最近つくづく思うのである。エルヴィスって本当に歌がうまいなあって。
ナニ言ってんの?ビリーさん!そんなこと、今頃わかったの?って叱られてしまうかもしれないが、そんなこともちろんわかっておるのだ。
けれども、エルヴィスを聴くとき、いつも同じ気持ちで聞けることなど絶対にないから、こんな気持ちが、彼のファンになってから32年の間に何度も繰り返されてきたのである。
僕にとって、エルヴィスとはそういった対象の唯一無比の存在のアーティストでもあるのだ。
さて今回のお薦めは、僕がエルヴィスを好きになった1972年当時の、僕のお気に入りナンバーである。
1950年代~〈今夜は快調!〉:1954年9月録音
…オリジナルは黒人R&B歌手ロイ・ブラウンのジャンプ・ブルース。エルヴィスはこれを見事にロカビリーにアレンジしてうたっている。原曲にはない♪ROCK!ROCK!ROCK! ♪と叫ぶ箇所は圧巻。ドラムがいないとは考えられないほどの躍動感とビート感に、15歳のビリーさんは完全にノック・アウトされた。
1960年代~〈G・I・ブルース〉:1960年4月27日録音
…エルヴィス徐隊後、最初の主演映画(通算5本目)となったタイトル・ソング。〈ロカ・フラ・ベイビー〉同様、エルヴィスの曲作りの味付けの特徴が見て取れるナンバーだ。つまり軍隊ということで、リズムはマーチに、それでいて、曲進行は12小節のブルースとなっている(〈ロカ・フラ・ベイビー〉では、ハワイアンということで、スティール・ギターをそのサウンドの前面に押し出すことで、“いかにも”というテイストをその味付けとし、曲進行はブルース・パターンをとっている)。
1970年代~〈バーニング・ラヴ〉:1972年3月28日録音
…当時、『ハンター』という中古レコード屋があって、僕は随分とそこの店でエルヴィスのレコードを買った。この曲もその店で購入したものである。僕がエルヴィスにのめり込むようになった『エルヴィス・オン・ツアー』という彼の生前最後となった映画(通算33本目)の主題歌として発売された。映画の中で彼が“新曲をうたいたいと思います。もししくじったら勘弁を”とか言ってうたい出す、その格好良さときたらなかった。途中で持っていた歌詞カードをパッと捨てて、♪ハンカ、ハンカ、バ~ニン・ラ~ヴ♪とくるのであるが、もう15歳の僕は、まるで宇宙人を見るかのごとく、スクリーンのエルヴィスを追っかけていたことが、昨日のように思い出されてならない。