台風の被害により2009年の10月以来ずっと止まったままだった名松線の家城-伊勢奥津間が、今回のダイヤ改定を機に6年半振りに運転が再開されたので、さっそく乗りに行くことにしました。
「18きっぷ」のシーズンなので、当然それを使うことにして、鈍行を乗り継いで東海道を下ります。4月に入り学校も始まったことで、見かける旅行者もグンと少なくなりました。
松阪からはいよいよ復旧を遂げた名松線に乗車。もっとも、途中の家城まではこれまで通りですが。
復旧直後の3月はかなりの混雑だったみたいだけど、4月に入りだいぶ落ち着いたようです。
名松線は自動信号化されていないため、交換となる家城では、人の手を介した通標の受け渡しが行われます。かつては全国各地で当たりまえのように見られた光景ですが、今ではもう極めて珍しい“儀式”となりました。
家城を発車すると、いよいよ復旧区間へと分け入ります。それまでのなだらかな風景が一変し、雲出川の流れに沿った見事なまでの渓谷美が展開されるようになります。進むにつれ険しさはさらに増し、断崖絶壁を行くスリリングな車窓に、改めてスゴイ所を走っていた路線であったことを実感させられます。崩れた路盤の爪痕も生々しく、こうして復旧に漕ぎ付けたことが、奇跡にも思えるほどです。
終点の伊勢奥津に到着。一時はもうここに列車が来ることは永遠にないかもしれないと思われていただけに、まさに感慨無量です。本当によく復旧してくれました。
駅舎は6年半前と変わった様子はないけれど、やっぱり駅は列車が停まって人が乗り降りしてこそ駅ですね。
駅前の道を少し歩くと、こんな激シブの店が。折り返し時間を利用しての駅前散策もなかなか楽しいひと時です。
そして再び絶景を堪能しつつ引き返します。途中でシカの大群が悠々と線路を横切ったりして、この北海道のようなスケールに驚いてしまいます。
松阪へと戻って来ました。それにしても、素晴らしいの一言に尽きます。地元利用者は少ないかもしれないけど、嵯峨野観光鉄道や黒部峡谷鉄道のように、観光に特化した鉄道としての価値は大いにあり、トロッコ列車でも走らせたら大盛況になるのではないかと。いずれにせよ、今後もここはちょくちょく訪れてみたいですね。
更なる明日からの行動に備え、今夜は米原まで行って泊まることにしました。