手術から意識が戻るとそこは集中治療室(ICU)ということになります。集中治療室ICUでの様子をライブドアブログから振り返ります。

生まれて初めての、それも命を懸けた大手術。当然のことながらICUなどに入るのも初めてでした。


意識が戻ったときに、周囲に妻、娘、息子、親戚、ハーパー看護師を確認しました。でも、体はおろか喉も全摘出しているので首を動かすこともできません。自由になるのは近眼+老眼なのにメガネをかけていない目だけです。鼻の穴からチューブが出ているのを確認しました、チューブが入った右の鼻の穴側の顔の感覚が痺れている感じです。両腕には手術中につけられた点滴などのチューブが数本つながっているようです。背中には硬膜外麻酔のチューブ、両胸からは廃液排出用のドレンチューブ、おちんちんにも排尿用のチューブ、そして、お尻はといえばどうやらオムツをされているようです。

 

意識が戻って間もなく、背中、腰、尻に痛みが襲ってきます。何とか体の位置を変えたい、体勢を変えたい。でも、動くのは足だけ。当然、眠れない。眠るどころではない。背中が痛くて。尻が痛くて。たまらずナースコールを押す。ナースが来るが、手は動かせない、声帯をとっているので声は出ない。訴えたいことが伝わらない。もう、泣きそうです。やっと大体の希望が伝えられ、看護師さんが二人がかりで「せいの~よいしょ!!」とばかりに体を動かして体勢を変えてくれます。ありがたい。

でも、しっくりこない。今度はこっちが痛い。あっちが痛い。ナースを呼ぼうと思うと手からナースコールが離れてどこにあるのかわからない。何とか訴えようと動かせる足をあげて振ってみるが誰も気がつかない。

 

急に周囲があわただしくなった。ドクターか看護師さんかわからないがベッドの周りをあわただしく動いているのがわかる。「何が起きているのだろう?」そう考えていると潮が引くようにベッドの周囲から誰もいなくなった。少なくとも眼しか動かせない自分にはそう見えました。

襲ってくる不安感。「身動きが出来ない状態で誰もいないのがこんなに不安なのか?」と思いました。

 

手術が終わった午後5時頃からその繰り返しで一夜を明かす。

時々、目を開けるが、焦点が合わない、天井が目の前に見えたり、遠くのものが近くにあるように見えたりで遠近感もわからない二重に見える。そうこうしている間に長い夜が明けたようだ。

看護師さんが体を拭いてくれだした。尻の下にシートのようなものが敷かれたようだ。お下の洗浄のようだ。生まれて初めての経験で「あのう。自分でやります。」と言いたいところだが、体が動かせないのだから身を任せるしかない。開き直った。おしめをつけられたようだ。赤ちゃんの時はともかく・・・。ええ、おっさんが・・・。まあ、いいか。どうしようもない。

 

またまた、そうこうしているうちに、突然お声がかかった。「はい。体を起こしますよ。立ち上がってください。」「エエ~ッツ!!冗談はやめてよ!!」(心の声)壁の時計を見ると午前10時!!ベッドサイドに立ち上がらせられた。「では、歩行器を持って歩いてください!!」結局、部屋を出てICUフロアを1周させられた。

最近は、合併症の予防、血栓予防、回復を早めるために早い時期に歩かされるとは聞いたことがあるが、盲腸の手術したのとは分けが違う。さすがに驚きでした!!びっくらこいだ!!その後、3時間ほどでICUを無事?卒業!!HCUに移されました。「新生、賢人(BIGTOE)誕生の日」の出来事でした。

 

PS:入院前に、勤務先のの山本さんから聞いていた手術の体験談。「麻酔から覚めたとたんにチューブが入れられたおちんちんの激痛で外してくれ~!!と叫んだよ。」という痛み。幸いそれは、多少の違和感を感じるだけで済みました。ああ、良かった!!

【HCU】

HCU「High Care Unit」の略称。「高度治療室」と呼ばれる。

ICUと一般病棟の中間に位置する病棟で、HCUでは患者4人に対して1人の看護師が配置される。

【ICU】

ICU「Intensive Care Unit」の略称。「集中治療室」と呼ばれる。

生命の危機に瀕した重症患者を、24時間を通じた濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療する。患者2人につき看護師1人が配置される。