのあるバリトンの声質といい、まさにエルヴィスそのものだった。
ロニーさんはこの年、新宿厚生年金会館のすぐ隣りに、『モナ・リザ』というスナックをオープン。そこでエルヴィスを毎晩歌っていた。
そして8月には、豊島公会堂で行なわれたエルヴィスの追悼イヴェントで初めて共演し、以来、酒が全く飲めないにもかかわらず、僕は良くロニーさんのお店に足を運んだ。
ロニーさんはいつだって、僕に優しかった。
その優しさは、僕にロニーさんを紹介してくれた赤沢会長と同種のものだった。ふたりとも、まさに兄貴のような存在だった。
そのふたりがもうこの世にはいない。淋しい…。
ふたりは今頃、天国でエルヴィスのショーを楽しみ、酒を酌み交わし、そしてロニーさんの弾き語りでエルヴィス談義に花を咲かせているに違いない。
ロニーさんは、僕に「エルヴィスを歌い継いで欲しい」と遺言とも取れる言葉を遺してくれたという。
こりゃあ、やるっきゃないな。
シャイでおしゃれで、わがままで、それでいて他人への気配りを忘れず、お酒が大好きで、すごく優しくて、子供のように純なハートを持っていた芸術家のロニーさん。どうぞ、安らかに。