ニブリックのブログ

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夜になると考える。
ベッドに横になり、両手をグーパーしてみたり、両足の指も開いたりすぼめたり。
不都合なく動く。

トイレまで歩くのも、取り敢えず真っ直ぐ歩ける。

このままで済むのか?
あるいは明日の朝目覚めたら、突如として麻痺しているのか?
脳出血に関する知識など全くないのだから、判らない。

でも、仮にこのままの状態で済んだとしても、この先の事を考えると、
今の仕事は1日8時間、ほぼ立ちっぱなしの接客業であり、この身体で引き続き勤まるか?
つーか、もう、やりたくない気持ちが強い。
かといって、転職をするにも、とにかくこの身体が後遺症もなく普段どおりに生活出来るのかが問題で。

答が出ない自問自答を繰り返すうちに眠りに落ちる。

入院3日目。
相変わらず朝、起床の声かけと同時に看護師さんの
お名前は?今日は何日?ここはどこ?チェック。
これは難なくこなし(笑)、作業療法士さんとのトレーニングが始まる。

別室に行き、いろいろなテストを行うが、初日は、療法士さんがまず2つの関連する単語を言うので、聞き置いたあと、療法士さんが一方の単語を言うので関連するもう一つの単語を答えるという、発音と、記憶力のテストだ。
例えば、小学生・ランドセル、机・椅子など合計10ペアの単語を言われ、終了後、ランダムに小学生、と言われればランドセル、と答えるといった具合。

これはまあまあ出来た。
自分でもホッとする。
頭は大丈夫なようだ。







今夜から治療開始。

とはいうものの、ひたすら点滴を打ち続けている。

取り敢えず、お医者様に委ねるこの身。

天井を眺めてボーッとする。
右半身のしびれはまだ残っているけれども、手術はしないということで、ひと安心したのか心は穏やかだ。

しかし、人の身体って、本当に綺麗に右半身だけしびれる。
発症した直後は椅子に座っていられず、しびれる右からズルズルと床に横にならざるを得ないくらい力が入らなかったのに、左半身は全くダメージがない。

まあ、これは以後、後遺症へと繋がるのだが・・・・




朝が来た。

「おはようございます」

看護師さんが来た。

「お名前は?」

へっ?
答える。

「今日は何日?」


「ここはどこですか?」


あっ、脳出血の後遺症をチェックしているのか・・・

以後、退院の朝まで、これは続いた。

毎朝の血圧チェック。

上が130、下が77

一気に通常レベルの血圧になっている。

これまで数十年、思えばこんな数値は見たことなかった。
あらゆる内科にかかり、ある医者からは逆ギレ気味にさじを投げられ・・・色々な薬も服用して、体重も減らして、自分なりには努力してきたつもりだったけど。

それでも一向に下がらなかった血圧。

今まで見たことがなかった、こんな普通の数値は・・・

少し、涙がこぼれた・・・



ほどなく主治医の先生が現れた。

女医さん。

「脳出血、特に目の奥、深い部位なので手術は行いません。 とにかく血圧を下げて行きます」
「だいたい一週間の入院と思っていてください」

と、にこやかに告げられて、ひと安心した。

よく見る点滴をぶら下げる機械の手元側に大きな太い注射器がカセットボンベのように収まっている。

どうもその注射器から血圧降下剤が注入されているのかな。
看護師さんにバインダーを見せながら何やら指示するとさっさと行ってしまった。

救急処置室に運ばれて、病室の空き待ちになった。
今晩は、ここで過ごすのだ。

ストレッチャーに寝かされて、身体が無事に作動するか、そっと確認してみた。
手と足の指でグーパー、してみたり、両腕を上げ下げしてみたり。

とりあえず、動いている。

少し安心した。

また思う。
あ~あ・・・なんで俺なの・・・