私の友人であるグレン・ターナーが、まだ駆け出しのセールスマンだった頃の話だ。
彼はある家を訪ね、ミシンを売り込もうとした。
だが話しているうちに、「この家に、ミシンを買う余裕なんてない」と判断し、説明もそこそこに引き上げようとした。
すると、玄関を出た彼を、その家の主人が追いかけてきた。
そして、こう言い放った。
「何様のつもりだ?」「気に入った商品なら、妻のために買ってやる権利がこっちにはあるんだ!」
私はこの話を聞くたびに、ある感覚をしていた読者に思いを馳せる。
「相手のために、無理な提案はやめておこう」
そう考えるのは、一見、配慮に見える。
だが実際には、相手の判断する権利を、あなたが勝手に奪っている。
裕福な家庭の食卓では、食べ物がぎっしり詰まった冷蔵庫を前に、子どもは迷わず皿に手を伸ばす。
だが貧しい家庭の食卓では、同じ空腹を抱えていても、「自分より空腹の人がいてはいけない」と手を止めてしまう。
欲求は同じでも、育った環境の思い込みひとつで、行動はまったく変わる。
あなたが客の代わりに「これは高いだろう」「これは無理だろう」と判断しているとき、
あなたはその客を、貧しい家庭の食卓に座らせているのと同じだ。
決めるのは、客だ。あなたではない。