7年近くに及ぶがん闘病ブログで今回初めて鎖骨、胸骨を切除する「縦隔気管孔形成術」を受けた方と繋がりました。胸に孔を開けて呼吸する「縦隔気管孔形成術」に関する情報が無い中で私のブログだけがヒットしたそうです。

ご主人が頸部食道がんと癌種こそ違いますが、喉頭部、甲状腺を全摘出し、鎖骨、胸骨を切除して胸に永久気管孔を作る手術を受けられたとのこと。

 

私自身、手術から今日に至るまで胸に永久気管孔を制作した方には、実生活でもブログでも出会ったことがありませんでした。私の経験がお役に立てばこれ以上嬉しいことは有りません。わからないこと疑問があればいつでも聞いてくださればと思います。私が経験してわかることはお力になれるかもしれません。「がんサバイバーの筋トレ」についても同様です。

 

【Bunbun-23hさんのブログ】

『2024年4月 頸部食道がん告知』

https://ameblo.jp/bunbun-23h/

 

 

私自身が手術を受けて間もなく7年、その間、胸に永久気管孔を制作された方のお話を聞きたくてネットを探しても、実生活でもそのような方に巡り会う事は有りませんでした。

 

そこで、改めて「縦隔気管孔形成術」を調べてみると・・・

『縦隔気管孔形成術は頸胸部の進行悪性腫瘍摘除後の気道再建に行われる。歴史的に上縦隔を含む根治手術は,縦隔感染や無名動脈の破裂による高い死亡率を有する。』と書かれていました。私も手術前に主治医から「術中、術後に大出血、感染等による合併症で死亡することがある」とは説明されていたものの危険な手術であることを改めて実感しました。

 

 

 

「気管腺様嚢胞癌切除手術」「縦隔気管孔形成術」で生きる為に声を失い、鼻呼吸、口呼吸、臭覚を、骨を右乳を失いました。でも、今、こうして生きています。生きてるだけで丸儲けです!!(笑)

 

永久気管孔と言っても私の場合、がんに侵された気管をほとんど残せなかったために喉ではなく両鎖骨、第一第二肋骨、胸骨を切除して肺から外界への最短距離である胸の中央に作られました。

 

最初に術前説明を受けた時には「骨を取る」という意味が分からず、「気管内のがんを切除するのに骨が邪魔になるというのは分かりますが、がんを切除した後、骨を戻せないのか?」と主治医に質問すると「切断ではなく切除です。骨があると永久気管孔が作れません。」とのことでした。

 

「骨が無いと肋骨の下にある心臓、肺とかを守れるのですか?」と聞くと「術後は胸に力が加わらないように注意して生活しなければなりませんが、皮膚と脂肪で守ります。もしかすると気管孔の補強の為に大胸筋を使うかもしれません。」とのことでした。

 

手術は無事に成功したものの、目覚めれば首は大きくUの字に、胸は大きくJの字に縫い目が残り、右の大胸筋は気管孔の補強に使われなくなっていました。乳がんで女性が乳房を失うショックが少しは分かりました。

 

胸の中央にはぽっかりと大きな孔が開きその周囲はフランケンシュタインのように黒い手術糸で縫い合わされていました。

 

術後の時間の経過とともに直径2㎝はあろうかと思われた気管孔はどんどん小さくなり一時退院時には1㎝程度になっていました。主治医は「ちょうどいい大きさ。これ以上は小さくならないでしょう。」と仰っていました。

 

ところが、一時退院して自宅に戻るとどんどん気管孔が小さくなっている気がします。そして5日後、呼吸の苦しさから病院に駆け込んだ時には気管孔は5㎜を切り小さな綿棒くらいまで狭窄が進んでいました。

 

運よく主治医が居たのですが「なんでこんなに急に小さくなったんだ!」

緊急事態と言う事で、麻酔なしで気管孔を指で広げる荒療治が行われたあと、救急車で手術を受けた鴨川の亀田総合病院のICUへ。そのまま再入院となったのです。

 

人間には防衛本能というか、修復機能が働くのか、体に開いた穴を塞ごうとするようです。ピアスの穴が時間の経過とともに塞がるのと同じですね。しかも、気管孔の周囲の補強にはボディビルダーの命ともいえる大胸筋が使われているのですから孔を塞ごうとする本能が加速したのかもしれません。

 

その日から私の気管孔には狭窄防止のためのステントが挿入されました。退院後に2度にわたってステント抜去を試みましたが、抜くと狭窄が始めるために抜くことが出来ません。「一生抜けないでしょう。」との結論に達しました。

 

その後、担当医との二人三脚で色々なステントを試行錯誤を経て、経鼻エアウエイチューブを気管孔にフィットするように加工したものが今も私の胸の穴に入っています。病院から提供されたチューブを私自身が自分の気管孔にフィットするようにカッターナイフで加工して使用しています。もともと、工作は好きで手先が器用なのが効を奏しました(笑)。

 

気管孔のメンテナンスは、ネブライザーによる加湿と痰処理が必須です。ネブライザーも退院後は自身でオムロン製、海外製などをネットで購入して試行錯誤。結局、5台購入しましたが使えるのは3台(1台は、寝室に置いて日常用。2台は、AC電源仕様の携帯用と乾電池仕様の携帯用ネブライザーで長時間の外出、旅行用です。)でした。使えないものは押し入れで眠っています(笑)。

 

これで分かったのは、値段と機能は必ずしも比例しないと言う事。日常用は最高値10万円のオムロン製で使い心地は文句なし。持ち歩き用は海外製の最安値4500円を重宝しています。

 

ネブライザーの回数は、当初は1日4回。痰取りも含めて1回に30分以上を要していましたが、今は試行錯誤の末、痰取りのテクニックも向上し、1日3回、時に調子が良ければ2回に。1回の時間は15分程度に向上しています。

 

狭窄防止のエアウエイチューブの形状も決まり、制作に要する時間も当初は1時間近く要していたのが、今は20分程度と上達しています。

 

気管孔にゴミや虫が入らない為にカバーする必要もあります。入院中の病院では滅菌ガーゼを紙テープで止める、エプロン状に紐をつけたものでカバーするなどの方法がなされていました。しかし、退院後、妻がネットで検索して見つけた「Laryngoform」が通気性も良くガーゼのように息を吸い込むときに貼りついたりせず快適なので今も使っています。

 

テープにかぶれやすいので、何種類も購入して一番良いものを選びました。。

 

入浴、シャワー時に気管孔から水が流れ込むと溺れるのと同じ状態になるので、入浴時、シャワー時に気管孔をカバーする治具、テープも試行錯誤の末、今の状況に至っています。

 

シャワーが随分と楽になりました!!

 

これらは誰も教えてくれえないので、自分で試行錯誤!!こんな体だからこそ出来る誰にでも出来ない貴重な体験です!!

 

どこまでポジティブやねん!!

 

(※縦隔気管孔で筋トレをして筋肉再建!!しかも、69歳。こんな人間世界中探してもそうザラには居ないと思います。)