【気管孔で生きる為の生活の変化】
気管孔の体になると健常な頃と違い「暑いからシャワーを浴びよう。」「急用が出来たから出かけてきます。」「えっ、泊りがけで旅行?」といったことに「防水をしなければ!」「ネブライザー、痰取りセット一式持って」「何時にどこでネブラーザーをしようか」などの準備が必要です。筋トレに出かける時でさえあらかじめネブラーザーを済ませ気管孔の痰の状況をチェックして痰取りグッズ一式を準備してから出かけます。「息苦しい、脚がだるい、倦怠感がある」など体調との相談もあります。フットワークは悪くなります。
《入浴・シャワー》
風呂やシャワーにも気を使います。永久気管孔から水が入ると肺に流れ込んでしまうため、溺れた時と同じ状態になり命にかかわるからです。術後の一時退院時に自宅で入浴の際にうっかりお湯が気管孔から入ったようで気管孔からの咳が止まらなくなり救急車を呼んだ経験があります。
お風呂に浸かるときは基本鳩尾あたりまでの半身浴になります。シャワーでは下半身シャワーになります。そこで私の場合、入院中に担当医のツォン先生に相談し、試行錯誤の末に「ライトタッチフェイスマスク」という治具を「パーミロール」で張り付けて防水しての入浴、シャワーを始めました。それでも浸水の恐れがあるので湯舟ではマスクの下までしか浸かることはできません。水が入らないように細心の注意を払えば頭からのシャワーも可能です。
(※ライトタッチフェイスマスク)
(※パーミロール)
(※ライトタッチフェイスマスク(象さんの鼻)を装着していざ風呂場へ。正直面倒くさいです。)
※こんな調子ですから、海辺、温泉、川辺など、足を滑らせて「ドボン」の可能性があるところへは極力行けません。
《臭覚がなくなる・息を吹けない・鼻をかめない、すすれない》
◎鼻や口から呼吸をすることができないので嗅いがわかりません。おならなどのくさい臭いがわからないのは良いかもしれませんが、美味しそうな料理や女性の美しい髪の香り、赤ちゃんのいい匂いもわかりません。ガス漏れや腐った食品にも気がつかないのは命にかかわります。
◎熱い物に息をフーフーと吹きかけて冷ますことができません。口の中に空気を含めることでささやかにフーフーすることは可能です。
◎鼻もかめないので鼻水が垂れ流しになりますからテイッシュが必需品となります。シンクロナイズドスイミングのノーズクリップも購入して試してみましたが、鼻が痛くなり長時間はできませんからティッシュなどで鼻栓をすることになります。
《話せないことへの対策》
声帯も摘出しているので声が出ません。これはもう、「ノートやメッセージボードでの筆談」、「電気式人工喉頭」、「ジェスチャー」、「手話」での対応が現実的でしょう。
「筆談」はタイムリーな返事が出来ない、近くに居ないと意思疎通が出来ないのでイライラしてしまいます。
「食道発声法」は日本全国にこの方法を教える発声教室があり、修得すると嗅覚も戻り、すすり込みや鼻をかんだりできるようにもなるそうですが、習得が困難なうえに維持も難しいようです。
私の場合、「電気式人工喉頭とメッセージボードを併用」しています。人工喉頭は静かなところでは良いのですが、駅構内、乗り物内、居酒屋などで話すときには周囲の騒音にかき消され使えないのが難点です。人工喉頭は7万円くらいしますが、身体障害者3級に認定されると住んでいる自治体に申請すると補助金が出ます。
《気管孔の狭窄・肉芽》
永久気管孔の合併症として、動脈からの大出血、気管孔の狭窄、気管孔の肉芽(にくげ)があります。
「動脈からの大出血」は即、死につながります。医療センターの主治医によれば気管孔の周囲には大動脈が通っているためメスを入れる治療でも最大限の気を使うそうです。万が一、大動脈が切れたら10mくらい血液が噴き出し即死だそうです💦
これは注意の仕様がありませんし滅多に起こらないそうですから気にしないようにしています。
「気管孔の狭窄」には、今も悩まされています。手術後の一時退院時に狭窄が起こり窒息寸前で救急搬送になりました。そのため、術後5年を経過した今でも狭窄防止のために常時「エアウエイチューブ」を挿入したままです。5年の間に2度チューブの抜去に挑戦しましたがダメでした。おそらく一生抜けないのでしょう。今は「胸ピアス」を入れているんだと考えるようにしています(笑)。
「肉芽」については、チューブのような異物が入っているとこすれる部分に刺激で出来るそうです。豆やタコのようなものですね。これも大きくなると窒息の可能性があるのでその場合は切除するようです。
《力めない!!》
気管孔では口のように開閉して息をこられることが出来ないので力むことが出来ません。私はボディビルダーなので、日常的に行う筋トレで息を止めて力むことができません。しかし、私はその道の専門家です。退院後、アイソメトリックストレーニング、スロートレーニングなどの色々なメソッドを駆使して継続しています。ただ、便秘にならないように「バナナ、プルーン、ヨーグルトなどお通じが良くなるものを食し、腹筋運動をし、便意を感じたら我慢せずにトイレに行く」などに注意することは必要です。
《食事》
私の場合、開胸して癌が食道にも浸潤していたら切除して小腸を移植して食道再建と聞いていたのですが、幸いにも食道には浸潤していなかったため食道を残すことが出来ました。その結果、基本、何を食べてもいい、お酒も適度なら良いということでしたが、食道を縫っているのと、気管が繋がっていないため重力に任せて胃に入るので、手術前のようにスムースに飲み込める感じではありません。パンのような水分が少ないものでは喉につかえる感じがどうしてもあります。しっかり噛んで少しずつ飲み込むように心がけています。食事の時の水は常に欠かせません。大好きなお酒は晩酌程度にたしなんでいます。せっかく、「命の延長切符」をいただいたのですから。
《甲状腺切除・声帯切除》
私の場合、気管癌が甲状腺、声帯にも達していたため、甲状腺、声帯ともに切除しました。そのため、甲状腺ホルモン剤チラージンを一生飲み続けることになります。声は一生戻ることはありません。
【C-C-Bの笠浩二さん逝く】
1985年「Romanticが止まらない」が大ヒットしたC-C-Bのドラム&ボーカルの笠浩二さんが旅立たれました。1985年と言えば、私がアメリカに居た年、37年も前のことなのですね。ついこの間のように感じます。
後年、WBC世界フライ級王者内藤大助さんが入場曲として使い懐かしく思ったものです。
「誰かromantic 止めてRomantic 胸が胸が苦しきなる🎵」
このノリのいい曲でフリーポージングをとりたかったなあ!!
ご冥福をお祈りいたします。
【今日のトレーニング】
今朝はさらに寒かった!!ネックウオーマーとニット帽かぶっても寒い!!
◎ワイドグリップチンニング 20回~16回×10セット
◎ハンギングレッグレイズ 20回×5セット