がんばれピナレロ先輩!危うしレギュラーの座!
ここはとあるチームのロッカールーム。
昨年まではずっとチームの主力選手だったベテラン選手Pが着替えをする中、
最近入団したばかりの期待の大物新人選手Cが、トレーニングを終えロッカールームへと入ってくる。
新人選手はあくまで元気いっぱい。厳しい練習の後だというのに足取りもどこか軽やかだ。
対照的にベテラン選手はどこか難しい顔をしている。
ベテラン選手の心中を察したのかしないのか…、ちょっと大きめの声で新人選手がベテラン選手に声をかける。
+---+---+---+----+
「お疲れ様っス。」
「おぉ、お疲れ。」
「あの、P先輩。」
「何だ、C?」
「先輩って、何段なんスか?」
「え? 何段って、何のことだよ?」
「あの、ギアのことっスけど。」
「ギアって、変速のことか?」
(「なんだこの新入り、いきなり嫌なことを聞きやがる…、」)
「そうっス。先輩の変速の段数は何段なんスか?」
「えっと、…18段だな。まぁ充分な段数だな。」
「18って…、そうじゃなくて、リアの段数は何段なんスか?」
「リアって、後ろのギアのことか。」
「そうっス。リアのスプロケの枚数っス。」
「まぁ…9枚だな。」
「えっ? マジっスか? 9っきゃないんスか?」
「あぁ、それがどうかしたか?」
(「なんだその驚きぶりは!先輩をなめるなよ!」)
「先輩のリアの段数ひと桁なんスか? 先輩ほどの人がひと桁なんて、今どきちょっとびっくりっスね。」
「いや、昔はこれで全然充分だったんだ。今だって充分だと思ってる。」
「そうっスか……まぁ段数なんてチカラがあれば関係ないっつう話もありますよね。」
「お前はどうなんだ? 10段…あるのか?」
「自分は最初っから10段っスよ。オレの友達なんか11段のヤツもいますよ。」
(「それは実は知ってたが、お前がそんなことを俺に指摘することないじゃないか!新入りのくせに!!」)
「あ、そうなんだ。経験があればそんなことは問題じゃない!そんなこと聞いている暇があったら…」
「先輩、額から汗出てますよ。やっぱそろそろ10段にした方が実は良くないっスか?」
「お前、俺に10速化を勧めるのか?お前はスラムかなんかの回し者か?」
「いやいや、そんなんじゃなくて、先輩ほどの人が10段付けてないなんて、今時ちょっと珍しいかな…って、ちょっと思っちゃったんで…。」
「で、お前、10段ってそんなにいいのか?」
「あ、まぁ…いいっつうか、便利っスよね。平地専用みたいな組み合わせのギアにしてても、一応登り用のギアも持ってられるんで。」
「そうかぁ…。あ、まあ俺はいいよ。今のままで充分だから…」
+---+---+---+---+
【以下はP先輩の手記である。P選手自ら苦しい心中を告白する。】
「9段で十分だから…」とは言ってみたものの、俺の心は晴れなかった。
それ以来、真剣だけれども楽しそうにトレーニングするヤツの足もとばかりが気になって仕方なかった。
正直、今、俺はピンチに立たされている。
10段が最初から付いてたっていう新入りは、実のところ結構なスーパールーキーだから、まわりの期待も高いし、身体能力も抜群らしい…。
俺は長い間、このチームのレギュラーを張ってきたが、今年ばかりはヤツにレギュラーを取られてしまうかもしれない。なんとかしないと…今俺はそんな焦燥感に苛まれている。
何かをしなきゃいけない。トレーニング方法を変えるのか、それとももっと頭を使った賢い走りをできるようにするのか…。
そんなときに聞いた、いや、知ってはいたけれど後輩から指摘された10速ギアの話。妙に心にひっかかって仕方がない。
俺もどうにかして、10段のスプロケットを使えるようにした方がいいんじゃないかと…。
+---+---+---+---+
そして俺もついに決心が付いた。
新人になめられてたまるか。ヤツが10速なら俺だって10速だ。
まだまだレギュラーの座は譲り渡すわけにはいかない!
俺は意を決して監督に直談判しに行った。
10速化するだけの資金をなんとか俺にかけてくれって。
だが、人生そう甘くはない。
もう3年以上もレギュラーを張って来たからと言って、すでにベテランの領域に足を踏み入れた俺にホイホイと大金を投資してくれるほど、チームの資金事情は楽観的ではないらしい…。
だが、収穫がなかったわけではない。
まぁ身体のケアにでも使ってくれと言って、俺に2万円の資金を提供する約束はしてくれた。
2万円!?。俺は内心複雑だった。
そして監督は付け加えた。それ以上は逆立ちしたって無理だ。今のお前にかけられる金額は2万円で限度いっぱいだ!と。
+---+---+---+---+
素直に喜ぶべきなのか、それとも自らの立場を嘆くべきなのか…。
2万円という資金だけでは、10速化などできるはずもない…。
スプロケットとディレイラーくらいなら買える。チェーンだって買える。だがそこまでだ。
シフターがその金額では到底手に入らない。
シマノの10速用STIレバーなど、普通に買うとどうしたって3万円近くかかってしまう…。他のパーツとのセットではない、STIレバーだけの金額ですでに大きく予算オーバーしてしまう…。
これは無理だ…。今の俺には10速化など全くもって問題外だ。
トレーニングに精を出すしかないな…。
俺は実のところほとんどあきらめかけていた。
+---+---+---+---+
だが、窮すれば通ずとは良く言ったものだ。
俺のことを心配したコーチが、こっそりと教えてくれたのだ。
それだけあれば10速化くらいわけなくできるよ!と。
パッと目の前が明るくなった!
2万円以下の資金で10速化ができる!
ティアグラ装備のリアが9段しかないピナレロ・アングリルが、2万円以下の資金で10速化できる!
+---+---+---+---+
さぁ、もうひとつの「自転車組み立てぼうけんの書」がはじまった!
果たして2万円以下で10速化などできるのか!?
というわけで、次回は…「自転車組み立てぼうけんの書~第二章~」かなとも思うが、東京エンデューロのことなどもほとんど書けてないので、もしかしたらそのことを書くかも…。
昨年まではずっとチームの主力選手だったベテラン選手Pが着替えをする中、
最近入団したばかりの期待の大物新人選手Cが、トレーニングを終えロッカールームへと入ってくる。
新人選手はあくまで元気いっぱい。厳しい練習の後だというのに足取りもどこか軽やかだ。
対照的にベテラン選手はどこか難しい顔をしている。
ベテラン選手の心中を察したのかしないのか…、ちょっと大きめの声で新人選手がベテラン選手に声をかける。
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「お疲れ様っス。」
「おぉ、お疲れ。」
「あの、P先輩。」
「何だ、C?」
「先輩って、何段なんスか?」
「え? 何段って、何のことだよ?」
「あの、ギアのことっスけど。」
「ギアって、変速のことか?」
(「なんだこの新入り、いきなり嫌なことを聞きやがる…、」)
「そうっス。先輩の変速の段数は何段なんスか?」
「えっと、…18段だな。まぁ充分な段数だな。」
「18って…、そうじゃなくて、リアの段数は何段なんスか?」
「リアって、後ろのギアのことか。」
「そうっス。リアのスプロケの枚数っス。」
「まぁ…9枚だな。」
「えっ? マジっスか? 9っきゃないんスか?」
「あぁ、それがどうかしたか?」
(「なんだその驚きぶりは!先輩をなめるなよ!」)
「先輩のリアの段数ひと桁なんスか? 先輩ほどの人がひと桁なんて、今どきちょっとびっくりっスね。」
「いや、昔はこれで全然充分だったんだ。今だって充分だと思ってる。」
「そうっスか……まぁ段数なんてチカラがあれば関係ないっつう話もありますよね。」
「お前はどうなんだ? 10段…あるのか?」
「自分は最初っから10段っスよ。オレの友達なんか11段のヤツもいますよ。」
(「それは実は知ってたが、お前がそんなことを俺に指摘することないじゃないか!新入りのくせに!!」)
「あ、そうなんだ。経験があればそんなことは問題じゃない!そんなこと聞いている暇があったら…」
「先輩、額から汗出てますよ。やっぱそろそろ10段にした方が実は良くないっスか?」
「お前、俺に10速化を勧めるのか?お前はスラムかなんかの回し者か?」
「いやいや、そんなんじゃなくて、先輩ほどの人が10段付けてないなんて、今時ちょっと珍しいかな…って、ちょっと思っちゃったんで…。」
「で、お前、10段ってそんなにいいのか?」
「あ、まぁ…いいっつうか、便利っスよね。平地専用みたいな組み合わせのギアにしてても、一応登り用のギアも持ってられるんで。」
「そうかぁ…。あ、まあ俺はいいよ。今のままで充分だから…」
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【以下はP先輩の手記である。P選手自ら苦しい心中を告白する。】
「9段で十分だから…」とは言ってみたものの、俺の心は晴れなかった。
それ以来、真剣だけれども楽しそうにトレーニングするヤツの足もとばかりが気になって仕方なかった。
正直、今、俺はピンチに立たされている。
10段が最初から付いてたっていう新入りは、実のところ結構なスーパールーキーだから、まわりの期待も高いし、身体能力も抜群らしい…。
俺は長い間、このチームのレギュラーを張ってきたが、今年ばかりはヤツにレギュラーを取られてしまうかもしれない。なんとかしないと…今俺はそんな焦燥感に苛まれている。
何かをしなきゃいけない。トレーニング方法を変えるのか、それとももっと頭を使った賢い走りをできるようにするのか…。
そんなときに聞いた、いや、知ってはいたけれど後輩から指摘された10速ギアの話。妙に心にひっかかって仕方がない。
俺もどうにかして、10段のスプロケットを使えるようにした方がいいんじゃないかと…。
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そして俺もついに決心が付いた。
新人になめられてたまるか。ヤツが10速なら俺だって10速だ。
まだまだレギュラーの座は譲り渡すわけにはいかない!
俺は意を決して監督に直談判しに行った。
10速化するだけの資金をなんとか俺にかけてくれって。
だが、人生そう甘くはない。
もう3年以上もレギュラーを張って来たからと言って、すでにベテランの領域に足を踏み入れた俺にホイホイと大金を投資してくれるほど、チームの資金事情は楽観的ではないらしい…。
だが、収穫がなかったわけではない。
まぁ身体のケアにでも使ってくれと言って、俺に2万円の資金を提供する約束はしてくれた。
2万円!?。俺は内心複雑だった。
そして監督は付け加えた。それ以上は逆立ちしたって無理だ。今のお前にかけられる金額は2万円で限度いっぱいだ!と。
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素直に喜ぶべきなのか、それとも自らの立場を嘆くべきなのか…。
2万円という資金だけでは、10速化などできるはずもない…。
スプロケットとディレイラーくらいなら買える。チェーンだって買える。だがそこまでだ。
シフターがその金額では到底手に入らない。
シマノの10速用STIレバーなど、普通に買うとどうしたって3万円近くかかってしまう…。他のパーツとのセットではない、STIレバーだけの金額ですでに大きく予算オーバーしてしまう…。
これは無理だ…。今の俺には10速化など全くもって問題外だ。
トレーニングに精を出すしかないな…。
俺は実のところほとんどあきらめかけていた。
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だが、窮すれば通ずとは良く言ったものだ。
俺のことを心配したコーチが、こっそりと教えてくれたのだ。
それだけあれば10速化くらいわけなくできるよ!と。
パッと目の前が明るくなった!
2万円以下の資金で10速化ができる!
ティアグラ装備のリアが9段しかないピナレロ・アングリルが、2万円以下の資金で10速化できる!
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さぁ、もうひとつの「自転車組み立てぼうけんの書」がはじまった!
果たして2万円以下で10速化などできるのか!?
というわけで、次回は…「自転車組み立てぼうけんの書~第二章~」かなとも思うが、東京エンデューロのことなどもほとんど書けてないので、もしかしたらそのことを書くかも…。