がん宣告から今日までのまとめ(14)

【永久気管孔について】

私が受けた手術は、「腺様嚢胞癌」に侵された気管切除、呼吸をするための「永久気管孔制作」、癌浸潤による「喉頭部全摘出(甲状腺・声帯を含む)」、癌が浸潤している「周辺リンパ節摘出」というものでした。「気管癌」というのもあまり聞かないし、「腺様嚢胞癌」なんて癌は初めて聞きました。そして、その唯一の治療法が「永久気管孔制作」。これも初めて聞きました。しかも、喉ではなく、胸骨、鎖骨、肋骨を切除して胸のど真ん中に作るというのです。術後5年が経過し、関東、関西のいくつもの病院で受診しましたが、「胸の気管孔」で息をしている人に出会ったことはありません。術後のケアの方法について知りたくてブログで公表しましたが「私も同じです」という連絡は皆無です。

主治医によれば、この外科手術が出来るのは日本で数十人、主治医自体3人しか経験がないとのことでした。同じ手術を受けた人に出会わないはずです。

その数少ない医師に友人の紹介で出会えた私はツイています!!

 

「腺様嚢胞癌」についてはすでに書きましたので、「永久気管孔」についてまとめておきたいと思います。

 

 

《永久気管孔とは》

国立がん研究センターのホームページ(https://www.ncc.go.jp/jp/index.html)によると、「永久気管孔とは、のど(咽頭、喉頭)やその近くに病気があって、治療のため喉頭をとり除かなければならない時、呼吸のためにあける穴のことです。首のつけ根の前の部分に丸い穴があき、気管の出口が縫いつけられ、ここから呼吸をするようになります。」とあります。

 

《私の場合は胸の永久気管孔》

私の場合は、癌が気管の中で10cmにも成長しており、残せる気管が短かかったので、胸骨、鎖骨、肋骨を切除して喉ではなく胸に永久気管孔を作りました。「なぜ、骨を切除なのか?」疑問でした。「戻してくれたらいいのに」と。しかし、野守主治医の説明を受けて納得しました。骨を戻すと胸の厚みがでるために短くなった気管では胸に気管孔が作れないのです。癌切除で残された短い気管を前のほうに出して胸の皮膚に縫いつけるために距離を稼ぐ必要があったのです。そして、気管孔を補強するベースとして右の大胸筋が使われました。ボディビルダーにとって大切な大切な大胸筋ですが生きるため仕方のない選択でした。

(※術後1か月と術後1年の気管孔。狭窄防止チューブは今も入ったままです。)

 

(※現役時代の大胸筋。現在も大胸筋の無い体で筋トレしています。)

 

 

 

《気管孔でどんな体になったのか?》

通常、私たち人間は、口や鼻で呼吸をしています。吸い込んだ空気は、鼻や口から体内に入り、咽頭、喉頭、気管、気管支を通って肺に運ばれます。食べ物や飲み物は口から入り、咽頭、食道を通って胃へと運ばれます。

今回の手術では喉頭部を全摘出でしたから、呼吸と飲食物の通り道が完全に分離されて、飲食物は口から喉、食道を通って胃袋に入り、空気は永久気管孔という胸に開けられた孔から肺に吸い込まれ吐き出されるようになったのです。

 

手術から5年が経過し傷も癒え、試行錯誤を重ねた今でこそ「気管孔のメンテナンス」に慣れて日常になっていますが、手術後の入院中、退院後しばらくは、傷も生々しく、気管孔からは血液、痰、粘液の混じった血痰が出て結構大変でした。入院中には気管孔が血痰で詰まり窒息寸前ということも何度も経験しましたし、気管孔から飛び出た血痰で病室の天井が血に染まりお掃除の方のお世話になったものです。嫌な顔ひとつせず掃除をしてくださった担当の方には感謝です。

 

【今日の筋トレ】

◎斜めプッシュアップ 50回×5セット

外科手術で切断縫合した部位はいくらストレッチしてもカッチカッチやぞ!!(笑)

◎ハンギングレッグレイズ 20回×5セット