娘孝行、感無量なり | ビリー諸川の生涯ロカビリー!!

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ロカビリー一筋40年!
日本で、いや東洋で唯一エルヴィスのバッキングメンバー達とレコーディングした
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2月3日、都内にニ年ぶりの大雪が降った。

大雪と言っても、北国と比べたらたかが知れてる量だが、それでも4~5cmは積ったのだから、こっちに住む人間にとっては、立派な大雪だった。

前の晩、赤羽でのライヴからの帰り道、既に粉雪らしきものがパラつき始めてはいたが、まさかこんなにも積もるとは、起きてみてびっくりといった状態だった。
ライヴを終えた晩は、その興奮からなかなか寝付けず、大抵朝の4時頃に就寝するのが僕の常である。
それでもいつもなら、娘の登校に合わせ、7時には必ず起きるようにしてきた僕だが、この朝は、日曜日ということもあって、昼頃までゆっくり眠れるなと思って、床に就いた。

ところが、頭の片隅に“雪は積ったかな?”という、僕の子供心からのワクワク期待感が就寝中にもかかわらず、僕の脳みそのなかにある回路で働いていたことによって、10時前には目が覚めてしまったのである。
そして窓の外を見て、ビックリ!一面銀世界ではないか。50歳だというのに、心が躍ってしまうのである。
そこへ起きていた娘が「パパ、一緒に雪のなかを歩こうよ!」と一言。
寒い、眠い、起きたくない、雪のなかを歩くなどとんでもない、というネガティヴ感が僕を布団のなかに再びもぐり込ませた。そして娘の声を視線を遮るかのごとく頭まですっぽりと布団をかけた。
ところが、すぐに強烈な後ろめたさが僕を襲った。
(こんな雪の日に、娘と一緒に歩いたり、雪だるまを作ったりできるのはこれが最後のチャンスかもしれない…)
娘はこの春に中学生になる。そんな彼女と雪遊びができるのは、娘が小学生でいる今年しかない、と思った瞬間、進軍ラッパが頭のなかで鳴り響き、僕を布団のなかから飛び出させると、20秒で雪にまみれても平気な服に完全武装し、娘が弾き語りをするときに使う歌詞とコード表を入れるファイルを買いに商店街へ出かけた。
道中、お約束の雪合戦。都会の雪は、北国の雪と違って、ベチョべチョ。
だから服に付くと、氷がベタっと貼り付くようになる。
それでも、楽しい。楽しいから、ベチョベチョになりながらも、雪玉を作っては投げ合った。
ファイルを買ったついでに軍手も買った。雪だるまを作るためである。

僕らはその軍手をはめ、玄関前の雪を使って、ふたつの雪だるまを作った。
真っ白な息を吐きながら一生懸命に雪を転がす娘。
いくら体が大きくなったとはいえ、その姿はやはり小学生だ。
完成した僕の雪だるまの顔を見て、娘が言った。
「パパが作った雪だるまの顔、パパにそっくり!」
「冗談じゃないよ。パパの目はこんなに細くないって。この目は極細の枯れ枝を使ったんだぞ」
「だからそっくりなんじゃない」
こんな他愛無い会話が楽しい。いっぽうで強烈に寂しくもなる。

雪遊びを終え、お風呂に入った娘に風呂桶いっぱいの雪を運んでやった。
僕も子供の頃、そうやって遊んだことが楽しかったから、娘にも小さい頃から、雪が積った日にはそうやって風呂場に雪を運んでやっていた。
子供の頃の僕がそうだったように、娘も結局一時間、お風呂で雪遊びを楽しんだ。

エルヴィスは、一人娘のリサ・マリーに雪を見せたくて、ロッキ-山脈上空まで、自家用ジェット機を飛ばしたというが、そのスケールこそ違えど、娘を想う父親の気持ちは、皆同じというものである。

娘孝行ができて本当に良かったと思う。感無量だ。