自転車で糖尿病を克服した! -156ページ目

試練のヤビツ峠~【気力の後半戦、クロスバイクは?】

【前回からの続き】

さて、私は新しいロード用ビンディングの実地検証を兼ねて、世田谷から遙かヤビツ峠まで「ピナレロ君」ことピナレロ・アングリルで峠のアタックに来ていた。い、いや本来はアタックに来たわけではない。ただ、あの有名な「ヤビツ峠」はどんなところなのかなぁ…という思いで走りに来ただけなのだが、どういうわけか、事の成り行き上だんだん「峠アタック」のような状況になってきた。


2007年8月の夏にしては比較的涼しい土曜日。時間はもう午後4時を過ぎていた。


全長12km近いヤビツ峠を私はもう半分は登ってきていた。前半は決してそれほど悲観的なペースで来ていたわけではない。ただ、私は明らかに計算違いをしていた。この峠はこれより全然短い大弛峠などとはワケが違う。あるいはもっともっと短い「ラルプデュエズ峠」とは当然桁が違う…。結果として私の「足」は段々先細り状態になりつつあったのだ


そして、例のクロスバイクである。


このクロスバイク、メーカー名までは確認できなかったが、ブラックまたは紺色のダークな色調のフレームにおそらく700×25c程度のクロスバイクとしては細めのタイヤを履いている。決してヒルクライム専用決戦バイクではないが、力のあるライダーが乗れば、そこそこのパフォーマンスを発揮することは間違いない。


そのダークなクロスバイクが今私の後ろに迫りつつある


え、何が問題かって?


い、いや全く問題はない。すべては順調だ。ただ、先ほど「こんにちは~」と言いながら、あまりにさわやかにパスした手前、そう簡単に抜かれるわけにはいかない事情がある。微妙に困ったことになった。


だが、まだ先は長い。ここで無理をしてしまっては、ヤビツ峠の頂上にたどり着く前に完全ガス欠になってしまう可能性がある。そうなってしまっては、糖尿病克服者としてのプライドがすたる。またこの「ピナレロ君」と新品のビンディングペダルにも申し訳ない…そんなことを考えながら、私はこう結論を出した。


作戦案1:抜かれない程度にスピードを維持する。


そうだ。これしかない。そう決まると私はほんのちょっぴり、そう、ほんのちょっぴりだけ足に力を込め、時速にして約0.7km/hほどスピードを上げた。後ろのダークなクロスバイクとは距離にして約15メートルほどだろうか…、私の計算ではこれで、クロスバイクとの距離が維持、もしくは離れていくはずだった。


「!!!」


だが、結果は逆だった。


ダークなクロスバイクは距離を詰めはじめた。10メートル、い、いや5メートル後方に迫ってきた。ま、まずい!さて、どうする…。私は一瞬頭の中で作戦案2を考えた。


作戦案2:ここでは後のことは考えず一気にダッシュし、ダークなクロスバイクをちぎる。そして当然その報いを後で受ける。つまり完全にちぎった後で休憩する。


とも思ったが、それでは頂上に一度も足を着かずに到達する、という大前提が崩れてしまう。こ、このまま行くしかないのか…持久戦だな。


ダークなクロスバイクはさらに距離を詰めてきた。私より足を残しているに違いない。距離にして2メートルくらいになった。ドラフティング、つまりスリップストリーム効果の出る距離まで彼は詰めてきたのだ!つまり彼は明らかに私より楽をして坂を登っている状態である。いよいよ不利になった。これはパスされるのは時間の問題だ。いや、それも手かも。先に彼を行かせて、しばらく後を付け足を休めて…。何を言う、ここはアルプスの山岳ステージではないのだ。ラスムッセンとコンタドールではないのだ…私は葛藤した。


しばらくは、小康状態が続いた。ロードバイクとクロスバイクは仲良くヤビツ峠を登っている。まるでお友達同志がツーリングに来たようだった。


そうだ。お友達作戦だ。カミングアウトしてしまえばいい…。私は作戦案3「心理戦法」を早速実行に移した。


「よくこの峠に来るんですか?」


私は2メートル後方の“敵”に声をかけた。(これはしばらく後ろに釘付けにしておくための罠なのだ。)彼は一瞬戸惑ったようだったが、0.5秒の沈黙の後にこう答えた。


「えぇ、まあ。、地元の者なので…。」


「この先、まだ結構あるんですよねぇ。はじめて来たんですけどぉ、さすがにキツイっすねぇ。」


「あ、半分ちょっとは来た感じかなぁ、さっきのあのバス停のあたりが、このヤビツでは一番キツイところなんですよ。…」


私は背中のポケットに入れていたタオルを取り出し、汗を拭いながら(もちろん走りながらだ)何十秒か会話を続けた。


さぁ、ほんの少し足を休められたゾ(な、なんと姑息な技を)。しばしの沈黙のあと私はほんのちょっとだけスピードを上げ(さっきの作戦案1復帰だ)、頂上を目指し自分に喝を入れ、走りに集中した。もう傾斜はさっきほどはきつくないが、いわゆる“つづら折り”の道路は確実に頂上を目指していく。


何分か経ったろうか…。


「あれ…」


人の気配がしない。あのダークなクロスバイクはどうした?


私は後ろを振り返った。


だ、誰もいなかった。


え、さっきからここまでの間に曲がり角などあったろうか…?それとも何らかの理由で急速にペースダウンしたのか…?Uターンして降りて行ったのか???


真夏の日中の怪談???


確かに謎だった。あのダークなクロスバイクはこつ然と姿を消した。あの日からもう10日近く経つが、いまだにこの謎は謎のままである。お~い。キミはどこへ行ったのだぁ~?


まぁいい。私はさらに登り続ける。残りは3~4kmくらいだろうか。だが、ここからが実は本当のヤビツ峠だったのだ!


私の足はさらに“売り切れ”に近づいてきた。いよいよスピードが10km/hを切ってきた。ちょっと気を抜くとメーターの数字が時速8km/h代になってしまう。


足に力を入れようとしてもダメだった。ダンシングしてもスピードはもはや上がらなかった。傾斜はそれほどないように見える。だが登れない…。あれほど自転車に乗ってきたのに私の足はこんなものなのか…。せっかくのロード用ビンディングでも無力なのか…。私は今すぐにでも走るのをやめ、休憩したい衝動にかられた。


私は今までおとなしかった自分の中の二人のキャラクターが騒々しくなってくるのを感じていた。そうあの2人だ。


憩をすぐにでも取った方がいい君(K君)]と[まんしてでも最後まで走りきるんだ君(G君)]だ。


そして明らかにこの時点ではK君が優勢だった。G君も抵抗を試みるが、K君はいよいよ勢いを増す。G君はほとんどノーガード状態でK君の猛攻に耐えている…そんな感じだった。


あ、あと3kmしかないのに…。う、ちくし…


そんな状態が3分くらい続いたろうか…。G君はまさにノックアウト寸前だった。私は次のカーブを曲がったら休憩を取ろう!そう自分に決めて、最後の力を振り絞って時速7.5kmで登り続けた。K君の勝利は目前だった


だが、そこに救世主が現れることになる。彼がいなかったら私は決してこの日ヤビツ峠を無着地で登り切ることができなかったろう。いやさっきのダークなクロスバイクではない。だが、私に確実に大きな力を与えてくれるそのお方が間もなく私に姿を見せることになる…。


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さて、この続きは次回のブログで!

(最後まで書けず申し訳ない!~まだ引き延ばすか!)


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