一昨日の新聞の一面に
「父親が保育器代200ルピー払えず、新生児死亡」
という見出しが載っていた。
200ルピーは大体300円くらいである。
その赤ちゃんは生後黄疸などの症状があり
保育器での治療を必要としていたが、
日雇い労働者である父親が
保育器代200ルピーを払えなかったため、
病院のスタッフは赤ちゃんを保育器から出し、
母親へ返した。
生後5日の赤ちゃんは、絶望する母親の腕の中で息を引き取った。
その病院には
「保育器の代金が払えない場合には、
その使用を希望する旨を
両親が書面にして病院に提出する必要がある」
という規則があるらしいが、
教育のない父親はそのような規則を知らなかった。
もしかしたらこの父親は、読み書きすら
できない人だったのかもしれない。
少し話が変わるが、デリーで物乞いにあうことは珍しくない。
物乞いの中には病院からの処方箋のようなものを見せながら
「この薬代が必要だ」
と涙ながらに施しを求める人がいる。
炎天下の中、ぐったりした幼児を抱えて
「この子が死んでしまう」
と訴える親もいる。
私に、この人たちが言っていることの真相を知る術はない。
少しでも多く稼ぎたいがために
こうした訴え方をしているのかもしれない。
物乞いたちの裏には、マフィアのようなグループが存在することもある。
しかしこの記事を読み、
「もしあの処方箋が本当だったら・・・」
「あの子供が本当に死にかけていたら・・・」
と、物乞いにあったときの光景を思い出さずにはいられなかった。
結局のところ、何が正しい行いなのかは
誰にも分からない。
たった300円が払えないばかりに失われた尊い命。
やりきれない思いがした。