7年前のちょうど今頃、2017年6月末、所沢の防衛医科大学病院ステージⅣのがん宣告を受けました。それまではがん宣告と言うのはデリケートなもので本人には簡単に告知しないものと思っていたので、いとも簡単に告げられたのは驚きでした。

 

がんは気管内から喉頭部、甲状腺と10㎝に成長し広範囲に広がっている。

しかも癌種は腺様嚢胞癌で効く抗がん剤がない、放射線も一時的に進行を抑える程度の効果しかない。治療をするとすればがんと共に周辺組織をごっそり切除する外科手術のみ。当然、手術に成功しても重篤な後遺症が残り、5年後の生存率は40%未満というものでした。

 

もともと鍛えこんだ筋肉だけが誇りのボディビルダーその肉体にメスを入れるという選択肢は私には有りませんでした。

重粒子線、免疫療法、民間療法など様々な治療法をあたりましたが、施術不可、効果は期待できないものばかり。

 

 

 

そんな時に笠松博次さんから1本の電話がかかり巡り合ったのが亀田総合病院の頭頸部外科のスーパードクターK先生でした。ドクターの見立てでは、外科手術すら施術出来るギリギリの状態でおそらく完全には取り切れない。気管内のがんは気管の3分の2近くを塞いでおり放置すれば3か月程度で窒息死する可能性が高い。1週間以内の御返事をとのことでした。

 

八方塞がりの中で開けた唯一の道は、鍛えた肉体にメスを入れる、しかも、がんとともに気管のほとんど喉頭部、甲状腺、両鎖骨、胸骨、肋骨とかなりの組織を切除し、声を臭覚を失い、胸に穴を開けての気管孔呼吸になり、運動障害などの重篤な後遺症が残る外科手術のみ。「胸の真ん中に穴が開く」・・・想像すら出来ませんでした。

 

(※「気管孔の補強に大胸筋を使う」「大出血で死亡することがある」と書いてあります。(;^_^A)

 

しかし、やらなければ余命3か月!!

 

親友のボディガー「手術しないのは自殺と同じこと。僕ならまず生きてどんな体になろうとその体で奇跡を起こします。」笠松さんの「胸に鼻が付いたと思いましょう!声を失っても文字で発信出来ます!」という言葉に背中を押され決意。

 

途中で死ぬ可能性もあるという大手術は無事に成功し、7年経過した今、3度の多発転移で入退院があり、今も両肺に転移がんが存在するもののこうして筋トレを続けながら生きています。

 

入院、大手術、放射線治療での半年間の入院、退院後、亀田総合病院のある千葉県鴨川市に引っ越しての半年間の療養、通院生活を終えて生まれ故郷の兵庫県に帰り、まずしたことが自分が入るお墓作りでした。これでいつお迎えが来ても入るところが確保できたので安心です。

 

この頃を境目に、二人の孫息子の誕生、本の出版、筋肉オフ会The FINAL開催、記事の連載、終の棲家への引っ越しと幸運が続いています。

 

 

 

思えば、がんを罹患したことで死の渕を何度も見てきたからか、生き方、人生に対する向き合い方が大きく変わりました。もともと、家、車、装飾品、ブランド品などへの物欲、出世欲、権力欲、金銭欲に興味がない方でしたが、さらに物欲、金銭欲が無くなりました。だって、全部あの世に持っていけないものばかり。そんなものに躍起になり執着しても人生の無駄です。この世に居る間、飲み食いに困らなければそれで充分と思っています。性欲は体を活性化させますし、食欲は生きる為の最重要欲です。この二つの欲が無くなれば人生は終わりと思っています。

同時に、人生で何が大切なのか、何をするために生まれて来たのか、誰が大切な人なのかが明白になりました。

 

自分は、戦争の無い時代の日本に生まれ、高度成長期、経済安定期に人生の大部分を生き、バブル崩壊、日本経済の凋落を迎えた頃にがんでリタイア。ツイています。

がんになっても親友を介して素晴らしいドクターに出会い、手を差し伸べてくれる肉親以上の友人たちに恵まれたことも幸運でした。「抗がん剤が効かないがん」と聞いてはじめはショックでしたが、今は「抗がん剤が効かないがん」で良かったと心底思います。若い頃にボディビルに出会い筋トレで培った筋肉があり、筋トレのノウハウを知っていたことも幸運でした。

時代に、人に恵まれ本当に運の有る良い人生だと思います。

 

【自分を支えたこと】

◎家族、良き友人たちに恵まれた。感謝!!

◎ボディビルに出会い、筋トレのノウハウを習得していた。感謝!!

◎友を介して信頼できる医師に出会えた。感謝!!

◎友を通じて、朝晩の祈り、先祖供養を続け「ありがとうございます。感謝します。ツイてる、お互い様、お陰様。」の心を学んだ。

 

今は、抗がん剤が効かないがんの転移が両肺に見つかっています。今まではスーパードクターによるがん切除手術、肺の部分切除手術、サイバーナイフで乗り切ってきましたが、抗がん剤は選択肢に入って無いので、今後、局所療法が尽きると治療に行き詰まる、再び八方塞がりの時が来るかもしれません。

でも、それでも絶対あきらめない!!

これからも、ダメもとで信じる者は救われるの精神で「水素茶」「筋トレ」「先祖供養」で道を切り開いて天寿を全うしマッスル!!

 

(※昨日は、「にぎり長次郎」でがん友のYさんとランチ。近況報告と情報交換を行ないました。サイバーナイフ治療は彼女からのタイムリーな情報から実現したのです。彼女も転移を抱えていますが元気です!!)

 

 

(※昨日の公園筋トレは、今日の雨を予想してのスローブルガリアンスクワットとカーフレイズの前倒しで行ないました。尻、太腿の張りが最高です!!)

 

 

(※常光寺南公園の看板が心無い人に破壊されていました。これはれっきとした器物破損という犯罪です。情けない!!)