僕のアパートには、当然飼われているかのように一匹の野良猫が出入りしている。 このアパートに僕が住み始めて8年、当時子猫だった彼も今やしっかりと貫禄のある猫と成長した。 
彼は、毎年寒い時期になると部屋の前で「ニャ~...ニャ~...」と鳴き、暖かい部屋に入れてくれと懇願してくる。
昨夜もヨガレッスンから帰ってきて、僕の部屋にある昔ながらの石油ストーブに火をいれ、その上にヤカンを載せてお湯を沸かしていると、部屋の前で「ニャ~...ニャ~...」との声。  部屋に入れてやるとすかさずストーブの前に彼はゴロン。  幸せな猫だなーといつものごとく思い、僕はパソコンの電源を入れようと手を伸ばす。 ホットメールにきていたメールへの返信を書きながら、横を見ると気持ちよさそうに寝転んでいる彼。 

「えっ!?」、よく見ると彼の長いシッポがストーブ前面の横網の隙間に入り込み、シッポの先が火の真上にきてる!   「あっっ!」毛がチリチリしだしてる!  それにまだ気づいていない彼のシッポを僕は慌ててストーブから引き出し、 「何だ何だ??」と驚いた顔の彼のシッポを見てみると、やはりチリチリに焦げている。 部屋は完全に髪の毛が燃えた時のあの匂い。 自分のシッポに何かが起こったことにやっと気づいた彼は、シッポの匂いを嗅ごうとするが、犬がシッポを追いかける時のようになかなか鼻がシッポにたどり着けない。 結局前足でシッポを押さえ匂いを嗅いでいる。 「何これ??」みたいな顔で僕を見上げる。 少し僕を疑っているようにも見える。 違う、僕じゃない、、。 

10分くらい彼はじっくりとシッポを舐めていた。 その途中、時々ぼくを見る目が怖い。 、、違う、僕じゃない、、。

その後、奥の部屋の人が帰宅する音が聞こえると、「ニャ~。」と鳴きドアの前に姿勢良く座り、開けろとうったえる。 ドアに隙間を開けてやると振り向きもせず、「ニャッ」っと言って出て行った。   、、、違う、僕じゃない、、。